●秘録 東京裁判 @清瀬一郎 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

東京裁判は、戦後の焼け跡の旧大本営で
昭和21年5月3日から二年半かけて行われた。
正式には「極東国際軍事裁判所」という。



裁判官は戦勝国の11人。
オーストラリアのウエッブ裁判長以下、
米・英・仏・ソ・中・カナダ・オランダ・インド・
フィリピン・ニュージーランド。



まあ、とにかく腹立たしい内容ばかり、
東京裁判の目的は、本当に「報復」なんだなぁ。
モー悔しくて、ギリギリしてしまった。(#`皿´)






著者の清瀬一郎弁護士は、日本人弁護団の
副団長であり、全被告を代表して冒頭陳述を
行った人物。また、誰も成り手がいなかった
東條英機の主任弁護人も引き受けた。




強調されていたのは、日本はドイツのような
「無条件降伏ではない!」  ということ。


「本来ポツダム宣言は日本に降伏条件を示した
ものであるが、実質的に無条件降伏と等しい
ように見えるよう起草された」    そうで、

正確には「政府は軍隊の無条件降伏を宣言せよ」という記述に過ぎない。コレ重要ポイント。


「ドラマ東京裁判」 は当時の映像を着色した。
「侵略の罪」は事後法にあたる、と主張。




そもそも「戦争すること」自体は罪に問えない
ものだし(平和問題)、人道問題でも捕虜に
牡牛の尾を食わせた→(牛蒡の誤訳 )   とか、
スープに腐った豆を入れた→(豆腐の誤訳)
とかさ、ホント理不尽な主張ばかりだよ。。






被告人にはそれぞれ、日本人と外国人
2人セットで弁護人がつく。
余りにも悔しいので、日本人の為に真摯な
弁護をしてくれた米国人の言を抜粋じゃ!



木戸幸一のローガン弁護人。
「欧米諸国は、数年間計画的に日本に圧迫を
加え、結果戦争になることを承知しながら
まず日本から手を出すよう、希望した。
日本は欧米諸国の思うツボにはまった。」





梅津美治郎のブレークニー弁護士は、
スチムソン陸軍長官が原爆使用の決定をした
証拠まで出そうとした。

これは、当時誰も知らない世界的問題!
でも、「連合国がどんな武器を使用したかは
関係ない!!!」  と異議が入り、脚下された。(-.-)




さらに、米国陸軍法務官プライスは
ニューヨークタイムスでヤルタ会談の
日本に対する秘密協定をスッパ抜く。

「日本を侵略者呼ばわりする東京裁判は無意味だ。なぜなら、明らかに原告アメリカに責任
があるからだ。千島、樺太の割譲を約束し、
ソ連に参戦を依頼したのだって、侵略行為。」

チャーチル・ルーズベルト・スターリン
ヤルタ会談は終戦の半年前。





そして、今では有名なインドのパール判事
から「被告人は全て無罪にするべきである」
の意見が出たとき、「連合国の驚愕と狼狽は
言語に絶した」・・・と、書いてある。

本書の表記は「パール判事」。




本来、法廷で朗読されるべきこの意見を
長文で日数がかかる、と朗読を禁じ、
それなら印刷頒布する、と言うと印刷を禁じ
一般の目に触れるのは、ようやく昭和27年。

バール判決文は長大。






読み終わって、2016年12月に録画しといた
NHKスペシャル「ドラマ東京裁判」を見たけど
11人の裁判官がモメまくる様子は、予想外
だったなぁ。この本には書いてないし。


当時の裁判官11人。




これなかなかスゴいドラマで、8年間に渡り
取材を重ね、オランダ、オーストラリア、
カナダと協同で脚本を製作。

登場する11人の裁判官を外国人が演じ、
法廷の被告側は当時のフィルムを着色して
そのまま使っている。


天皇の戦争責任を否定する東條英機が
リアルにしゃべる。








清瀬弁護人の、裁判の前提そのものが不当だ
という論は確かだし、事実「復讐」も感じる。


でも、公式判決以外の意見書がこんなに
提出されるのも異例で、裁判官たちは
半年の予定が二年半に延びる中、
それぞれの信念に従って奮闘した、という
ことも、ちょっとは理解しよう。。。かな。