ひとえに、児玉源太郎がいたからであーる!
これ全く大袈裟でなく、リアル真実。
まず、勝てる時期を逃さず開戦を提唱し、
財界を説得して、戦費調達に協力させる。
「陸海対等」を持ちかけ、海軍と調和を図り、
これを元に「最大のグズ」元老伊藤博文を説得。
一番大事な「挙国一致」体制を作り上げた。
日露戦争は太平洋戦争と違って、完全に
ロシアの侵略から国を守るためのもの。
負ければロシアの属国になっていたであろう..その危機を救った真の英雄。泣けるー
長州出身、身長1メートル55センチに満たない小男で
皮をむいた里芋のような頭?、ちょこちょこ
走り回るので、渾名は木鼠(キネズミ=リス)
あと「大声」。ガミガミがなりたてるクセがある
陸軍士官学校も陸軍大学校もない時代に育ち
外国へ留学したこともないのに、天才的な
智謀で大軍を動かせる指揮官で、
日本陸軍の父、メッケル少佐は日露開戦を
聞くと、「ゼネラル・コダマがいる限り
日本が勝つだろう」と、予言した。
日露戦争前、児玉はもう50才。内務大臣と
台湾総督を兼ねる重職にあったのを、
急遽、軍事作戦のデキる指揮官が必要になり
二階級下がって、大山巌の参謀次長についた。
どっしり構えて作戦は部下に一任、負けた
責任だけ取る、理想の大将ガマ坊(大山)と
リス児玉のコンビは、古今無類の名人事!
さらに大山は私情を捨て、竹馬の友・日高中将
に替え、東郷平八郎を常備艦隊司令長官に
起用する。「陸の児玉、海の東郷」 日本戦史上
二大傑作人事の誕生は、大山巌あってこそ。
やっぱり国は人、だな~! この時期の人材の
豊富さはどうであろう!維新の荒波を潜った
明治人たちの、鋼のような性根が眩しい。
児玉の親友、乃木希典と寺内正毅。
ウマが合った小村寿太郎、ロシア駐在田中義一
「今信玄」田村怡与造、「今謙信」小川又次、
空前絶後の作戦用兵家・川上操六。野津道貫、
黒木為禎、奥保鞏、長谷川好道などの猛将、
戦費調達に走る渋沢栄一、高橋是清・・・・
児玉は軍事の天才だけど、他の軍人と違って
軍国主義は嫌いだった。ここがまた素敵な所!!
第四代台湾総督に就任すると、前代までの
横暴な統治を改め、日本から来ている役人
1800人を首切り、台湾の民俗に合わせた施政
を断行したんだ。悪疫を除き、産業を興し、
台湾の基礎を築いた功績は長く感謝される。
だから江ノ島の児玉神社には、狛犬や扁額
など、台湾の人達からの寄贈が沢山なのだ。
泣けちゃうなぁ。
児玉さんは、日露戦争で命をすり減らしたか,
翌年54才の若さで脳溢血で急死してしまう。
最後まで、陸軍の大軍備拡張案を脚下し続け
ていたのに、、あと十年長く生きてくれたら
日本の方向も変わっていたはずだろう。
作者の生出さんは、
「児玉源太郎を失った日本陸軍は、糸の切れた
凧のようになってしまった」と、嘆いている。