●最後の幕臣・小栗上野介 @星亮一 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

埋もれてしまった幕末の偉人ナンバーワン
小栗上野介忠順(ただのぶ)。
テレビで林修先生も、磯田先生もイチオシ
してた、再認識したい開明派の幕臣だ。


初めての商社「兵庫商社」を創ったこと、
横須賀製鉄所(造船所)を創ったこと、
近代経営の勤務システムを導入したこと、
軍の近代化をしたこと、、、
フランス主導による近代的マネジメント。


両先生いわく、あまりにも偉大だったが為に
新政府によって功績を消された・・・
というより、存在そのものを消された。
(誅殺)。それほど、薩長新政府にとって
大きな脅威だった、ということになる。







上野介ファンの著者は冒頭から、上野介が
殺害された経緯、その後、家族が会津に
避難する道のりを検証するべく、あらゆる
資料を事細かく調べ、現地を歩く。


板垣退助を参謀とする、新政府東山道先鋒軍
の「血の粛正」により、近藤勇、相楽総三に
次いで、「罪なくして斬られた」上野介。
詮議もなく捕えられ、問答無用に。。


場所は上野介の領地、群馬県の権田村。
大政奉還後、江戸を離れ、帰農隠棲したん
だけど、ここに幕府の公金を運んだ?
と、噂になった。
テレビで林先生が埋蔵金捜索してたなぁ。


顕彰碑   「偉人小栗上野介、
罪なくして此処に斬らる」






上野介の性格は精悍で、多智多弁。
時に周囲を罵倒することもあり、このため
人に疎まれ、誹謗されることもあった、、と
書いてあるけど、これ小説じゃないので
生き生きした人物像はイマイチ伝わらず。。


巻末には参考資料がなーんと、まるまる
9ページ分ずらーっと並び、著者の意欲は
十二分に感じるけれど。


そう思うと、多少脚色はあっても、
司馬さん式に主人公を魅力的に描く「小説」
の役割は大きいなぁ。初心者には必要デス。


小栗上野介





そして後半繰り広げられるのは、なんと
勝海舟派と、上野介ファンの場外乱闘?
同じ幕臣だけど、ライバルなんだって。


上野介は万延元年の日米修好通商条約批准
の使節団でポーハタン号に乗り、
勝海舟は同じく咸臨丸で渡米している。


万延元年遣米使節





本人同士が仲悪かったか、知らないけど、
無血開城以後、全てのお手柄が勝一人の
ものになり、英雄扱いされていることが、
上野介ファンにはどうにもこうにも
許せない。「近代国家の父」は上野介だって
司馬遼太郎も言っとるでしょーがっ!(`´)


氷川清話の文言や、その他の人の文章を
引いて、勝への憎悪をむき出しにしてる。
もしかしたら新政府軍よりよっぽど
恨みに思ってるんじゃないか?  (>_<)


上野介の盟友、フランス語堪能の
栗本鋤雲(じょううん)もお忘れなく。
昌平黌開校以来の天才で「お化け」と呼ばれた。



晩年、旧幕臣の会合で、勝海舟に
「下がれ!」と一喝!その場が凍りついた、
、、と、wikiに書いてあるぞ・・・(*_*)


東雲寺には小栗&栗本。仲良く二人の胸像