●日本のいちばん長い日 @半藤一利 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

この本が最初に刊行されたのは1965年
(昭40)なんだけど、半藤さんは当時、
文藝春秋の編集部次長で、会社的な事情
から名前を出せなかったそうだ。


で、当代一のジャーナリスト「大宅壮一編」と
いう名目で出版し、大ヒット。
監督・岡本喜八で昭和42年映画化された。


大宅壮一さんは「一億総白痴化」という
流行語の人。あったなぁ。それ。テレビ
ばっか見てると頭悪くなるぞ、、って。('ε'*)


そして1995年、戦後50年の節目に
改めてご自分名義に直し、新たな事実も
加えた完全版として、再刊行。
戦後70年の去年、また映画化された。






一回目の聖断による、ポツダム宣言受諾の
方針に不満な陸軍。なんと14日午前の閣議に
乱入し、和平派閣僚を監禁、天皇に聖断
変更を迫ろうと、武力発動を計画する。


ところが貫太郎首相は、14日午後に予定
されていた御前会議を、急遽14日午前に
繰り上げる、超ファインプレー。

スッとぼけつつ、鋭い貫太郎さん。笠智衆




しかも「天皇のお召し」  「戦争指導者と閣僚
全員合同」という、有無を言わさぬ異例の
招集だ。水雷の鬼貫、一発必中の大勝負。


この二回目の御前会議で、天皇は
「この際、自分にできることは何でもする。
必要ならマイクの前にも立つ。陸海軍
にも出向いて、説きさとす」と仰った。






直接の御言葉に一同涙。陸軍部のクーデター
は消滅し、政府方針は終戦に向けて
完全に一致する。◆しかしここから!!


この天皇の「御意志」を「詔勅」にまとめて
世界に発信し、さらに国民を納得させなけれ
ばならない。無事に玉音放送が流れるまでの
24時間。これがいちばん長~い日。







台風の目はガチガチの陸軍だ。暴発寸前!


それを見越して、貫太郎首相は陸軍大臣に
迷わず阿南惟幾を任命してある訳で。


侍従長&侍従武官として共に4年間過し、
互いに尊敬・信頼し合う間柄。。この二人で
なけりゃ、到底終戦は無理だったろう。

三船敏郎




そうはいっても血気盛んな青年将校は
あちこちで暴発した。


上官殺害事件も起こったし、宮城も占拠
され、電話線が切られた。

情報局総裁や玉音放送関係者が監禁され、
玉音の録音盤を奪おうと宮内庁を荒らし、

国民神風隊は首相宅を機銃掃射、火を放つ
ほんとにタイヘンだったんだなぁ。。

陸軍大臣には容赦ない下からの突き上げ・・




玉音放送関係者の一日も長かった!
原稿作成、録音、保管~反乱軍に狙われ~
運搬、失敗の許されないNHK技術者、、


放送直前にも警備の将校が放送室に乱入しよ
うとした。まさに間一髪。長~い一日は
正午の玉音放送でようやく目的を達した。

侍従の機転で無事だった、玉音の録音盤。




去年の映画は見てないけど、昭和42年版は
白黒で古いからか、建物や町の荒廃、
軍人の狂気が真に迫る。残酷な戦争写真も、
まんま映す。リアルで見応えたっぷり。

クーデターで軍事政府が出来ていたら
日本はどうなっていたんだろう。。

このお爺ちゃんが土壇場で日本を救った。