●夜明け前(第一部・二部各上下) @島崎藤村 | ★50歳からの勉強道~読書録★

★50歳からの勉強道~読書録★

本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

     「木曽路はすべて山の中である」

         キタコレ知ってる~~\(^^)/



でもね、この有名な文学作品が
がっつり幕末のお話で、なおかつ
文庫本4冊からなる大長編であることは、
ちっとも知らなかったのだ。



そしてもちろん、主人公・青山半蔵は
島崎藤村の父その人であり、藤村自身も
子供として登場する私小説である。



・・・なんてことも、ちーっとも知らなかったんである。てへへへへー。    f(^_^)








この物語、嘉永6年の黒船来航から
明治19年迄の激動~瓦解~混沌の時期を
木曽路の馬籠宿から見つめている。



いろいろ読んだ歴史本と違うのは、
志士ではなく、全くの町民であること。
京都でも江戸でもなく、木曽の山の中で
あること。

そして立派な文学なのであーる  (^-^)



何かが変わる事を期待し、変わったことに
驚き、失望し、翻弄されつつ
身を委ねるしかなかった
一般庶民の幕末維新が、そこにある。








馬籠宿は中山道43番目、木曽路11宿の
一番西にあり、尾張藩に属す。



青山半蔵の家は馬籠宿の本陣・問屋・庄屋を
兼ねる。偉い御方のご通行に宿を提供し、
食事などのお世話をするのだ。


渓斎英泉    「木曽街道六十九次 馬籠」




下田や長崎に異国船が現れてのちは、
外国奉行の水野忠徳が、川路聖謨が、
岩瀬忠震が、尾張藩主慶勝が、東へ西へ
あわただしく往き来する。



皇女和宮の大行列は3日に渡って東へ下り
参勤交代廃止で大名一家は西へ西へ、、



天狗党は西へ落ち、相楽総三の赤報隊は
東で果てる。そして岩倉ジュニア率いる
官軍東山道本隊の錦の御旗も迎えたんだ。



深い山の中にあって、街道は日本の動脈。
列島の血潮が逆流し、沸騰してゆく熱を
人々は肌で感じとったに違いない。







島崎藤村は明治5年に、この馬籠宿本陣で
生まれ、平田国学の徒である父の薫陶を
受けるも、明治14年9才で家を離れ、
兄と共に東京で学ぶ。



生まれ故郷の本陣跡は現在、
藤村記念館になっているそうだ。




幕末の動乱期に、宿場の代表者ながら
平田国学に傾倒し、波乱の生涯を送った父


衝撃の最期は、その後の藤村にもかなり
大きな影響を与えたんだろうなあ。



馬籠諏訪神社に青山半蔵(父島崎正樹)の
碑がある。




幕末・明治の時代背景を知ることで、
そろそろ・・・明治の文豪たちとお近づきに
なりたいものである。


島崎藤村