●寺田屋騒動 @海音寺潮五郎 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

京都伏見の寺田屋騒動は2つある。


おりょうさんがハダカで、、という方で
なく、これはその4年前、文久2年(1862)
薩摩人同志の相討ち事件だ。



この時行われようとしていたことは
幕末維新史上、初めて明確に「倒幕」を
目指した計画だった。
薩摩藩精忠組を中心とした激派による。



朝廷と幕府政権が協力する公武合体?
もはやそんな生ぬるい改革などいらん!
幕府など倒してしまえ!



この計画が事前に漏れ、薩摩藩指導者
島津久光の命で止めに来たのは、
同じく薩摩精忠組のメンバー。



中止命令を聞かなかったので上位討ち
やむ無し!斬り合いになっただけで、
みんな同じく倒幕の志士。不毛だ。。



結果闘死、切腹9名。
さらに計画に加わった他藩の浪人を
鹿児島まで護送する、と偽り
海中に斬って捨てる。陰湿だ。。。



終始不手際。薩摩藩の汚点となった。



そもそも、
精忠組の中心メンバーは西郷と大久保だ。


この寺田屋の連中含めて、久光様の
お供として京都まで来た訳で、何でこんな
ことになったか、不幸な出来事だった。



単独突出に至る紆余曲折はイロイロあるけど、煎じつめれば久光・西郷・大久保の
不和、不信、不協和音のせいじゃない?



大嫌いな島津久光を棄てたい西郷。
道具として利用しようとする大久保。
不純な工作は裏目に、、



どうも幕末の薩摩は爽やかさと明るさに
欠けていて、読んでいても気分が暗い。
不の字が多すぎ。ネガティブは好かん。







だけど!

この本自体は「史伝」という形式をとり、
フィクション抜きでひたすら資料分析、
解説していてとっても面白い!



なぜか、ですます調で読者に語りかける
海音寺先生。そのまま朗読すれば
中学校の授業になりそうな優しい語り口。
おもしろーい。解りやす~い♪



薩摩藩が月照を匿わなかったことは、

「義理は主義に関係なくあるのですからね。斉彬のしたことを憎悪していたからだとしか考えようはありませんね。」




さらにそもそも幕府政権とは何ぞや?
平安時代から遡りやさしーく解説。



「幕府政権は詐取、あるいは強奪によって成立したもので、決して平和裡に朝廷と交渉して政権授受があって始まったものでないことを、よく記憶しておいて下さい」



はーい。(^-^)/



その他、薩摩島津家のお家事情、
開国論、公武合体論の変遷や
国学、儒学、孔子のプチ情報まで
今後も幕末教科書として利用します。



海音寺先生、
明るく楽しい授業をありがとう♡