●幕末太陽傳 | ★50歳からの勉強道~読書録★

★50歳からの勉強道~読書録★

本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

1957年 日活
監督  川島雄三      助監督 今村昌平
音楽  黛敏郎






フランキー堺主演のコメディ映画で、
落語の「居残り佐平次」「品川心中」
「三枚起請」「お見立て」を
モチーフにしている。


無銭飲食をして、そのまま住み込みで
働き、借金を返す居残りの佐平次。
「いのさ~ん♡」と呼ばれ大人気。





舞台は品川に実在した「相模屋」で
実際に高杉晋作や久坂玄瑞などが
たむろした宿屋なんだって。



攘夷流行りの幕末江戸の風情がたっぷり。

お茶屋の様子、荒神様信仰、品川の海、、



御殿山の英国公使館焼き討ちも
話の核になっている。
井上馨は二谷英明
久坂玄瑞は小林旭。
伊藤博文も来島又兵衛もいるよ。



高杉晋作が三味線を弾きながら
自作の唄を唄うシーンがある。


         三千世界の烏を殺し
         
                ぬしと朝寝がしてみたい   ♪


実際に流行した唄を、晋作は幾つも残していて、石原裕次郎がクールに演じる。
旦那ァ、お侍さんには惜しいねぇ~






フランキー堺の鮮やかな江戸っ子ぶりが
小気味良い。お見事!
それとも何かぃ、野暮は品川の流行りで
げすかぃ?



ナンバーワン女郎は南田洋子。
キレイなこと!そして逞しく哀しい。
わっちは爪の先まで金で買われている
身でござんすのぇ!






その他、テンポ抜群の芸達者勢揃い。
金子信雄、山岡久乃、小沢昭一、左幸子
芦川いずみ、岡田真澄、西村晃。


菅井きんの「やり手おくま」も出色だけど、
個人的には放蕩者の若旦那、徳三郎が
大好き!  オモシロイ。



とっても笑えるんだけれど、コメディ映画
と言うに抵抗を感じる。


喜劇だからこそ描ける、悲哀と必死。






一寸先もわからぬ政情不安、貧困、不景気
その日暮らし、、。幕末の人達は
虚勢を張り、そ知らぬ顔で笑い飛ばし、
無我夢中で駆け抜けたんだなあ。