第9次遣唐使の学生僧、普照が
20年の歳月を経て鑑真和上を伴い
帰国するまでのお話。
全編舞台は中国。
よくもこんなに詳しく、、
と感心するほど渡航の苦労や、
異国で過ごす学生僧の様子が描かれている。
淡海三船の「唐大和上東征記」など
詳細な資料に基づいているという。
それにしても、鑑真が日本に来るのに
5回も失敗し、のべ10年もかかって来てくれた、ということ知って感動!
鑑真のような高僧が危険を冒してまで
異国へ流出してしまうことは、
中国側としては許し難いことだったのだ。
最初は743年、鑑真55才から始まり、
密告され頓挫→遭難で中止→
日本僧の投獄→また密告で送還、、
を繰り返し5年経過。
5回目の出航は暴風雨で海南島へ漂着。
鑑真は失明し、失意のうちに引き返す。
それでも鑑真の「日本へゆく」という
決心は揺らがない。
なんと有り難いことか。
さらに5年後。
第10回遣唐使船の帰国便に
「こっそり」乗船。
しかしまたもや嵐で沖縄に漂着後、
ついに薩摩へ上陸成功した。
奈良に迎えられてからは戒壇院を設け、
戒律を授ける導師となり、
晩年の10年間を日本に捧げてくれた。
今まで日本になかった、正式に僧を
認定するシステムができたのだ。
この「天平の甍」という名作のお陰で、
中国においても鑑真の功績が広く知られる
ようになり、記念碑なども建ったそうだ。
普照を中心に、栄叡、戒融、玄朗、業行。
5人の無名な修行僧の壮絶な生き様は
人生の縮図だなあ。
胸に迫り、ドキドキしながら読む。
なにもかにも!とにもかくにも!
いにしえの人達に感謝せずにはいられなくなる、強烈な一冊であった。
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唐招提寺の鑑真和上坐像は
日本最古の肖像彫刻
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20150131/01/yume-nomata-yume/6b/98/j/o0300040513204100143.jpg?caw=800)