●古代史で楽しむ万葉集 @中西進 | ★50歳からの勉強道~読書録★

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本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

万葉集は全二十巻、約四千五百首。


万葉集を知りたいけれど、
歌の解説だけされてもワカンナイし、、、
と思っていたら、歴史を交えた良い本発見。


特に柿本人麿にはページを多く割かれており
歌人として特別偉大な存在だということが
良くわかる。






歌の良し悪しは全然わからないけれど、
東歌(あづまうた)の中に、
私だけに響く歌がある。




 葛飾の   真間の入江にうち靡く
        玉藻刈りけむ    手児奈し思ほゆ
                               山部赤人



 葛飾の  真間の手児奈を   まことかも
       われに寄すとふ   真間の手児奈を
                               高橋虫麻呂




手児奈霊堂がある広場は小学生時代、
毎日の遊び場だ。 手児奈さんに集合だよ!


男の子から「けっとう状」をもらったことも
ある。「3時にてこなさんで待つ。」





真間山幼稚園も思えば古色蒼然たる石階段、
鬱蒼とした坂道、弘法寺、垂れ桜、、、
毎日駆け回っていたけど、
実はなかなかの風情であったなあ。



多くの男に言い寄られ、
苦しみの余り井戸に身を投げ命を絶った、
儚くも美しい、手児奈という娘が
ここには確かにいたのです。



私はと言えば、かの男子をやっつけるべく、
落とし穴を掘った覚えがある。
1300年後の女の子は強いのだ。




歌に詠まれた実際の風景を知ってるか
知らないか、その差は大きい。



梅原先生は、持統天皇が31回も行幸した
吉野を実際に訪れているが、
宮滝が断崖絶壁と奇岩に囲まれた
中国の山水画のような風景であることに
驚いたという。


吉野行幸で人麿たちが詠んだ歌々に
日本的な風景は無い。
中国の「道教」に強く影響を受け、
神仙境での聖なる加護を願ったのだ