●闇の左大臣~石上朝臣麻呂 @黒岩重吾 | ★50歳からの勉強道~読書録★

★50歳からの勉強道~読書録★

本は友達。一冊一冊を大切に記憶に留めておきたい。

黒岩さん絶筆となった長編。


石上朝臣麻呂は藤原不比等と同時期に
左大臣まで昇りつめた人物なのに
あまり有名ではない。


なのにこの時代のどんな本にも必ず登場
してくるから、蘇我倉山田石川麻呂と
ごちゃごちゃになっちゃう。アナタ誰~?


ようやくバッチリ区別ついてみれば、
石とマロ以外、全く共通点なし。
どんだけおっちょこちょいか。f(^^;


なんと言っても一番のインパクトは、
壬申の乱で敗れた大友皇子に最期まで
付き添い、その首級を大海人側に
届けた人物であるということ。



当時の名前は物部連麻呂。


主君の首を相手方に差し出すのだから、
どうして殉死しないのか、とか、
自分で殺したんだろうとか、
当然怪しい訳で。。。


そもそもとっくに滅びた物部氏。
全国に残った支族の多くは、間者として
地下で暗躍したらしい。


そんな逆境を乗り越え、物部仕込みの
情報収集力と巧みな外交手腕で新政権に
取立てられ、天武ー持統ー文武ー元明帝に
至って最高位の左大臣を極める・・・・

大逆転の超出世物語なんだ。




闇の左大臣とか、大友皇子の首とか、
怪しいイメージで見がちだけど、、
混沌とした皇位継承争いの中で
天武~持統~不比等へと、勝ち組を見究め
スリよっていく的確な政治判断。


物部再興を胸に、出世を志す男としては
当然の頑張りだから、キライじゃないかも。