モロッコで胃が痛くなっていた頃。 | イタリアでモロッコごはん

イタリアでモロッコごはん

イタリア在住 リツコがモロッコ人と結婚を決めた途端、介護同居生活が始まり今に至るドタバタと、美味しいモロッコ&地中海料理について語ります♪

カサブランカの

夫の実家の真ん前にF女史の実家がある。

 

F女史は、結婚してマラケシュに拠点を移した後

ずっとマラケシュに住んでいる。

 

 

だけど、20年前、夏のマラケシュは暑過ぎるので

夏の間は涼しいカサブランカの実家に戻ってきていた。

 

 

私がアラビア語が全く理解できなかった結婚当初

夏にモロッコの実家に帰ると

胃が痛くなる現象が勃発していた。

 

 

ちょっと想像してみてほしい。

スマホがなかったあの頃

アラビア語が理解できない私は

何をして過ごしていれば良かったのだろう??

 

 

広いサロンの脇にある小さな寝室が私と夫に空け渡されて

みんながサロンにいる時は一緒に過ごし

疲れると寝室に行って独りになって本を読んだりしていた。

 

 

私が寝室に入るなり

家族のみんなが私についてヒソヒソと話しているのが聞こえた。

 






 

夫はと言えば

家の前の通りに出た途端に

100人くらいの近所の友人に挨拶せねばならず

一度外に出たら何時間も帰ってこなかったりした。

 

 

私は置いてきぼりにされて

サロンと寝室とキッチンを行ったり来たりして

それにも飽きて、独りで外に出ようとすると

 

「どこに行くの?独りで行っては危険よ!誰か付いて行かせるから。」

 

と、洋服を来て、バッグを斜め掛けにかけて

外に出ようとする私は

独りでカフェでも飲みたいのに

いつも誰か、お付きの人を付けられてしまった。

 

 

最初は意味が解らなくて困惑していたけれど

みんな、私が洋服を着て、バッグを斜め掛けにしているから

絶対に泥棒の標的にされると思って

大層心配して「独りで外に行くな!」と言っていたのだ。

 

 

その頃、私はまだ頭が硬く

洋服でしか外に出なかったけれど

一度夫と一緒にF女史の家に遊びにご挨拶しに行くと

そこは激しく笑いに溢れた不思議な空間だった。

 

 

ななな、なんだ!?この家は??

しかも親戚一同、マルチリンガルで

イタリア語、フランス語、アラビア語、英語が飛び交っている。

 

 

夫の実家の親戚は、真面目な人が多く

フランス語を話す義姉が1人だけいるけれど

彼女がいなければ誰ともコミュニケーションが取れない

夫の実家にいると胃が痛くなるので

 

 

午後のお茶の時間が終わると

そそくさと各国語が飛び交うF女史の家に行って

 

やっと肩の力を抜いて、誰の目も気にせず

何だか解らないけれど楽しくて

思わず笑ってしまう空間に身を置いて

 

イタリアよりも、もっとゆっくりと時間が過ぎていく

ここモロッコで、心からリラックスしていられる場所を

見つけてホッとしたのだった。


つづく