モロッコの大家族の利点。 | イタリアでモロッコごはん

イタリアでモロッコごはん

イタリア在住 リツコがモロッコ人と結婚を決めた途端、介護同居生活が始まり今に至るドタバタと、美味しいモロッコ&地中海料理について語ります♪

そもそも、モロッコでは

「介護」という感覚が欧米諸国とは

かなり異なっている。

 

 

それはイスラム教国であるという

文化、習慣、考え方の違いによる。

 

 

例えば、私は昭和の日本の核家族で育ち

祖父母は離れた所に住んでいて

最終的に老人ケア施設に入居した後に亡くなった。

 

 

私がモロッコに最初に行った時に見た風景は

3階建てのアパルトマンに

子供から祖父母まで大家族で住んでいる図だ。

 

 

スペース的には十分あり

みんなが戯れながら、

誰かが具合が悪ければ、他の家族が助けるのが当たり前。

 

子供の面倒も手が足りているので保育園も要らず

介護が必要なお年寄りもみんなで交代で助けているので

もちろん、老人ケア施設も要らない状態だった。

 

 

とても合理的な生活様式だな〜!と私は感銘を受けた。

 

 

だって、送り迎えとか

風邪だから保育園に行けない日は

母親まで仕事を休んで子供の看病をしなければいけないとか

 

核家族だからこその悩みばかり横目に見てきた私には

大家族で住めば、誰かが見ていてくれれば

お金も掛からないし、時間のロスがないし、

そもそも心配の種がない。

 

 

 

では、大家族がいない、家もない場合はどうなるのか?

 

私は夫と結婚してからモロッコに毎年行くようになって

ギョッとするような光景に何度もあった。

 

 

夫の実家の前の道は

小さな商店が連なる中

倉庫の様な場所のシャッターが上がっていて

白い板が胸の高さ辺りまで立っている場所があり

みんながそこを覗いて通り過ぎている。

 

 

私は、普段はマラケシュに住んでいるけれと

もともと、この地区で生まれ育ったF女史と歩いていた。

 

F女史がその白い板のところから覗いて

「どう?元気〜?」

と誰かに声をかけているので私も覗いたら

 

 

なんと!

 

2畳くらいのスペースに

ベッドが置いてあり

そこに身寄りがないという老人が寝ていたのだ。

 

 

そこの道を通るみんなが白い板まで近づき

そのお爺さんに声をかけては

帰りがけに飲むヨーグルトなどをベッドサイドに置いて

自分の家に戻っていく。

 

 

そこは、オープン老人ケア施設の様だった。

 

 

誰かが倉庫を無料で解放し

きっとその家の上の階の人がオムツを替えてやり

近所のみんなが声を掛けてお見舞いの食べ物を持ち寄り

みんなが少しずつ喜捨でお金を集めオムツを買い

夜には寒くないように白い板を取り、シャッターを降ろす。

 

 

これぞ、モロッコスタイルの公開型介護だった。

私はのけぞるほど驚いて

これが成り立つイスラム社会って凄い!と思った。

 

 

何よりも、人々の心が温かい。

みんな、時間と心に余裕がある。

 

お金があるなしは関係ない。

みんなの心が繋がっているから

自然と喜捨でお金が集まる。

 

私は感動でウルウルしてしまったお願い

 

このシステムが機能するのであれば

明日は我が身だって、誰も将来の心配なんて

しなくて良いではないか!

 

 

そうだ、だからこの国の人達は

将来の心配をしないんだ。

 

甘えて良い社会なんだ。

誰かに、助けて!って簡単に言える社会なんだ。

 

助けて!って言えなくても

隣にいる誰かが率先して助けてくれる世界なんだ。

 

 

 

私はこんなモロッコを見てしまったから

義姉が脳梗塞で半身不随になって

同居しなければならないとなった時

 

夫がどういう世界で育ってきたか解っていたから

とてもNOとは言えなかったんだ。

 





 

 

日本でもモロッコの様な助け合っていた時代があった。

だけど、みんながやりたい放題やり始めたら

エゴまみれの生きにくい国になってしまった気がする。

 

みんなが「助けて!」が言えない国。→自殺率も高くなる。

 

助けて=お金が掛かる というシステム。

 

異常に他人に厳しい、心に余裕がない文化。

 

 

例えば、電車で子供が大騒ぎしていても

周りの人間が迷惑な顔をしない国順で言うと

 

モロッコ

イタリア

日本

 

となる。

 

モロッコが一番、他人に対して寛容な文化なのだ。

みんな大家族で育ったり

小さな赤ちゃんを面倒みる機会が豊富だから

赤ちゃんが泣くという状況を体験から理解できる。

 

 

それは大人が子供に見せていく姿であり

子供は大人が赤ちゃんにどう接するかを見て学び

それがどれくらい大変な状態なのかを理解している。

 

 

だからモロッコでは介護している姿を当たり前に見ているので

自分がお年寄りを面倒みるということに対するハードルが低いのだ。

 

 

もちろん、お年寄りの世話も

赤ちゃんの世話も見たことも、したこともない

核家族育ちの日本人は

その大変さを理解できないので、他人に厳しく当たる。

 

 

何事に対しても寛容で

助け合いの心に溢れていると

 

生きやすくなる。

 

心配事が減る。

 

小さな幸せに感謝できるようになる。

 

みんなが繋がっているワンネスを感じられる乙女のトキメキ

 

 

私は、だから、モロッコ式で生きることを選んだんだ。