ケンカの奥義 | イタリアでモロッコごはん

イタリアでモロッコごはん

イタリア在住 リツコがモロッコ人と結婚を決めた途端、介護同居生活が始まり今に至るドタバタと、美味しいモロッコ&地中海料理について語ります♪

私はケンカのやり方というものが解らず

イタリアで何度も悔し涙を流してきた。

意地悪なイタリア人に対抗出来ないことが何度も続いた。

(全般的にイタリア人は良い人だけど

 たまにいるよね、ムカつく人凝視

 

 



その頃、娘を出産したばかりの大学生だった私は

同じ図書館でよく一緒に勉強していた

モロッコ人のFちゃんに

 

「ケンカの仕方を教えてくれ」

 

と頼んだ。

 

 

 

彼女は人をムカつかせるのがプロ級に上手く

(良いのか悪いのか解らんがバレエ
 

同じ性質を持つ、うちの義姉に初めて会わせた時には

瞬時に二人とも戦闘態勢になり、ケンカが始まりそうだったので

そそくさと、Fちゃんを我が家から引っ張り出した滝汗


何があったか、ちょっとお話しするね。

 

 

その日は突然雨が降ってきて

Fちゃんは同じ言葉を話す義姉に

そこに6〜7本ある置き傘のうちの1本を貸してくれないか?

と頼んだのだ。

 

 

義姉はその頃まだ両足あり照れ

突然の雨の日に、夫が職場から持って帰ってきた傘を

自分のものとして保管することに執着していた無気力

 

 

だからその傘は、実際は義姉のものでも

誰のものでも無いのだけれど

義姉の部屋に入った途端に彼女のものになるという

摩訶不思議な憲法が、そこでは成り立っていた。



彼女の部屋にあるものは

「彼女のモノ」であって、絶対に触らせなかった。

 

 

義姉は、インテリで生意気そうなFちゃんの

見下したような話し方にムカついたのだと思う。

 

 

「お前に貸す傘は一本も無い!」

 

と返事してのけたのだポーン

 

 

そこでキレッキレに頭の良いFちゃんは

アラビア語で何か義姉に瞬息で返事をしたのだ。

 

 

誰も聞いていないので

Fちゃんが何を言ったのかは、解らない。

 

それに義姉はブチ切れて

ケンカになりそうになったのだ。

 

 

この「瞬息の間の切り返し」が

ケンカの時にどれだけ重要かが

私にはヒシヒシと解っていた。

 

ただ、何をどう切り返して良いのか解らないし

それは相当相手にダメージを与える

「相手をムカつかせる言葉」でないと意味がない。


Fちゃん同様

義姉もその「瞬息の間の切り返し」が

天才的に上手い。

 

つい先日も、

呆けているのにも関わらず

突然キレッキレに「頭が冴えている瞬間」があり

 

呆けていると思って油断している私に

グサーッと何か一言、言ってきたのだ。

 

以前なら言い返していたけれど

その数分後に、何を言ったかさえも忘れてしまう彼女に

腹を立てたりすることはなくなった。

 





 

 

さて、私はFちゃんの脇にいて

常に「ケンカの奥義」の講義を受けることにより

だんだんムカつく相手に言い返せるようになってきた。

 

 

「こう言われたら、こう言い返すのよ!」

 

ねぇ、こんなこと言われたんだけど

どう返せば良かったのかしら?

 

「そういう時には、こう言ってやるのよ!」

 

 

私はこうして、徐々に相手にダメージを与える程の

切り返しが出来るようになっていった。

 

 

 

 

 

ある日、信号のないところで

道を横切っていた夫が

バスの運転手に

 

「お〜ぅ、モロッコ人〜!」

 

と罵られたという。

 

 

すると夫は、すぐさま

 

「お〜ぅ!ナポレターノ〜!(ナポリ人)」

 

と言い返したら、何とも屈辱的な顔で黙ったのだというニヤニヤ

 

 

何故なら、フィレンツェのバスの運転手は

何故かみんなナポリの人間で

(きっと人事をマフィアが牛耳っているから)

 

だけどナポリ訛りなだけで

実はナポリよりももっと田舎者が

職を求めて出稼ぎに来ている状態なのだ。

 

 

つまり、その運転手は

生粋のナポリ人でもない

もっと田舎からの出稼ぎ人だって事を
 

「ナポリ人」でもない自分に

「モロッコ人」から罵られて

田舎者な事を思い知らされて

顔が歪んでしまったのだ。

 

 

夫も瞬息の間で切り返しができる人間だ。

ええな。

 

 

ケンカや切り返しは訓練指差し

負けないように、頑張って参りましょうオーナメント