医療通訳の現場から。 | イタリアでモロッコごはん

イタリアでモロッコごはん

イタリア在住 リツコがモロッコ人と結婚を決めた途端、介護同居生活が始まり今に至るドタバタと、美味しいモロッコ&地中海料理について語ります♪

イタリアの病院には

一見よく分からないけれど

医療通訳がウロウロしている。

 

 

中国人やアラブ系の人は

本当にイタリア語が話せず理解できない人がいるので

医師が必要と判断すれば

次の診察で医療通訳を依頼する。

 

 

特に手術前の承諾書にサインする時には必須で

危険な状況に陥る可能性もあることをきちんと説明した上で

患者がそれを聞いた証拠、医療通訳がそれを説明した証拠として

お互い承諾書にサインして裁判沙汰にならないようにする。

 

 

私達医療通訳は、大学病院の受付の裏に事務所があり

そこで書類管理ファイルに自分の仕事の書類を残して帰る。

通常、みんな病棟にいて事務所は無人だけれど

行き、帰りの数分だけここに滞在したり

ランチ休憩時にここで過ごす人もいる。

 

ここに事務所はあるけれど

フィレンツェ全域の公共病院から依頼を受けているので

色んな病院を回ることもあれば

 

私はトスカーナ全域の田舎町から呼ばれれば

そこまで出張することもある。

 





 

 

私は今日は医療通訳ではなく

個人的な診察で大学病院に行っていて

用事が終わったのですぐに敷地から出て帰っても良かったのだけれど

 

なんか敷地内を通って、医療通訳の事務所前を通りたくなって

病院の構内を歩いて行った。

 

そういう直感の行き先は

何もなければそれまでだし

何かが待っていることもある。

 

 

私は大学病院の受付があるガラス張りの建物に辿り着いて

事務所の中に誰かいるかな〜?と覗くと

 

 

ポーンポーンポーンポーンポーンポーン

 

 

うわ〜!今日は何かが待っていてやっぱり呼ばれたんだ!

と思ったわーお願いキラキラ

 

 

先日突然、通常呼び出されない土曜日に

緊急で呼び出された医療通訳の現場で

一緒に通訳した他の言語の通訳のマダムがいて

彼女が事務所にいるのを私は発見したのだ指差し

 

 

私は大抵のことには動じないけれど

この緊急案件だけは非常に胸が痛んで

その後どうなったのか?非常に気になっていたのだ。

 

 

私が受付に入ると、彼女が出てきた。

 

 

ねぇ、ねぇ、私のこと覚えてる?

あの時一緒にお仕事した日本人だけどうーん

 

「あー、覚えているわよ!元気だった??」

 

元気よー。今からどこの病棟行くの?

あなたのこと、送って行きがてら、

あの緊急案件の人が、その後どうなったのか教えて!

 

「あー、あの人ね!じゃぁ、歩きながらお喋りしましょ!」

 

 

彼女は、その患者さんの経過は良く

全て上手く行ったことを話してくれたので

私は、ホッと胸を撫で下ろし、とても幸せな気分になったラブ

 

 

私は、直感に従って、この経過を聞くために

病院の構内を歩こうと思ったのだ流れ星

 

 

そして彼女は今から感染病棟に行くのよ

と言っていた。

 

糖尿病をこじらせた患者が歩けなくなってしまったのだ

と言う。

 

 

うわー、それ、うちの義姉と一緒不安

 

私は彼女に、うちの義姉が同じく感染病棟に入院していたこと

足を切断する前、膝下に血流が通らなくなるのだけれど

 

そうすると皮膚に酸素が行き渡らなくて

皮膚がグチャグチャと腐ってくること

 

その皮膚から汁が滲み出してきて

酷く嫌な臭いがすること

 

その時が一番、細菌に感染しやすく

感染したら最後、全身に毒が回って

敗血症で死に至る可能性が大きいことを

タラタラと説明した。

 

 

彼女は、

「そうそう、その患者は血糖コントロールもせずに

 食べまくっていて、足が硬くなって歩けないとのことよ。

 

 どうして天から五体満足な身体を授かったのに

 こうして自分の身を痛めつけるようなことをし続けるのか!?

 こういう話を聞いていると憤りを感じるわ!」

 

と言っていた。

 

 

こういう患者は、身体を痛めつける前に

心が病んでいるから、そこまで食べ続けてしまうのよ。

 

本当は医師と栄養士と精神科医がタッグを組んで

心のトラウマから抜け出せるよう導いていく

カウンセリング導線を用意しているのに

そういう患者は、決まってきちんと通院せずに逃げるのよ。

 

あとは無知なまま食べ続けて

足が真っ黒になった時には

自分も真っ青になって、即、切断よ。

 

そして自分は狂って

周りの家族を巻き込んで苦しめて

ハチャメチャにするのよ魂

 

 

「えー!いや〜!笑い泣き 
   実は私の弟も血糖コントロールせずに食べ続けているんだけど....ガーン

 

 

最悪の事態になる前に

内分泌課の診察に連れて行って

マルチディシプリナリーカウンセリング

(多職種連携カウンセリング)に通わせると良いよ。

 

「そうするわ〜。あなたも大変だったのね。

 アドバイスが心に沁みたわガーン

 

 

こうして私達は電話番号を交換した。

またあの緊急呼び出しの患者さんの

その後の状態が分かったら聞かせてね、とお願いして。

 

 

 

本当にイタリアの医療は至れり尽せりで

いくら感謝しても感謝しきれない。

 

言葉が解らなければ、病院払いで通訳用意してくれるし

そんな、血糖コントロールしないワガママ患者も

「糖尿病」と診断されれば、医療費どこまでも無料だし。

 

血糖計測キットまで全て無料で提供してくれるのに

計測しないって、どういうことだよ!?


 

心が病んでいるから「出来ない」のだけど

それを克服するのにも時間をかけてカウンセリングが必要だし

大変なのは分かっているんだけど

 

いつもそういう人に限って、大抵ブーブー文句言っているんだよね。

 

 

 

いつも感謝の心を忘れずにいこうよ。

 

朝、目覚められたら、感謝だよ。

 

ベッドから自分の足で起き上がれたら、感謝だよ。

 

洗顔しに一歩足を踏み出せたら、感謝だよ。

 

 

子供がパチッて目覚めてくれたら、感謝だよ。

 

元気に学校いってくれたら、感謝だよ。

 

学校に行けなくても良いよ、生きていてくれるだけで、感謝だよ。

 

 

私達、医療通訳同士で、感謝についても

しみじみ話して、同感だった。

 

普通に生活できることが、実はミラクルなこと。

普通に生活出来ない人を常に現場で見ているからこそ

常に感謝することを、絶対に忘れてはいけないと思うお願いハート