もったいないレシピ。 | イタリアでモロッコごはん

イタリアでモロッコごはん

イタリア在住 リツコがモロッコ人と結婚を決めた途端、介護同居生活が始まり今に至るドタバタと、美味しいモロッコ&地中海料理について語ります♪

私が自発的に料理を始めたのは社会人になってから。

 

それまでに小学生の頃にクッキー作りから始まり

お菓子作りに夢中になった。

 

中学生の頃、パティシエールになるんだ!と言ったら

速攻却下され笑い泣き

 

大学の食物栄養学科で世界の料理をスパルタで指導された。

その頃の私は、家では料理していない。

 

きっと、他の学生も母親が作ったものを食べていたに違いない。

 

 

調理学の教授のもとには

めちゃくちゃ清楚な助手と

暴れん坊な助手が2人ついていた。

 

 

清楚な助手の日は、授業は穏やかに進んだが

暴れん坊が助手の日は

彼女は各調理台を眼をギラギラ光らせながら監視し

 

本当に基本的な作法を間違うと、ゴルァ〜ムキー

と、みんなの前で怒鳴り散らした。

 

 

例えば、「木べらを使う前には水で濡らす」。

 

これが出来ていないのを見た途端に

吊るしの刑に処される滝汗

 

 

木製品は一度濡らしておくと

油や、スープ類の木目への侵入を減らして

その後の雑菌の繁殖を減らす効果があるのだ。

 

 

衛生学を学ぶと、大量調理の場で

いかに雑菌の繁殖が仇になるのか?

それで営業停止になったら責任問題に発展する。

 

 

そういう基本的な事を暴れん坊の助手は

ガミガミと教えてくれた。

もう少しコミュニケーションの仕方を学び直せよ

とか私は思っていたけどねてへぺろ

 

 

つまり調理場での暗黙のルールというものが多々ある。

 




 

私達学生は、レシピもこれでもか!ってくらい書かされた。

 

自分で100人分の学食のレシピを作成して

グループで実践できるかというテストも

食物栄養学科専用学食というのがあって

普通の学食よりも高い値段でお食事を提供していた。

 

 

この学食はデザートまでついて

完全予約制で、当時700円〜1000円だった。


いつも大人気で満席、栄養バランスもバッチリなので

特に教授達が喜んで予約して食べに来ていた。

 

 

1週間、5〜6人の学生グループで

必ず1日、調理長となる日が巡ってくる。

 

だから自分のレシピで100人分無事にできるか

本当にヒヤヒヤしながらその日を迎える。

 

大量仕入れも自分でオーダーする。

レシピも全員が再現できるように

的確に書く技術が求められる。

 

 

家で料理したこともない学生が

これだけスパルタで色々やらされるので

半泣きで、みんな知識を叩き込まれる。

 

 

レシピにも調理現場で

誰が見ても支障なく作れるように書く順番

使用する用語、表記、切り方の指示など

調理師がスムーズに調理に取り掛かれる書き方の法則がある。

 

 

私はそれをゼロから叩き込まれているので

今まで特別、意識をすることもなく

レシピを書いていた。

 

 

だけどたまに、そういう勉強をしたことがない人が

書いたレシピをもらって見ると

ヌヌヌ不安と、眉をひそめざるを得ない

明らかにヘンな書き方をされているものがある。

 

 

これは、解る人から見れば

明らかに間違った書き方であり

食物栄養学科では、合格点はもらえない驚き

 

 

レシピとは、文字に書き順があるように

当たり前のように常識となっている法則があるのだ。

 

 

それは調理学で、ここで材料をこの順番で入れないと

目指す食感に仕上がらないから....など

固体の水分への溶解や、水と油の乳化の仕組みも

考えた上で書く順序が決まるのだ。

 

 

もし、誰かに教える立場になるのであれば

最低限、誰もが見て疑問を抱くことがなく

スムーズに調理出来るようにレシピを書くべきだ。

 

 

その最低限の感覚すら身につけていない人は

レシピを見た途端に不合格を言い渡されてしまう。

 

 

その人の作る一皿がいくら美味しくても.....だ。

 

私は、それは、とても勿体ないことだと思う。

身近な人でそれをやらかしていたら指摘するけれど

見ず知らずの人にそれを指摘したら、暴れん坊の助手みたいにだよね魂

 

大人になってから

そんなこと言われるの、嫌だもんね。

 


だけど、人は第一印象の数秒で決まる。

最初に渡したレシピでダメ出しされたら

お料理教室の間中、ずっとその印象が付きまとう…。


そんなこと、絶対に勿体ないから

お料理の教室で先生と呼ばれる立場の人は

お料理が美味しいのはもとより


レシピを書くに当たって

最低限の知識を身につけておくべきだと思う。