2024/3/25
家から割と近いところに、魚介専門のスーパーがあることがフィレンツェでは割りに珍しいのは、肉の町だからである。魚屋さんが無いわけではないけれど、お肉屋さんに比べて圧倒的に少ない。たまに魚介が食べたくなった時、こういう店が近くにあるのは嬉しいけれど、新鮮な魚の美味しさを知っている日本人としては、どうしようもなく魚介料理が食べたくなった時の、最後の手段。何より、あの生臭いのがどうにもこうにも、ツライ。決して、腐っているわけでなく、新鮮なのだけれど臭い…のである。鼻をつまみたくなる衝動に駆られながら、買うのは、養殖の鯛。天然物は高くて、1キロ60ユーロくらいしていたから。フィレンツェで魚介は、立派な高級品なのである。「オーブンで焼くんなら、シーバス(スズキ)があるよ。」店員のおばちゃんは、親切に教えてくれた。大きくて立派だった。トスカーナの人が鯛よりスズキを選ぶのは、その大きさが理由なのだろうか…と思ってしまう。日本とは違う価値観の中で、密かに抵抗する私は、スズキよりも養殖の鯛。「腐っても鯛」って言葉があったことを思い出した。かくして、薄くスライスしたジャガイモの上に、小ぶりの鯛をのっけて、オリーブ畑から持ってきたローズマリーやタイムを刻んだものを塩と合わせてふりかけ、オリーブオイルをひとまわししたものをオーブンで焼いてみた。これはこれで、美味しかったけど、日本の焼き魚が食べたくなった。