ミント | 私のイタリア時間

私のイタリア時間

イタリアに住みはじめて、20年もの月日が経ちました。
イタリアでの何気ない日々。流れる時間の中で起こる、ふとした出来事や思い。
このブログでは、そんな日常を1枚の写真と共に書き綴っています。



2024/2/13


根が生えてきた。





オリーブ畑から持ってきたミントが、キッチンの一番日当たりの良い場所で呼吸している。ふと見ると、白い根が生えてきていた。ミントは比較的、根が強い植物だとは聞いていたけど、私の元で育つ強さに、少し心を動かされる。この植物たちの環境に応じて変化していく様を見たら、人間の進化はいかがなもんであろう。私はずっと、未来に行けば、人間は進化するもんだと思っていた。あの日のバチカンで展示品の説明を受けるまでは。初めてのローマだった。ホテルと航空券だけの安いツアーに1日だけオプションをつけた時、日本語の話せるフランス人の新人ガイドさんに出会った。「明日はどちらに行くんですか?」と聞かれ、「明日はバチカンに行く予定です。」と応えたら、「お金は要らないので、勉強の為に同行させていただけませんか?」丁寧な日本語に、二つ返事で承諾しての事だった。時にちょっと長すぎる説明に、立って寝てしまいそうな時もあったけれど、「この絵とこの絵を見てください。これが16世紀の作品で、こちらは17世紀以降のものです。ルネッサンスの時代には、見事なまでに表現できていたパースの技法が、17世紀の絵では劣っているのですよ。」この言葉に、衝撃を受けた。絵と年代を見比べる。本当だった。そっか、未来に行けば進んでいる…とは限らないのか。考えてみれば、フィレンツェのクーポラだって、どんな技術で造り上げたのか、解明するのに苦労している話を聞いた事があった。何百年も前にできた事が、コンピューターやテクノロジーを持ってしても解明できない事がある。まあ、私史上で言っても、確実に衰えている。体力的にも、多分、頭脳的にも。それでも、日向ぼっこしながら、グッと白い根を生やしつつあるミントに、自分への叱咤激励をしてみるのだ。






今日もありがとう!
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最後までお付き合い、どうもありがとうございます。




「進化・進歩を感じることは?」

私自身は退化を感じるけれど…





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