HSS型HSPの解説9~HSS型HSPの心のスクラップ&ビルド

 

  

  前回は、

  HSS型HSPは

  自分と他者との間の 

  「境界線」が薄く、

  このため

  人間関係で傷つくこともあるため、

  「境界線」を設けることの

  大切さについてお話ししました。

  

  

 

   HSS型HSPの解説8~HSS型HSPと「境界線」

  

 

 

 「傷つきやすいのに刺激を求める人たち」

   ~フォレスト出版

   トレイシー・クーパー著

     (カリフォルニア

     統合学研究所の統合学哲学博士。

     HSPのアーロン博士の

     ドキュメンタリー映画にも

     出演、自信もHSS型HSPと公表)

   時田ひさ子監訳

    (HSS型HSP専門心理カウンセラー)

   長沼睦雄監修

    (精神科医)

 

  

  今回は、

  HSS型HSPの

  心のスクラップ&ビルドについて、

  「傷つきやすいのに刺激を求める人たち」の

  中から、

  時田解説を中心に

 

  お話しします。

 

  クーパー博士によると、

  HSS型HSPが

  非HSS型HSPの人と

  自分が異なると

  非常に強く感じる点に

  「創造的本能」があるそうです。

  

  ここで言う「想像」とは、

  一般的なアートや文章を作るといった

  意味の創造ではなく、

  人の心の内・外的な真実の

  探求にかりたて、

  現実を認識しながらも

  自己変革の機会を与える

  創造的【本能」という

     意味だそうです。

 

 

  この創造的本能により、

  HSS型HSPは

  生涯を通じて、

  心理タイプや生物学上の

  遺伝的形質を超えた探求の中で、

  他者とは異なる自分に

  なるという思いに

  駆り立てられるのだそうです。

 

  それは、

  この創造的本能により、

  HSS型HSPは

  人間として生きることの意味を

  「ただ生きる」ことに

  求めるのではなく、

  「人としてどうありたいか」

  「どうしたらそうなれるか」

  ということを

  強く求めること

  なのだそうです。

 

 

  HSS型HSPは

  日頃抱える罪悪感、

  自己否定感といった

  ネガティブな部分の感情を

  よく感じます。

  

  また、

  尽きない向上心、

  後悔しないように生きたいという

  切実な願いや  

  そのために振り絞る勇気、

  うまくいかないときの失望感や

  落ち込みや自分を卑下すること

  といった気持も感じます。

 

  ではなぜ

  HSS型HSPが

  こういう感情をよく

  経験するのでしょうか。

 

  その理由は、  

  ドンブロスキの

  積極的分離理論で

  理解が助けてくれるそうです。

 

  ※カジェミェシュ・ドンブロスキ

   ....ポーランドで

     30年以上患者と向き合った

     精神科医・心理学者

  

  ドンブロス機の

  積極的分離理論について

  お話しします。

  この理論は

  道徳的行為に焦点を置いた

  人格形成の段階理論だそうで、

 

  「社会基準に合わせるのではなく

   真の自己を表わす」

  ための理論とのことです。

  

  つまり、

  あることに疑問を抱いて

  それに対する答えや理由を

  見つける際に、

  一度これまでに培ってきた 

  信条や思考パターン、

  感情、価値感等は

  いったんは解体されます。

 

  そして、その後

  その解体されたものは

  別の形で再形成されます。

 

  再形成されたときには

  より高い段階で

  精神的発達が見られる

  状況だそうです。

 

  平たく言うと、

  今までの経験で培われた

  考え方、価値感、感情が

  いったん全部崩れ落ち、

  それから新たに

  構築し直されるということです。

 

  スクラップ&ビルドです。

 

  いったんスクラップされたものは

  それまでより高いレベルのものに

  作り直されるということです。

 

  

  より高い精神レベルになれるなら、

  どんどん心の中を

  スクラップ&ビルドすればよいか

  というと、

  簡単にはいきません。

 

  

  この過程には、

  精神的苦痛を伴い、

  かなりのエネルギーが

  必要とされるからです。

 

  

  つまり、

  積極的分離では、

  今までの価値感等が

  破壊されるため、

  激しい自己否定の感情や苦痛を

  生み出されるのです。

 

  この過程で、

  人の情緒はかき乱されます。

  

  この過程で感じる葛藤は

  常に深い感情作用との

  セットで起こるため

  緊張、不安、鬱症状といった

  精神的苦痛を伴うそうです。

 

  ドンブロスキのいう

  積極的分離理論を

  HSS型HSPは、

  知らぬうちに経験しているのです。

 

  なぜ、

  苦痛を伴うのに、

  傷つきやすく繊細な 

  HSS型HSPが

  このことを行うのかについては、

  トレイシー博士によると、

  

   HSS型HSPの多くが

   この分離と再統合のプロセスを

   経験するが、

   感情的に不安定というわけではない。

   むしろ、

   理想的人格の探求のために

   積極的分離の状態を生きている

   と言うべきだ。

   

   この積極的分離の理論は、

   複雑に渦巻く

   内部環境を

   業的状態と捉えるのではなく、

   HSS型HSPの複雑に

   かき乱された不安な

   感情的経験に価値があると

   見出した理論なのだそうです。

 

   では、

   このことは

   HSS型HSPに限った話なのか、

   あるいは      

   誰もがみな

   痛みを伴うのに

   高みに登るための

   人格のスクラップ&ビルドを

   行うことを望むのでしょうか。

 

   この点について、

   ドンブロスキは、

   人々の大多数(約65%)は

   一般常識から大きな影響を受ける

   そうです。

   この大多数の人々は、

   一般常識の中で同調しており、

   より高い段階に行くことを

   希求していないそうです。

   つまり、 

   苦痛を伴う「分離」(=スクラップ)を

   必要としていないのだそうです。

  

   一方HSS型HSPは、

   「精神的向上」

   「常に上を目指す」

   「よりよくなりたいし、    

    よりよくなるべき」

   「真理を知りたい」

   という類い稀な向上心を

   持っています。

 

   この比類ない向上心が

   精神的苦痛を

   容認するのだそうです。

 

   この分離と再統合においての

   痛みを減らす有用なことは、

   2つあるそうです。

   

   それは、

   1つには、

   自分の感情と思考のパターンを

   知ること。

   2つ目は

   自分の感じ方と

   社会的規範(一般常識)との 

   違いを知ること    です。

 

 

   そこで、

   一般常識との違いを知るためには、

   一通り一般常識の習得が必要です。

   つまり、

   「型を知った後に型を捨てる」という

   順番が必要になります。

   これまでに

   習得してきた一般常識と

   自分の認識との

   違いを認めることで

   分離と再統合を

   しやすくなるそうです。

   

   この「一般常識を知る」ことは

   非HSPとHSPとの違いを

   理解することなので、

   他人の言動の理由を

   正しく理解することに

   つながります。

   

   そして、

   他人を疑わなくてすむ

   ようになります。

   つまり、

   HSS型HSPがよくやる

   「自分が何かしたかな、

    怒っている?」 とか 

   1人反省会をしなくてすむのです。

   

  

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   この本を読んで、

   まさに私!と思いました。

  

   子供の頃からずっと

   「人間的に成長したい」

   「もっとよくなりたい」

   「真理をしりたい」

   という感覚を持ち続けていたからです。

  

   だから、

   人との関係で

   嫌だなと思うことがあったり、

   問題があったとき、

   自分が譲歩したことを

   実感して嫌だったときなどには、

   イヤでも自分の短所に

   向き合うこともやってきました。

 

   世の中に

   自己啓発本もあふれているので

   この思いは当たり前な

   ことだと思っていました。

 

   普通の人はそこまで

   「よりよくなりたい」とは

   思わないとは

   全く思ったことがなかったのです。

 

   ただ一つ、

   この本を読んで思い出したのは、

   かつて上司との会話です。

   

   人間関係の話になったときに

   私が

   「『よりよくなりたい』と

     思うのは当たり前でしょう」

   と言ったときに、

   上司からは

   「君は自分の心の中や欠点を

    そうやって

    覗くのを恐れないけど、

    普通は、

    人に嫌われてる可能性から

    自分を省みるのは怖いし、

    やりたくないよ」

   と言われたのです。

 

  今回

  仕事を辞めてから

  寝込むほどの苦痛を

  味わっても

  自分とひたすら

  向き合うことにしたのも

  このHSS型HSPの性質に

  よるものだと、

  納得しました。

 

  やはり、

  知ることは大切だなと

  痛感しました。
   

  

     

  明日も引き続き、  

 

  

 

 

 

   に続きます。