HSS型HSPの解説3~HSSの刺激追求性がはらむ危険な側面

 

 

 

 

  前回は、

  「傷つきやすいのに刺激を求める人たち」

      のなかから

   HSS型HSPの性格の構成について

   お話ししました。

  

 

   HSS型HSPの解説2~HSS型HSPの性格の構成

  

 

 

 「傷つきやすいのに刺激を求める人たち」

   ~フォレスト出版

   トレイシー・クーパー著

     (カリフォルニア

     統合学研究所の統合学哲学博士。

     HSPのアーロン博士の

     ドキュメンタリー映画にも

     出演、自信もHSS型HSPと公表)

   時田ひさ子監訳

    (HSS型HSP専門心理カウンセラー)

   長沼睦雄監修

    (精神科医)

 

 

   今回は、

   引き続き、

   「傷つきやすいのに刺激を求める人たち」

   の中から、

    HSS・刺激追求性がはらむ危険な側面

   についてお話しします。

 

   

   HSS型の

   「刺激追求性」には、

   自分の繊細さに対しては、

   もちろんのことですが、

   社会の中で

   適切に生活していく上でも  

   危険を及ぼす暗い一面があります。

 

 

   暗い一面とは、

   リスクを負うことです。

   

 

   マーヴィン・ザッカーマンによると、

   刺激追求性を

   「経験(多様性、新奇性、複雑性、激しさ)

    のために、

    身体的、社会的、法的、経済的なリスクを

    喜んで冒すこと」

   だそうです。

   

     (マーヴィン・ザッカーマン

       1994年「(未邦訳)行動表現と

        刺激追求の生物社会的基盤」著)

 

 

   つまり、 

   HSS型は喜びや楽しみ、

   わくわく感を得るために、

   自分から望んでリスクを

   負いにいっているそうです。

  

   

   HSS型HSPには、

   「わくわく・どきどきしたい!」という  

    刺激を経験したいという思いと、 

   「いやいや、

    そこは慎重に考えなきゃ」と、

   リスクを慎重に考えたいという

   2つの相反する特性が

   同居しているのです。

 

 

   要するに、

  「大胆だけど心配性」な

   2つの相反する特性です。

 

  

   HSS型HSPの中では

   絶えずこの2つの思いが

   「アクセルとブレーキを同時に踏む」 

   状態で機能しています。

 

   時田解説によると、

   日本の場合、

   リスクへの恐怖心が

   強くなりがちな社会風土が

   あるので、

   どちらかというと、

   リスクを冒さない選択を

   してしまいがちです。

 

   (「華やかな服を着たいけど

     着たらケバいと言われそう」

    「大ぶりのアクセサリーを

     つけたいけどつけたら

     おかしいと言われそう」

     HSS型HSPの解説2 参照)

 

 

   ですが、

   全くリスクを

   冒さないわけではなく、

   リスクを冒すことによって

   枠から逃れることの

   (脱抑制 HSS型HSPの解説1参照)

   興奮の気持ちよさが

   全身に行き渡ります。

 

   

   要は、

   体中がわくわくでいっぱいになる

   高揚感にあふれる感じです。

 

   HSS型HSPは、

   この気持ちよさを

   得られることから、

   リスクを冒す可能性があっても、

   踏みとどまらず

   やってみたいという   

   衝動に突き動かされるのです。

   

   要は、

   「わくわくには抗えない」

   ということです。

   

   ただし、

   この気持の良い感覚は、

   現実的にリスクが

   目の前にあることを感じると、

   SPSが働きます。

    (SPS.....感覚処理感受性 

             HSS型HSPの解説1参照)

   

   HSS型HSPは、

   このSPSにより、

   実際にやったときに

   得られる成果と

   やったことにより

   負うかもしれないリスクとを

   天秤にかけて

   いざというときに備える慎重さを

   持っています。

 

 

   つまり、

   HSS型HSPは、

   大胆にリスクをとりつつ、

   繊細に準備するという

   両輪のバランスを絶妙に

   とることができるのです。

 

   このことから

   HSS型HSPに

   起業家が向いていると言われるのは、

   分かる気がします。

 

 

   また、

   HSS型HSPは、

   「他人の意を汲む」傾向があるため

   集団心理が強く作用して

   悪い習慣から抜けるのが難しく

   なる特性を持っています。

 

 

   クーパー博士はアメリカの例で、

   ドラッグや性的に奔放過ぎる行動等

   を上げていました。

   

   つまり、  

   「郷に入らば郷に従え」

   「朱に交われば赤くなる」

   傾向が強いのです。

 

   このため、

   HSS型HSPは、

   所属する集団を選ぶときには  

   慎重になる必要があります。

   

   

   HSS型HSPは

   人に合わせるのが得意な反面

   優柔不断という短所があります。

   所属する集団を選ぶときには、

   「自分が周りに

    合わせやすい、

    良くなくても迎合しやすい」と

   しっかり自覚しておくことが  

   大切なのです。

 

 

   そして、

   時田解説によると、

   日本では、

   仕事や職場を変えたいと

   思ったときに、

   大きな壁にぶつかることが

   あるそうです。

 

 

   時田解説によると、

   先ほどお話しした

   HSS型HSPの

   大胆さと繊細さとをうまく使って

   社会的に「成功」し、

   大企業や公的機関に

   勤めている方が多いそうです。

 

 

   HSS型HSPは、

   特性上

   「飽きやすい、

    新しいことをしたい」という

   思いをもっているため、

   転職したり、

   仕事を辞めたいという思いを  

   抱えているそうです。

 

   ですが、

   このHSS型HSP特有の思いは、

   社会一般的には

   「は?馬鹿じゃないの?

    今までやってきたことを

    無駄にするの?

           あり得ない!」

   「ほかのことをして

    成功する保証がないのに

    なんでそれを捨てようとするの?」

   「安定を捨てるの?」

   「人がほしいと思っても

    なかなか得られない

    ポジションだよ?」  

   などと言われがちです。

 

   このため、

   HSS型HSPは、

   周りから理解されることは

   ほぼなく、

   悩む経験をしがちです。

 

   確かに日本社会では、 

   終身雇用制が一般的で

   転職があまり馴染がない、

   ややもすると変化を嫌い

   現状を維持することが

   好まれます。

   そういった中では

   HSS型HSPの性質は、

   浮いてしまうのは

   無理からぬことと思います。

   

 

   

   また、

   HSS型HSPは、

   器用で努力家です。

   飽き性ではありますが、

   「これ」と思ったことについては、

   のめり込みます。

  

   このため、

   楽器やスポーツなどで

   最初からうまい方もいます。

 

   楽器などで、

   最初から上手で

   いやいや練習して 

   かなりな腕前になったときに、

   その道に進まない  

   選択をする場合があるそうです。

 

   そんなとき、

   周りからすると

   「せっかく才能があるのに

    もったいない」

   「当然その道にすすむものでしょう」

   「なんでやめるの?」 となります。

 

   それまで

   丁寧に熱心に教えてくれた

   指導者や、

   支えてくれた親との間に

   深い亀裂が生じることが

   あるとのことです。

 

   「社会的に成功」している人の転職も

   音楽等に秀でた人が違う道に

   進む際も、

   HSS型HSPは同調圧に

   苦しむのです。

   

 

 

   HSS型HSPの苦悩は、

   新しいことをやってみたい、

   新しいことに挑戦したいという

   刺激大好き!であること、

   深い思考を持ち、

   続ける意思のないことを

   続けるのは、

   苦痛でしかありません。

 

   こうして、

   HSS型HSPは

   「ここから抜けると言うと

    周囲の人から

    冷たい目で見られる

    異端者だと思われる」 のを恐れて

   我慢を続けるのです。

 

   

   HSS型HSPは傷つくことを恐れ、

   同調圧力に弱いので、

   周囲の意見に「ノー!」と

   言うことを諦めてしまう場合も

   あり得ます。

 

 

   HSS型HSPは、

   「やってみること」が大好きなので

   「試すこと」が好きです。

   「ちょっとお試しなら...」と

   心理的な抵抗感も低くなるので、

   試してみる場合が多いようです。

 

   しかし、

   この「お試し」にも罠があります。

   試すことによって

   「肉体的感覚がその魅力を記憶し、

    リスクがつきまとう」のです。

 

   つまり、

   「ちょっとやってみたら、

    あの感覚が忘れられない....」

   「最初は

    ちょっとのつもりだったのに

    気が付いたら

    やめられなくなっていた....」

   という感じです。

    (例)・ちょっとだけのつもりで

        飲酒が癖になり、

        アルコール中毒になってしまった

       ・1回くらいなら大丈夫だろうと

        ドラッグを試したら

        やめられなくなってしまった

 

     

   HSS型HSPは、

   影響を受けやすいので、

   注意が必要です。

   軽い気持が命取りに....。

 

 

 

   この性質は、

   「変性意識(ASC)」に

    入りやすいことに

   関連があるようです。

    ※ASC....altered state of consciousness

            日常的な意識状態意外の意識状態。

     人が幻覚などを覚える状態

   

   「変性意識」とは何かというと、

   「ゾーン」状態です。

   つまり、

   思考がとまり、

   集中して周りが

   一切見えなくなる状態です。

 

  

   瞑想とかの集中だけでなく、

   授業中にウトウト寝て目が覚めたときなど  

   「ものとの距離が

   一瞬変わった感覚がある」

   とHSS型HSPが感じることがあるのも、

   この変性意識状態のーつです。

 

 

   HSS型HSPは、

   我知らず

   この熱中した状況に

   入り込みやすいとのことです。

   

   

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   実は、

   この本の時田解説の中には、

   「長年勤めた公務員の方が

    転職を考えたとき

    ご家族と相談した結果

    収入のこともあり

    辞めることも

    転職も認めてもらえず

    諦めた」

    というエピソードが

   ありました。

 

   恐らくこの方も

   HSS型HSPの私が

   仕事を辞めるときに感じていた、

   周囲からの同調圧力や、

   ほかのことをしたい、

   自分をもっといかしたいという

   思いにかられていたのだと

   思います。

 

   私が25年勤めた公務員を

   「卒業」したのは、

   きっかけは適応障害の発症でした。

   この発症を機に、

   自分の人生を見直したのです。

   

   公務員の仕事に

   それまで薄々感じていた

   私を生かすことに感じていた

   「限界」から

   目を反らすことが

   できなくなったのです。

 

   この本を読んで、

   私は自分の中の

   生きづらさの正体、

   つまり、

   周りの人との感覚の違いを

   理解することができました。

 

   HSS型HSPの

   こういった性質を知らなかったので、

   自分に完全には自身が持てず、

   自己肯定感が低めだったので

   ただただ、

   私がおかしいのだ、  

   私が間違っているのだと

   思っていたのです。

 

   それでも

   その圧力に合わすことは苦しく、

   自分を殺して

   合わせきることも

   できなかったから

   私は苦しかったのです。

 

   そして、

   嬉しい発見もできました。

  

   この本の中で

   大胆さと繊細さの両輪で

   危険にうまく対処できるのは、

   HSS型HSPの特性だと

   知りました。

 

   そして、

   先日成功された起業家の方と

   お話ししたときに、

   起業家には

   HSS型HSPの方が

   多くいるような気がすると

   言われたのを

   伺いました。

 

   私が業務改善をしたり、

   業務の工夫をしたりするのが

   得意だったのは、

   この特性のおかげだったのです

 

   「大胆さと繊細さ」の

   仕事の際の使い分けは、

   私のウリでした。

  

   この本のおかげで

   HSS型HSPであることに

   納得と自信を

   持つことができました。

 

   

   やはり、

   正しい知識を知ることは

   大切なことだなと

   思いました。

  「あるある」を否定するのでは

   ありません。

  「あるある」な行動を取る

   理由について、

   私は「知りたい」という

   好奇心が抑えられないのと、

   信用ができないいのです。

   

    

 

  明日は、  

  引き続き

  「傷つきやすいのに刺激を求める人たち」より

  HSS型HSPについて

  解説したいと思います。

 

 

  

 

 

 

  

 

   に続きます。