世界観episode54~社会復帰練習・単発アルバイト(後編)(HSP社会人前日譚④)

 

 

 

  前回は

  公務員試験に受かった後、

  単発アルバイトを

  しようと思ったのですが、

  その前の

  私の記憶から消していた

  アルバイトのことをお話ししました。

 

 

 

   世界観episode53~社会復帰練習・単発アルバイト(前編)(HSP社会人前日譚③)

  

 

 

  今回は、

  本当に単発アルバイトの 

  お話しをします。

 

 

  私は

  無事運転免許も取れたので(episode52)、

  秋から時間ができました。

       世界観52~運転免許取得へのいばら道(HSP社会人前日譚②)

       

 

  コップを持って配膳する

  カフェや喫茶店の飲食店は

  そもそもハードルが高すぎて除外で、

 

  単発でできるアルバイトで、

  しかも、

  世の中と接点を

  感じられるアルバイトを

  探しました。

 

  4月からの社会人デビューの

  練習です。

 

  で、選んだのは、

  超単発アルバイト、

  年賀状と

  バレンタインデー・

  ホワイトデーのアルバイトです。

 

 

  まずは、

  郵便局での

  年賀状のアルバイトについて

  お話しします。

 

 

  年賀状のアルバイトといっても

  外勤ではなく

  内勤の方です。

 

  仕事内容は、

  比較的大きな

  地域の郵便局での

  年賀状の仕分けでした。

 

  クリスマスを過ぎたあたりから

  毎日郵便局に通い、

  もくもくと

  各家庭に配付する年賀状を

  まとめるのが私の仕事でした。

 

  今はもう

  郵便番号を機械が読み取って

  郵便物を仕分けするのが

  主流かもしれませんが、

  平成9年の年末時点では

  地域にある郵便局では

  アナログ、

  手作業でした。

 

  同じ作業をする人はいても、

  担当エリア制になっていて、

  基本一人作業で

  静かに没頭できる作業でした。

  

 

  HSS型HSPの特性に

  裁量権のないルーチンワークが

  苦手というのがあります。

 

  郵便局でのアルバイトは、

  まさに決まり切った作業でした。

  

  ですが、

  私はこの作業を

  楽しんでやることができました。

 

  というのも、

  裁量の余地があったのです。

 

 

  同じ作業の繰り返しでは

  ありますが、

  自分に合った

  効率よく作業を進める目線の動き等を

  追求でき、

  それを取り入れることが

  できたのです。

 


  今でこそ

  LINEやビデオレターの台頭、

  年賀状終いじまいの登場等で

  年賀葉書の枚数も減っていますが、

  平成の間はまだまだ

  年賀状の枚数が多かったので、

  結構作業量も多かったのです。

 

  このため

  私が作業の効率化を追求できる枚数は

  十二分にあったのです。

 

 

  そして、

  作業に私がいそしめた理由ですが、

  何より人の役に立っていると

  想像するのが嬉しかったからです。

 

 

  というのも、

  年賀状は、

  宛名を目視で確認して分けます。

 

  宛名を書く字も色々あり、

  そこにドラマを感じられたのです。

 

  毛筆で達筆なものもあれば、

  拙くどう見ても小さい子が

  頑張って書いた感満載なもの、

  少し大人びた字の先生宛のもの...。

  

  書き手の思いが何となく

  宛名から分かるのです。

  「1日に間に合うように

   ちゃんと出したんだな」

  と宛名から伝わり、

  「ちゃんと1日に届くように

  頑張ってわけるぞ!」と

  やる気も湧き毎日頑張りました。

 

  直接の仕事ではないのですが、

  私はこのとき初めて、

  郵便局の方が

  一生懸命忙しく

  普段の郵便物の業務に加えて

  年賀状の業務を行っている姿を見ました。

 

  普段当たり前だと

  思っていたことの裏に、

  こんなに多くの人たちが

  関わっていたことを知りました。

 

  そして、

  年賀状がとても

  温かい物に感じられたのです。

 

  郵便局は、

  郵便物を運ぶけど、

  人の思いを運んでくれる

  お仕事なんだなと

  密かに感激したのを覚えています。
 

 

  郵便局の職員の方は

  皆親切で感じが良かったので、

  とても気持ちよく

  働くことができました。

  

  おかげで私の中に

  ちゃんと働けるという自信が

  芽生えました。

 

 

  この成功体験を元に、

  私は

  バレンタインデーの

  チョコレートの販売員の

  単発アルバイトをすることにしました。

 

 

  当時はまだ

  本命チョコも今ほど高額ではなく、

  金額に差を設けた

  義理チョコが多く出回り、

  友チョコが少々という時代でした。

  

 

  2月初頭から

  百貨店でのアルバイト。

  一応確か白いシャツに

  黒スカート・黒カーディガンという

  ドレスコードがありました。

 

  百貨店でのアルバイトは、

  さすがに2月初旬は

  そこまで忙しくなかったため、

  今まで経験したことのない

  終日の立ち仕事に、

  つらさを感じつつも

  お客さんを観察するのが

  楽しかったのを覚えています。

 

 

  2月14日が近づくにつれ

  忙しくなってきました。

 

  当時は  

  今のように

  楽天、Amazon、ヤフー等の

  大手通販サイトや

  老舗洋菓子店のネットでの

  お取り寄せはできませんでした。

 

  このため、

  義理チョコ含め

  「ちょっと良いチョコ」

  の購入は百貨店が主流でした。

 

 

  売り場には、

  色々な方が

  チョコレートを買いにやってきました。

  

 

  職場とか取引先や

  お店の常連さん、

  いろんな方に配る用なのか、

  ちょっと良い感じの

  300円、500円代のチョコを

  ごっそり選んでいく方もいました。

 

  また、

  高校生や大学生と思われる女の子が

  友達と一緒にきゃっきゃうふふと

  本命チョコを一生懸命選んでいたり、

   おばあちゃんが

  遠方に住む孫のために

   ちょっと高級なチョコを選んでいったり、

  OL風の女性が

  お付き合いしている相手用に

  価格と見栄えと味とを考え、

  真剣にチョコを選んでいたりしました。

 

  色々な思惑とドラマが想像でき、

  売り場での体験は、

  面白かったです。

 

  自分の予算の範囲内で

  一生懸命相手のことを

  考えてチョコを購入する方の

  思いを伝える

  お手伝いをしているのを

  感じられて嬉しかったです。

 

  ただ、

  お客さんの

  来店時間はほぼ重なります。

  おかげで忙しい時間帯は

  「目が回るほど忙しい」

  という表現が嘘じゃないことが

  分かるほどの忙しさでした。

 

  お金の支払いも

  今のように電子マネーがなく、

  クレジットカードでの支払いも

  今ほど多くなかった印象があるくらい、

  現金支払いでした。

 

  金銭受領のやりとりを

  今までしたことのなかった私には、

  お金を間違えないように受け取り、

  おつりを間違えないように

  短時間で計算してお客さんに

  にこやかに笑顔で手渡す作業は、

  どきどきでした。 

 

  おかげで

  帰宅する頃には

  私はすっかり

  へとへとになっていました。

 

  売り場がただ忙しいだけではなく、

  売り場の雰囲気を盛り上げるために、

  色々当時はやったラブソングが

  そこそこのボリュームで

  一日中かっていました。

  

  このことも

  私の疲労を倍増させました。

 

  幸い、

  売り場のアルバイト仲間は

  優しく、明るく

  必要以上に踏み込んでこない

  人たちだったので、

  1日一緒にいても

  人疲れすることは

  ありませんでした。

 

  さらにありがたいことに、

  お金の受け取りを緊張して

  やっている私のフォローを

  してくださるような

  ありがたい方達でした。

 

 

  こんな職場ですが、

  一つ苦手なことがありました。

 

  それは

  売り場のメーン担当の女性でした。

  その方は

  自覚と誇りを持って

  仕事をされているのを感じる

  明るくちょっぴり圧が強めで

  口調の厳しい女性でした。

 

  普段は、

  気にかけてくださるし、

  売り場が混み始めたとき等は 

  すかさず応援に入り、

  混雑を圧倒いう間に

  裁いてくださる凄腕な

  とても頼りになる方です。

 

  ですが、

  圧が強いのと、

  口調が強いのだけは、

  最後まで慣れることは

  ありませんでした。

 

 

  結局同じ売り場で

  ホワイトデーまで

  働きました。

 

  ホワイトデーは

  そこまで忙しく

  なかったのでほっとしました。

 

  HSS型HSPの特性に、

  音や光りが苦手で、

  圧の強い人は苦手

  というものがあります。

 

  また、

  刺激が好きで

  強い共感性を持ち、

  人の役に立つのが好きという

  ものがあります。

 

  今にして思えば、

  年賀状と

  バレンタインの単発アルバイトは、

  まさに、

  期間限定の非日常のわくわく感、

  人の役に立っている充実感、

  人の思いを推測できる環境と仕事内容であり、

  HSS型HSPが好むものでした。 

 

  そして、

  音が苦手、圧の強さが苦手という、 

  HSS型HSPの苦手な部分を

  体験できる仕事でした。

 

 

  こうして、

  自分が苦手な環境を

  うっすらと理解しながら、

  私は4月からの社会人デビューの

  予行演習を無事

  終えたのでした。

 

  

 

   

  明日は、  

  社会人前日譚の最終話、

  3月31日の出来事を

  お話しします。

  

 

 

         

 

 

 

  

  

   に続きます。