ご無沙汰しています。なかなか更新できなくてすみません。

このたび、YouTubeチャンネルを新たに作りました。

三原由起子YouTubeチャンネル


この中にある動画「なみえちょうじゃなくてなみえまち」のショートバージョンはこちらです。


フルバージョンはこちらです。


ロケ地は浪江町と言いたいところですが、下北沢です。下北沢から浪江町を叫びました!

歌と作詞は三原由起子。

ギターと作曲はファンテイルくん。

録音は田中あにき篤史さん。

映像制作はキムユンスくん。

本当にありがとうございます!


Twitterでファンテイルくんがショートバージョンを呟いてくれたところ、プチバズりが起こり、偶然にも朝日新聞夕刊トップで、「ちょうorまち?」みたいな記事が出ていました!


浪江町の復興に関わる人たちが「なみえちょう」と呼び間違えることのモヤモヤを歌にしてみました。


ここで一首。

「なみえちょうじゃなくてなみえまち」だ!って叫ぶ下北沢の春の夜

2022年がいよいよ、終わりに近づいた。
本文ありきでしか鑑賞できないどうしようもない歌は除いて、

下記に、今年このブログで作った歌をまとめた。

 

・なまぐさき雨のすぎれば三叉路に肋(あばら)のごとくみづすぢは顕つ

・夏風に薔薇のなづきが打ち合ひてみえざるほどの霞(かすみ)かをれり

・買ひたての鯛焼きのにほひ漏り出(い)でて銀座線はまだ上野に着かず

 

・モルックの棒がまろびて土くれと緑(りょく)を跳ねあぐ古林の陰に

・芝生ふみバットかまへし夏の日がまだ続いてゐる朧雲見つ

・老木をモルックのごと倒せなばわれらの聲(こゑ)もうちひろがるか

 

・病院に入れず夏の土瀝青(アスファルト)にてうなだれて待つコロナ棄民は

・DIY(ディーアイワイ)銃で撃たれし執政者と同じ姿勢でコロナを眠る

・すがたなき人こそ其処にゐるらしく幽霊未満の海べうべうと

 

・眼のなかにくらき木片の浮かびたつ 山羊の淋しき首輪を塗れば

・ファインダーのむかふ側には俄雨(にわかあめ) 渋谷駅はまだバブルの夢をみてゐる

・まほろばとふしらべは冬の茶杯のごと湯気たちてゐる借り家のわれにも

 

更新頻度があまり高くない この短歌日記でも、

地味に続けていれば、少ないなりに溜まる。

 

思えば、激動の一年であった。

コロナによる平時という概念はあやふやになり、

戦争が始まったかと思えば、現役の首相が暗殺された。

 

世の中が目に見える形で、麻痺していって、

防衛省が「世論工作にAI活用する」というニュースを堂々と発したりと

とにかく毎日が不安で仕方がない。

 

戦争がいつ起こってもいいように、根回しされ

増税をされたりというのだから、とにかく

もらったお金は貯めないように、日々できるだけ

毎日を面白おかしく過ごしている。

 

来年もできるだけ、仕事では悩みを抱えず

もらったお金は、惜しみなく使って

いつ疫病や爆撃で死んだとしても、

もっとやりたいことやればよかったという亡霊にだけには

ならないようにする。

 

ちなみに2022年のプチ目標であった、Ku:nelバックナンバーは vol.76まで

コンプリートしたことをご報告して、本年の締めくくりとする。

インターネットとお金さえあれば、とりあえず大体のことは達成できる。

 

あとは健康と時間。それだけを大切に毎日生きたい

結果的なことだが、人生はそんなに頑張らず

ただ質の良い功績を遺すことを目標に過ごせたらと思っている。



鹿児島睦さんの器。来年初っ端は、この展示のレポートを書きたい


12・29 柚木

 

 

 

 

 

 

なかなかブログ更新できなくてすみません。
2022年ブログに書いた短歌をまとめてみました。

壁一枚隔てて住民説明会聴くこと許されぬのか 出身者は/三原由起子

デジタルのブログ書きつつアナログの新聞編集しつつ生きてる/三原由起子

深呼吸できない世界を描くため互みに心を持ち寄るスタジオ/三原由起子

20年ぶりの再会 ボイトレの先生の君、生徒のわたし/三原由起子

甥っ子と共演する夢持ちながら叩くドラムに心集める/三原由起子

「なみえちょう」何度言っても間違える人に伝えるわが「なみえまち」/三原由起子

初めての母娘旅行は姉妹旅行と行く先々に言われてしまう/三原由起子

伝えたいことを歌えば目を閉じて浪江の景色が立ち上がりくる/三原由起子

北海道に呼ばれて二年経つ夏の心を伝えるように語りたし/三原由起子

空気読むばかりの社会に生きていて いまある空気を打ち破りたい/三原由起子

福島の想いは北へ上りゆき北海道の紙面を埋める/三原由起子


来年はもっと更新できるようにがんばりますので、よろしくお願いします。

三原由起子

2022年内に、達成したいことについて。

 

「Ku:nel(クウネル)」は、いまも定期刊行されている雑誌だが、ここでは《編集者・淀川美代子氏によってリニューアルされ、「50から60歳のシニア女性向け」のライフスタイル誌という、広告媒体を獲得しやすい内容に舵切りする前の「クウネル」》、通称「旧クウネル」に触れたい。

 

旧クウネルは、2003年創刊のライフスタイル誌だが、とにかくその内容は、どこぞの国の田舎で暮らしている、なんとかジェシカさんみたいな、全然有名でもない人の日常だったり、料理家の長尾智子さんが、フランスヨーロッパの蚤の市で見つけた、なんだか味のある雑貨をざっと紹介したりなど、雑誌に載っているものを売るのではなく、「感性」を売っている雑誌だった。
 

 編集部がどこからそんな人を見つけてきたのかという驚きがあり、読むたびに発見のある雑誌だ。

 

私が、旧クウネルを知ったのは、編集者・淀川美代子氏が逝去されたころ(つまり割と最近)に、仕事で関わっているプロデューサーと、「SOLSO FARM」に向かうタクシーの中でのこと。

 

そのころ国立新美術館で開催されていた「ファッション イン ジャパン 1945-2020 —流行と社会」の展示の中で、80年代前半の日本のファッション史を支えたモード誌やアイドル雑誌の影響が語られており、その時代に生まれていない私にとっては、飛び飛びだった雑誌カルチャーの知識が、一つに結われていく感覚がとても新鮮だった、などと雑談している中で、当時のOlive編集長だった淀川氏の生前、特に亡くなる直前の、誰の目にもあまり体調が芳しくない様子だったことを教えてもらった時に、「そういえば、Ku:nelって知ってる?」という流れで出てきた話だった。

 

話の要旨は、彼女のリニューアルによって様変わりしてしまった「Ku:nel」には、強い反発が寄せられた、という内容だったが、私はそのとき、そんな根強いファンがいる、旧クウネルに書かれていた内容が気になっていた。

 

ここまで書くと、まるで淀川氏が雑誌をダメにした人物という書き方になっているが、淀川氏は、「Olive」85-87年の編集長として活躍する以前から、当時もっともカルチャーに対して影響力のあった「an・an」のエース編集者として腕をふるっており、「olive」2代目編集長の蝦名芳弘に引き連れられ、のちに3代目編集長として、同誌のロマンティックな路線を完成させた伝説的な人物であることも補足しておく。

 

当時のolive少女のアイコンともいえる、フランスの女子高生“リセエンヌ”は、後年の淀川氏の仕事に於いても重要なトピックとなり、Ku:nelのリニューアルにも、その当時の少女たちが、グレイヘアになった、というイメージが源泉にあったということが伺える。同氏は雑誌を安定的に、商業的に編纂していく、社員の体制作りに長けていた。編集方針はあくまで、雑誌事業として、発行元のマガジンハウスが決定したことに過ぎない。


ちなみに「Ku:nel」創刊からの編集長であった岡戸絹枝氏は、「olive」6代目編集長であったため、「Ku:nel」発想のイメージにも、少なからず淀川氏の影響があったと言えよう。


雑誌考察についてはこのぐらいに留めておいて。とにかく、そんな雑誌があったのか、と神保町のmagnifで数冊手に入れた。

 

その内容には、いまinstagramで人気のある料理研究家の、師匠世代が軒並み載っており、現在のライフスタイル誌に形成されているイメージがあり、掲載されている文体も、フランクでありながら、当時の感性が記されていた。ヨーガンレール食堂のレシピ監修者、髙橋みどりさんのレシピはとりわけテンションが上がる。


私の好きな号を紹介すると、2007年9月発行の「vol.27 庭のおくりもの」号。庭という小世界に向き合う、生活者の知恵を読むことができる。




熊田千佳慕(ちかぼ)さんの昆虫画。発行当時、96歳目前でありながらも、微細な絵を描き続けていた。文明開花の街、横浜に育ち、ファーブル昆虫記を愛読、東京美術学校に入学ののち、戦争に翻弄される半生とともに、たどり着いた画業の深さに心を打たれる。


ベニシア スタンリー スミスさんの庭仕事のページでは、コンフリーの液体肥料の作り方が載っている。園芸誌ではなく、ライフスタイル誌でありながら、この豊かさ。この記事の末尾に書かれた、土や水やりの管理も、面倒くささを超えて向き合わないと行けない仕事。それを超えたところに自然からの恩恵がある。という一節には、枯らしてしまった、窓際の植物を思うと、胸が痛い。

 

Ku:nelについて、より丁寧な解説をされている記事もリンクを貼る。興味があればぜひ。

読者が『ku:nel』に求めるもの - 阿部純 | 「ていねいな暮らし」カタログ | 住まいマガジン びお (bionet.jp)

 

そして現在、旧クウネルを、古書店で見つけては収集していて、an・an別冊の創刊号から、vol.60までは揃えることができた。現在割と難航しているのが、リニューアルを数年後に控えた、vol.60以降のバックナンバー獲得である。


(背が日焼けしているのも良い風合い)

 

大体こういう終刊前(Ku:nelの場合はリニューアル前)の雑誌は、単純に売り上げ低迷で、発行部数が少なくなっており、なおかつ購買者層も限られていたため、結果的に現存している部数が少ない。返本率も高かったとのこと。なんなら創刊初期の方が市場に出回っている。

 

「旧クウネル」は、現在、まだ頑張れば手に入るものの、今後いよいよ手に入るのが難しくなり、日本のライフスタイル史を検証するうえでは、「暮らしの手帖」に並ぶ、大切な雑誌になるのかもしれない。

 

というわけで、比較的都内でもバックナンバーがあるであろう古書店を2つ紹介しておく。特に初期から中期にあたっては、手に入りやすいので、興味を持っていただければ幸いだ。逆にこれ以外で、バックナンバーが豊富な古書店があれば教えていただきたい。

 

リズム&ブックス (rhythm-books.com)

代々木公園駅、代々木八幡駅の近く。状態もよく、値段も良心的。なお、以前買ったクウネルの1部に切り抜きがあったため、買いなおししなければいけなかったが、それでも他で買うより全然安い。

 

magnif マグニフ / 雑誌バックナンバーの古書店

神保町のおしゃれ雑誌を探すならここ、という名店。名店だが、ほぼ定価に近い価格。状態も良い。

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12.06 柚木

■まほろばとふしらべは冬の茶杯のごと湯気たちてゐる借り家のわれにも

ブログ更新が遅くなってすみません。

今回は三原由起子の番です。

毎日お互いに更新するのを目標にしているのですが、なかなか難しいですね。

11月27日付の「北海道新聞」で紹介されました!

ありがとうございます。



佐藤祐禎さんの歌集『再び還らず』と私の歌集『土地に呼ばれる』です。

お読みいただけると幸いです。

歌集はAmazonなどで入手可能です。

どうぞよろしくお願いします。


福島の想いは北へ上りゆき北海道の紙面を埋める/三原由起子