Facebook投稿記事より㊷ー昨今の欧米のM&A動向について | 蓮華 with にゃんこ達

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専ら、マーケットや国内外の政治経済ネタが多くなってしまいました。
母と愛しい我が子達を護りつつ日々闘う中で思う事をアップしていきます。

http://www.businessweek.com/articles/2012-11-21/why-some-m-and-a-deals-are-best-done-in-house

社内M&Aチーム主導で行うM&Aが急増している、という記事です。
基本的に、世界のM&Aのボリュームは2007年対比で53%減少している上に、平均的なディールサイズも25%減少し、1.49億ドルになったとの事。
そして、今年の欧米のM&Aのうち、約3分の1が投資銀行を使わない、社内のM&Aチームだけで行うM&Aだったそう。

例えば、BPは、メキシコ湾の石油・ガスの資産を55.5億ドルでPlains Exploration & Productionに売却した際、社内の30名からなるM&Aチームが案件をまとめ上げ、社外の投資銀行は使わなかった。
但し、同社がロシアのTNK-BPの持ち分を268億ドルで売却した時は、MS、UBS、GSなど合計6社をアドバイザーとして雇ったそうで、内情が分かりにくい地域や市場での案件や、資本調達の絡む案件は引き続き投資銀行がリテインされています。その辺のマネージメント能力、リスクの取り方も巧拙が問われますね。

ボトムラインに書かれている通り、大手投資銀行の今年1-9月のアドバイザリーフィー収入は2007年対比で48%減少しているそうですが、要因として、M&Aの減少、社内M&Aチームとの競争だけでなく、ロスチャイルド、エバコア、ペレラ・ワインバーグといったM&Aブティックとの競争もあるとの事で、こうしたニッチファームのシェアが6.9%から8.5%に上昇、と伝えていますね。
どちらにしろ、ボルカールール導入も含め、投資銀行への逆風は大きい訳です。

こうした傾向、実は日本のアグレッシブな中小企業は結構あるのです(恩恵を受けております)。ディールを社内でやる、為のフィージビリティ・スタディや対象企業の事前調査を外部に一部委託するような姿勢は、むしろ元気な地方企業が結構積極的に取っていますよ。

最近のHPのようなアホディールで企業価値が毀損されるなどという事が無いよう、むしろステークホルダーが真剣に株主の利益を考えて検討する方が、くだらないコストも削減出来て一石二鳥だと思いますけどね。

ちなみに、HPと不正会計処理が判明したAutonomyの合併に際し、デューデリを担当したのがKPMGとデロイト、Autonomyのアドバイザーは、GS、UBS、Citi、JPモルガン、バンカメなどで、HPのアドバイザーはペレラ・ワインバーグとバークレイズという、まあ蒼々たる顔ぶれですよね。

HPの株価は相当安くなっていますが、まだ350億ドルも、のれんなど無形資産が残っているという事で・・・

以前、こんな投稿もさせて頂きました・
http://www.facebook.com/yuki.yagishita.1/posts/129907320491978

ちなみに、このAutonomy、オラクルは60億ドルでも高いと思って買わなかったらしいですね。それをHPが110億ドルで買った訳ですから、まあ根本的な所がちょっと問題ありという事に尽きるかと・・・。