【至福のレストラン 三つ星トロワグロ】を見てきました | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

【至福のレストラン 三つ星トロワグロを見てきました】

映画じゃなくて、ドキュメンタリーです。

三つ星レストランの毎日が、淡々と映し出されます。

なんと4時間!!

劇的なことは何もなくて

メニュー組みをどうするのか?

発注は?

ワインの仕入れの相談、

若い料理人にエクルビスの剥き方を教え、

mm単位で食卓のセッティングを整え、

味見しながら、ソースに何かたりないと延々と考えるシーン

などなど続きます。

 

合間合間に農家や酪農家、ぶどう畑、チーズの製造所にシェフが出向き、話しを聞き、考える様がはさみこまれています。

料理の現場だったらありそうな、声を荒げるシーンや言い合いはまったくなくて、日頃からきっとこんなふうに穏やかに運営されているのだということが伝わってきます。

(でもフランス人なので、言いたいことはきちんと伝えてます)

 

真摯。ずっとずっと継続する静かな情熱にあふれ、総合芸術である三つ星レストランを構成するたくさんのものを

あますところなく、包み隠さず見せてもらった感じです。

 

最後のほうにゲストに厨房を見せる意義をミッシェルシェフが話す場面が出てきます。

30年近くも前に、料理学校の友達とトロワグロに行ったとき、

「厨房をお見せしましょうか?」

とサービスの人が聞いてくれました。

わあぁ〜い!

今も手元には、先代(2代目)ピエール・トロワグロさんと並ぶ写真があって、

大きな料理人腹、福々しいお顔のピエールさんの隣で、うれしそうな私がいます。

 

 

大きな広い近代的な厨房で、左側一面がガラス張り。

目の前には緑があふれ、こんな環境で働けるってなんて素敵なのだろうと思ったことを覚えています。

映画に映るキッチンはもっともっと広く、あれ〜、こんなに大きかったっけ?

と思ったら、2017年にロアンヌ郊外の自然あふれる環境に移転したのだそう。

でもきっとコンセプトは以前と同じで、料理人が働きやすいように、よい環境が整えられているのだと思います。

 

お客に厨房を見せる意義は、「絆」。

その思いは、そのときにはすでにレストランにあって、3代目ミッシェルさん、4代目のセザールさんへの受け継がれていたのだと、

今にして知りました。

 

料理はいうまでもなくおいしく、美しく、その温かな思い出により、

私の中でトロワグロでの食事はいまも褪せることなく強く心に残っています。

これが絆だったのだと。

神戸、大阪、京都では

あと少しだけ上映期間があるようです。

ご興味ある方はぜひ!