雉のオスとメス 12月の料理連続講座にて(続き) | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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雉のサルミ salmi de faisan

12月の料理連続講座にて(続き)

今月はいよいよサルミを作りました。サルミは猟鳥肉の煮込みで、この系統の料理の中ではもっとも繊細とされます。
作り方がちょっと変っていて、まず半生にローストし、切り分けてからソースをかけて温めてジャストに火入れをします。

金曜、土曜ともに2羽ずつ必要だったので、オスとメスの両方を1羽ずつ用意することにしました。

メス(左)とオス

身体が大きくて、かつ派手なお顔のほうがオスです。自然界ではつねにオスの側が「選ばれる性」のため、メスの気を引きやすいようにオスのほうが豪華だったり美しかったりすると、竹内久美子さんのご本で読みました。孔雀しかり、ライオンしかり、オシドリしかり。

ではどちらのほうがおいしいのか?
よく言われるのはメスのほうですが、シェフによってはオスを好まれる方もあると、業者さんに聞きました。
こうなったら、食べ比べをしてみないと!


まずはロースト。オスはこの日1.9kg以上あったので、大変でした。

7割方火を通すと、このくらい。


脚と手羽、胸肉におろし、

殻から取ったソースに、フォワグラを溶かしこみ、漉し入れます。

トリュフをスライスして散し、モリーユご飯を添えて、出来上がり!

雉の骨から取ったソースとフォワグラ、ここのトリュフの風味が加わり、間違いなく美食の味です。

さて雉はどちらがおいしかったのか?
初日は火入れがうまく行かず、ちょっと固め(しかしソースはトリュフが強く香り、たまらん!味に)。
2日目はさらに慎重に火を入れると・・・

一番おいしいのは、雌の胸肉でした。
鶏の場合は、ちょっとぱさつくイメージの胸肉よりも、腿肉のほうが圧倒的に好きですが、雉は逆。胸が柔らかく繊細で、なんともいえずおいしいのです。
オスは倍ほども大きいため、やはり固め。胸の筋肉の繊維も太くてがっしりです。
腿肉は、雌雄ともに、けっこうがっしり固くて、向こう脛の辺りなどすじすじしています(骨かと思うようなアキレス腱が入っています。よっぽど野山を走り回っていたんだろうなあ・・と思わされます)。
これに比べ、胸肉のおいしいこと!(ただしメス)
感動的でした。次からはメスを指定しようかしら。


さてデザートはリンゴとクレープのテリーヌです。

Terrine de crêpes aux pommes
りんごが一番おいしい今の時期にわざわざもってきたデザートなのですが、冷たいテリーヌにさらに冷たいアイスクリームに
「ぶるっ 寒っ!」
という正直な感想も。たしかに。