「マドレーヌがうまく焼けない」という質問へのお答え | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

塚本有紀のおいしいもの大好き!

フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 


(初出:専門家proFile 8/24/2011)
マドレーヌが上手く焼けません。自分なりに原因を考えながら何度か焼いてみたのですが、だんだんおかしくなってしまい困っています。
・綺麗な焼き色がつかない。
・型離れが悪い


マドレーヌはじつは難しいですね。「お菓子作り1年生」向きに見えて、じつはシンプルがゆえにとても難しい課題だと常日頃から思っています。
以下は、あくまでも推測や一般論的なお話となりますが・・。

まずオーヴンのこと。直火式をお使いとのことですが、私の感覚ではどちらかというとコンベクションのほうが早く効率よく熱が伝わるため、高温短時間で焼くことには向いているように思います。ふわっときれいに膨らみ、よい焼き色が早くつきます。早く色が付くということは短時間に焼けるということですから、乾燥も結果的には少なくてすむと思います。直火のほうがちょっとしたこと(気温、生地温、型が金属かシリコンか)に影響され、ブレがでてきます。冬と夏ではいろいろ設定を変える必要があります。
とはいえ、私も教室では直火式を使っていますので、焼けないわけではけっしてありません。
では具体論です。
まず基本的ですが、蜂蜜は入っていますでしょうか。蜂蜜は転化糖を90%以上含むため、たとえば卵2個に対して5gの蜂蜜が入ってるだけできれいな焼き色が問題なくつきます。逆に蜂蜜を忘れるとたったの5gでもまったく色が付かず、結果的に温度を上げるか長時間焼くこととなり、固く焼き上がります。
生地温度はいかがでしょうか。とくに冬ですが、生地温がある程度高いほうが早く火が入るため、短時間で焼き色がつき、結果的にふわっとおいしく焼けます。
溶かしバターの温度はいかがでしょう。50-60℃くらいで投入すると、低い温度よりもふわっと膨らみます。
型の選定によって、焼き色の出方、型離れ、おへそのでかたがみんな違います。きれいなおへそをだすためには、型の一番深い部分ができるだけ深いものを選んでください。たった1mmであっても、深いほうがよい膨らみになります。

ちょっとした落とし穴ですが、型の縁にバターを塗り忘れていませんか。型の内側だけでなく、上面の縁です。ここがひっついていると、当然型から抜けてくれないのです。