ブレッツェルの意味 | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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ちょっとロケハンに行ったドイツパン屋さん「キルシュブリューテ」にブレッツェルを見つけました。
大阪市西区南堀江3丁目11-6

ブレッツェルBrezelは「腕を組んで手先を腕にかけた形」に成型されたパン。アリカリ溶液に浸してから焼くので独特の風味と食感が楽しめます。岩塩がふってあって、ちょっとくせになる味わい。

ブレッツェルの言葉の起源はラテン語の腕brachiumから、と言われています。

日本橋浜町、ドイツパン「タンネ」の佐藤由木子さんに以前教わった話しでは、中世のあるとき、パン屋が王様から身に覚えのない罪をきせられて、明日は縛り首ということになった日のこと。奥さんが命乞いに行ったら、「明日までに三本の矢を同時に射ることが出来るパンを焼いて持ってくれば、ゆるしてやろう」というもの。そこで夫婦で考えて焼いて持っていったら、王様に気に入られて、許された、というのです。これがドイツのパン屋さんの一番好きな話しなんだとか。

ほかには太陽が三度差し込むパン、というお話しもあります。
さらにキリスト磔刑のロープ説、魔除けのリボン説、十字架説、イタリア人修道士が両腕を組んで祈りを捧げる子供の姿を模したという説や、死者が埋葬されるときの副葬品の腕輪説などもあります。

12世紀にはこの形が完成し、新大陸に渡り、彼の地ではいつのまにか綴りは米国風にプレッツェルpretzelになったそう。フランスではアルザスでたくさん売られます。細いところも太いところもそれぞれにおいしくて、止まりません。