魚のフュメ Fumet de poisson の取り方 | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

料理講座の皆様に向け、フォン(だし)の取り方を解説します。



*仔牛のフォン、鶏のフォン、魚のフュメは、それぞれ時間がかかるため、授業と平行して作るということがなかなか難しいものです。そこで通常は私が先に取り、冷蔵・冷凍保存したものを授業では使っています。基礎講座2年の間にすべての方に少なくとも1回は直にご覧いただけるように考えておりますが、それまでのつなぎとしてご利用ください。

魚のフュメ Fumet de poisson の取り方
*ソースや煮込み用煮汁のもとになる液体をフォン fond と呼びます。肉類の場合は「フォン」ですが、魚は香りが強いため「フュメ fumet」 といいます。他には茸のフュメ fumet de champignonsなども。


魚のフュメ500g分程度
白身の魚のあら(舌平目、カレイ、タラ、鯛など)500g
エシャロット 1個
玉ねぎ 1/4個
マッシュルーム 1個
ブーケガルニ(タイム、ローリエ、パセリの茎)
白粒胡椒 5粒
白ワイン(辛口) 75g
水 750g

1. 白身魚のアラを準備します。最良は舌平目のもので、ゼラチン質が多いからです。ただし鯛やブリのようには「舌平目のアラ」がお店に売られていることはありませんので、舌平目のフィレのみが必要な料理のときは、残ったアラでぜひ。

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一番やりやすいのは鯛のアラを使うことですが、できれば天然ものを。最近は養殖も技術が進み、何の問題もない場合もありますが、ヘンなのに当たると独特のくさみがあり、脂がぎとぎと浮きます(こんなときはソースを煮詰めすぎないことです)。ものすごく気合いを入れないといけないのに、どうしても天然物のアラが手に入らない! というときは、錬子鯛をまるごと使います。
まれに「天然平目のアラ」が売られてるときには、私は用もないのにフュメを取らずにいられません。天然もののアラから作ったフュメは、翌日のぶるんぶるんさがものすごく「健康的」であるように見えます。コラーゲンの多くでたフォンはうまみやまろやかさが強く感じられます。

2. 魚は尾、ひれをはさみで落とし、うろこをよく取ります。皮は捨て、内臓、えら、目玉も取ります。5cm幅にカットして、しばらく流水に浸けておきます。*色のついた部分や内蔵、血などはすべてにごりのもとなので、徹底的にはずします。目玉を抜く作業は飛び散り注意! なお皮やえら、血には魚の生臭さを生じさせる酵素が含まれているため、生臭さのもとでもあります。
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3. エシャロット、玉ねぎは小さめのミルポワ(1m角切り)に切ります。
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4. これをバターでゆっくり炒めます。
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5. 魚を入れ、少し火を強めて、焦げないように炒めます。
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6. 白ワインをいれ、いったん強火にしてアルコールをとばします。
アルコールは揮発性が高く、蒸発する際に生臭みも一緒に飛ばしてしまうので、重要です。


7. 水を注ぎ、ブーケガルニ、スライスしたマッシュルーム、白粒胡椒を入れます。


8. 弱火にかけます。途中アクをよくすくいながら、20~30分ほど煮ます。にごるため、絶対にぶくぶくしてはいけません。またこれ以上の時間煮ても、雑味がでるだけです。
養殖もののアラを使わざるを得ないときは、途中で味を見て、過度にくさみがでていないか確認します。もし「ちょっと危なそう・・・」なら、タイムやローリエを増量します。


9. シノワで漉します。にごるので押してはいけません。

10. できたら氷水か水にボウルをあて、なるべく早く熱を取ります。
11. もし浮いている脂を効率よく取りたかったら・・・
  ラップを表面にぴったりと張り、冷蔵庫に一晩おきます。
12. 翌朝ラップをはがすと、べろんと表面の脂が一気に取れてくれます。うまくいくと非常に実用的、かつ感動ものです。ぶるんぶるんのフォンができあがり。

13. 冷蔵庫で2.3日。あるいは密閉できる保存袋に入れて冷凍します。


鶏や仔牛のだしは、肉料理に使うのは当然ですが、魚料理のソースに使うこともあります。でも逆に魚のフュメをお肉料理のソースに使うことは、たぶんありません。考えてみたら、あたり前、なのかも。