かにで贅沢スープを 2月の料理連続講座で | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

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フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

2月12日(土)
料理連続講座の日です。$塚本有紀のおいしいもの大好き!
仏シャスールのお鍋のモニターも兼ねています。条件は「シャスール鍋を好きになってもらうこと」。とにかくみなさんに使ってみていただければよいのだそうです。
春のようなイメージのピンクとピスタチオ色。ぱっと部屋が華やぎます(ほんとはもっと美しい色)。
生徒さんからは「わあ、きれい!」
の声が相次ぎます。
http://www.chasseur.jp/home.html

たこのマリネ$塚本有紀のおいしいもの大好き!
先日行ったレストランででてきた「たこのマリネ」がおいしかったので、作ってみました。北海道産の水たこをスライスにして、塩だけでマリネ。下には根セロリのピュレを敷いてあります。
フランスではプロヴァンス地方以外、そんなにはたこは食べません。私がパリのマルシェでたこを見たことがあるのは、たった1回だけ。隣のイタリアではよく食べると聞きますし、地続きなのに不思議です。おいしいのに。
生のたこの皮はぐにゃぐにゃして剥くのも大変。薄くスライスするのも大変ではありますが、簡単おいしいアミューズになります。


さて前菜の準備です。
$塚本有紀のおいしいもの大好き!毛がにがごそごそ動きます。
生きている毛がにを使って、ビスクの手法でスープを作ります。ビスクとは甲殻類の濃厚なポタージュのことで、生きているものから作ることこそがその繊細さ、なめらかさにおいて重要とされます。

$塚本有紀のおいしいもの大好き!水から茹で始める松葉がに
松葉がにはずわいがにの中で、山陰地方(鳥取、島根、山口県の海側)で水揚げされたもの。土曜日の黒門市場にはたくさんの活け蟹が並びます。活けのものは水から静かに温度を上げていき、塩茹でにします。
「いきなり熱い湯に入れたら、びっくりしてカニが足をはずすんや!」
と黒門の魚屋さん。
「自分で??」
「自分で」
すごいシステムです。
塩茹でにして、温かいうちに身をほぐしてそのまま具にします。

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フランスで買ってきた白いんげん豆haricot blanc "lingots du Nord”
Lingots(鋳塊とか弾丸の意味)種はフランスの白いんげんの中では大粒の品種です。この製品には、品質のあかし、AOP(原産地保護名称)のほかにラベル・ルージュLabel Rougeも付いていて、おいしそうです。
これもゆっくり茹でて、具に使います。

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中央には根セロリの千切りを敷き、かにのほぐし身やキャビアものせて。
濃厚な冬の味覚を堪能します。黒門市場はまだまだ花盛りですが、蟹はもうすでに終わりがけなのだとか。




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さてメインのうずらの登場、フランス産のフレッシュです。
バロティンヌの手法を使い、背骨と胸肉の下にある軟骨を、おしりや首から抜いていきます。

$塚本有紀のおいしいもの大好き!$塚本有紀のおいしいもの大好き!
ものすごく真剣な作業! いつもはおしゃべり好きな人も無口になります。
きれいに抜けると、こんな奇妙な姿に。

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おしりからクスクスを詰め、もとのうずらの形に成形し直します。うずらは本来とてもスマートな体型ですが、中には小デブのうずらちゃんも。そのままだと非常にしどけない姿になるので、たこ糸で縫います。

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野菜やフォワグラとともにココット鍋に入れ、鶏のフォンを注いでオーブンに。
「わあ、ちょっと待ってください。写真、写真!」
とカメラを取りに行かれる方が続出しました。そのくらいにこのお鍋の中に素材が並ぶ様は、とくに野菜の色がきれいに見えて、ほんとにフォトジェニックです。
さてシャスール鍋は、ルクルーゼよりももっと熱効率がよいと聞いたので、大きい方の鍋には5羽も詰め込んでしまったら・・、真ん中になったうずらの火通りがほんの少しよくなかったようです。といっても、あと3分もあればジャストに火が通るレベルであり、私自身がもっと使い込む必要がありそうです。
オーヴンにもそのまま入るし、IHにも使えるし、何より料理をすることがより一層楽しくなる、心浮き立つお鍋でした。欲しい!(悩み中・・・)




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今回はいつもと違って、国産のワインをお出ししました。これは日本橋のセレクトワインショップ「フジマル」の最近できた支店「レ・パピーユ・ジャポネーズ」で買ったもの。山梨のワイナリーのシャルドネ2009年のものです。
お店の見解は
「レモンやりんごのすっきりとしてみずみずしい果実味と上質なマコンやサンヴェランのようなまろやかなコク。酸味も上品で飲み疲れない」。
びっくりするような、果物というよりももっと濃縮した芳香があり、とてもおいしいものでした。
お店のお兄さんによると、今一番の注目株は北海道の山崎ワイナリーなのだとか。ぎゅっと濃縮感のある赤なら熊本か鹿児島、そうそう奥出雲もいいですよ・・・などと、いろいろな興味深い話しが飛び出します。正直言って今まであまり国産のワインに目を向けて来ませんでしたが、こんなに豊かな味わいがあるのなら、これから少しいろいろ試してみたいと思っています。みなさんからの評価も上々で、教室の帰りに買いにいかれた方もありました。
ワインがせっかく国産なので、チーズも国産にしてみました。昨年オープンした御堂筋沿いの北海道館へ。十勝ブリーをと思っていたのですが、なかったのでニセコのサンマルスランを。
とろっと独特のくせもあり、軽めではあるものの、おいしいものです。



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デザートはまるごと1個のりんごを使って、個人用のタルトタタンに仕立てました。添えたのは生姜とシナモンのアイスクリームです。
もう本当にお腹がいっぱい!
なんだか張り切りすぎ、今月はとても大変な手順のものばかりに。私はとても楽しかったのですが、みなさん、お疲れではないでしょうか・・。