アラン・デュカスの料理教室に | 塚本有紀のおいしいもの大好き!

塚本有紀のおいしいもの大好き!

フランス料理とお菓子の教室を開いています。おいしいものにまつわる話し、教室での出来事など、たくさんお届けします。
 

パリ便り
2010年11月2日(続き)

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アラン・デュカスの料理教室へ行きました。
フライパンecole de cuisine Alain Ducasse
64, rue de Ranelagh 16e

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素晴らしく美しいミーレ社Mieleのキッチンに、ルクルーゼの淡いグリーンのお鍋がずらりと揃っています。部屋ごとにテーマカラーが違うのです。以前から「レ・アントルメ」のえび澤シェフに、ぜひぜひ行くべきだと勧められていたところ。
確かに、美しいだけでなく、非常に機能的に作られていることがよく分かります。まずはカフェを一杯飲むところから始まります。

さて本日のクラスのテーマは
「シンプルに、健康的に、そしておいしく料理をしようcuisinez simple,sain et bon」です。
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前菜は若いポワローを使った、グリビッシュソース添えJeune poireaux poches, condiment gribicheです。
いいなあ、普通に使えて・・。若いポワローjeunes poireauは、大阪では見かけないのです(東京にはもうずっと前からあるのに!)。
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しっかり茹でて、グリビッシュソースをかけて供します。グリビッシュはゆで卵の黄身とマヨネーズ様のソースを合わせたものです。単純ながらとてもきれいで簡単、おいしい前菜になりました。

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クラスで一緒になったのは、パリ在住のマダム、マルセイユから来たマダムと、アルザス出身のムッシュです。みなさん全員料理関係ではなく、「純粋に料理好き」な普通のフランス人。マルセイユのマダムは明日は300ユーロを超えるフォワ・グラのコースに申し込んでいるそうです。
(健康的料理とフォワ・グラに申し込むとは、両極端です)
「まあ、あなた日本人。ちょっと聞きたいのだけど、大葉はどこで売っているのかしら?」
日本料理店では見るけど、お店で売られているのを見たことは一度もないのだそうです。他の方々は大葉自体まだぴんとはこないよう。
後日ギャルリー・ラファイエットで見つけました。オランダ産で15枚が3.5ユーロ(410円)。もっとびっくりしたのは貝割れ大根で、なんと9.2ユーロ! 1000円を超える貝割れを買う人がいるとは、さすがにパリです。


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メインは仔羊のセージ風味のコンフィ、大麦添え
Agneau confit a la sauge, orge perle
仔羊の肩肉epaule d'agneauをセージや赤ワイン、鶏のブイヨンとともに2時間半ゆっくり火を入れます。
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添えには大麦を使い、生アーモンドで風味を加える・・・とのことなのですが、材料としてでてきたのは、元気がないどころか、黒っぽくなりはじめた生の殻付きのアーモンド。
「そもそも今はアーモンドの季節じゃないけど、でもまあ中は大丈夫だ」とシェフ。生の殻付きアーモンドが黄緑色のビロードに包まれてマルシェに出てくるのは、初夏のことなのです。
(どうなんだろう?)と思いながら殻を割って、中身を取り出してみると・・・、それは美しい紫色をしたきれいなアーモンドでした! (残念ながら風味なし)

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じんわりしみる、心和むおいしさです。
そしてやっぱりフランスの仔羊は味が濃くておいしいと思います。日本へは口蹄疫の影響で、もう何年も入ってきていません。本当に残念でなりません。

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さてデザートは洋梨を剥いて、オレンジと一緒に赤ワイン煮に。
キッチンのすぐ隣にある大きな木のテーブル(人数が多いときはたぶん作業台として使われる)は、スイッチ一つで背が低くなり、食卓に早変わりです。
ロゼワインとともにすべてを試食し、デュカスの本をもらって、楽しい気分で帰ってきました。鼻歌を歌いながらくらいの、楽しい気分。
しかしふっと考えると、私が今日したことと言えば、洋梨の皮を剥き、アーモンドを剥き、ポワローを切ったくらい・・。こんなことで満足していてよいのか、私!
185ユーロ(21500円)も払ったのに。しかし題名はシンプル料理なのですから、これでよいのです。そしてとても楽しかったから、やっぱりこれでよいのです。

さて今回、テリアン先生のもっともオススメのパンを買いに行きました。昨日の朝に行ってみると、そのパンが焼き上がるのは午前11時頃とのことで、再チャレンジです。
15区のフランスパンル・グルニエ・ア・パンへ。
Le grenier a pain
134, rue Saint-Charles 15e

「とにかくすごいのだ。いろんなドライフルーツがぎっしりで、1切れ食べただけでお腹がけっこういっぱいになるくらい。とにかくおいしい」と夢見るような口調で先生が言うので、それはどうしても食べるべき! 

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その「パン・アルデショワーズPain ardechoise」は、相当によく焼き込まれた大きな丸いパンで、好き量だけ切ってもらいます。濃い茶色の生地にはプルーン、アプリコット、アーモンド、ヘーゼルナッツ、レーズン、サルタナレーズンなどなど、生地と具はどちらが多いのかと思うくらい。
栗で有名なアルデッシュ地方ですが、「なぜその名前が?」の質問には「さあ」との答えです。皮は結構な焦げ色ですが、シェフは「焦げでさえもおいしい」とこれまた大絶賛。(日本まで重たいのを持ち帰って、大事に食べました)

さてその日の夜は、再びテリアン先生と奥様と、かつての先生の教え子の方のレストランへ。
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食器A & M
136, bd Murat 16e
静かで落ち着いた16区の一角にあり、店内は満席です。
シェフはフクヤマ・ツカサさん。もう10年もこのレストランでシェフを務めておいでなのだそうです。なんてすごいことでしょうか。
かに身とコリアンダーのピュレのアミューズはぜひ自分でも作ってみたいと思う初めての組み合わせです。根セロリのサラダ、ほろほろ鶏のローストを頂きました。やっぱりほろほろ鶏はたまらなくおいしい食材です。最後に印象的だったのはういきょうのパルフェ・グラッセ。セ・ボン!!