寒さに耐えるユズリハ | 雪太郎の「万葉集」

雪太郎の「万葉集」

私なりの「万葉集」解釈
カレンダー写真は「鴻上 修」氏撮影

 玄関からガラス越しに「ユズリハ」が見えます。一昨日、福島県郡山市周辺にも13cm位の雪が降り気温も氷点下3℃くらいまで下がりました。朝、凍てつくような寒さの中で葉は萎んだように縮こまっていました。しかし、太陽が昇り気温が少しずつ上がるとともに葉は開き元に戻りました。ユズリハの「生命力」のようなものを感じました。家の庭には何種類かの樹木が植えてありますが、寒さに対してこのような「適応」を見せる木は他にはありません。シイやカシと同じ「常緑広葉樹」なので本来は暖地に植える植物です。福島県はユズリハの北限と思われます。寒そうでかわいそうですが暖めてやれないので「頑張れ!」と心の中で応援しています。

   萎んだ葉(朝)  

   回復した葉(昼)

 春に枝先に若葉(孫葉)が出ると古い葉が譲るように落葉することが「ユズリハ」の名前の由来です。年神(正月様)の乗り物ともいわれ花言葉は「若返り」「世代交代」「新生」「譲渡」など複数あります。縁起木で正月飾りにも使われ、古くは食べ物を盛る皿としても使われました。

 しずかなる冬木のなかのゆずり葉の にほふ厚葉に紅の悲しさ

斎藤茂吉の歌です。(ユズリハの葉柄は赤紫色をしています)

 この一画は家の西側の庭で他にはカルミア、ハクモクレン、カクレミノ、コウヤマキ、ドウダンツツジ、サルスベリ、ツバキ、バラなどが植えてあります。

 ユズリハの行動をわかる範囲で説明します。植物の運動には「刺激の方向」と関係する反応かどうかの違いで「屈性」と「傾性」の2種類があります。この場合は「気温」に反応しており刺激の方向とは関係がないなので「傾熱性」と呼ばれます。葉の細胞が凍結により物理的に壊されるのを免れるため水を移動させ「浸透圧」を高めているのだと思われます。葉が閉じるのはオジギソウと同じく「膨圧」変化によるものと考えています。ただし、「温度センサー」がどこなのか、水がどこに移動するのか、これら一連のしくみにどんなイオンが関係するのかは、文献で調べてみないとわかりません。