君の瞳でつかまえて 39 | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。







Side N






拍手がようやく鳴り止み、大野さんが俺からそっと身を離した。


「示愛の儀は完了だ。皆の拍手は…言わずもがなだが、あとは、カズの意思を尊重したい。ゆっくり考えてくれ」


潤王子が言うと、トーマが声をあげた。


「その必要はない」


短い言葉とは裏腹に、優しい声だった。


「ニノ…」


トーマがゆっくりと俺に近づいてくる。俺の前で止まって、微笑んだ。


「だてに長年一緒にいるわけではない。お前の心はもう、決まっている。だから、俺が話したときあんなに泣いた…」



トーマ…



わかってたんだね…



俺が、泣いてしまった意味を…



「最後に、もう一度、一緒に西国へ戻ろう。お前は突然城を飛び出してしまったし…最後にゆっくり…」


トーマの目に涙が滲んで、俺は慌てて彼の顔を抱き寄せた。


「大丈夫、最後じゃない」


背後から潤王子の力強い声が聞こえた。


「たまに里帰りするのもいいと思うよ?」


俺とトーマが潤王子の方へ振り向くと、彼はにやっと笑った。


「これから、西国とは停戦協定を結んで、ゆくゆくはかつてのような国交を取り戻したい」


トーマは俺から身を離すと、潤王子の前に近づいた。


「私も、同じ気持ちだ…どうか、よろしくお願いしたい」


トーマの差し出した手を、潤王子はぎゅっと握った。


「こちらこそ」


広間には再び拍手が満ちた。


大野さんは俺を見て、手錠を目で指すと、


「これ、もういらねぇな?」


と言って、にっこり笑った。

俺はその手に再び指を絡めて、強く強く、握りしめた。