Somewhere Faraway | 妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

妄想を文字に変えて〜嵐 大宮小説〜

嵐のニノちゃん、大野さんをイケナイ目で愛でる妄想小説ブログです。

残念ながら、ちょっと腐な感じです。

あくまでも妄想なので、生温かく見守ってくださいませ。



こんばんは、雪乃です。


やっぱり、森◯直太朗さんの「夏の終わり」を聴いてる(季節感皆無)と、こんなん書いてしまう…。


9月の記事(コレ)に引き続き、甘えた記事ですいません。読み返したら同じようなこと書いてます。そして、ワインはもうすぐ1本空きます…。



















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Side N







「もしも」とか「たら」とか「れば」とか、あんまり好きじゃない。


結論にそんな意味があると思えないから。


だから、そんな「もしも」とか「たら」「れば」の先を、無性に尋ねたくなる夜は、


せめて、どうでもいいことのように、振舞おうと思っているよ。












「大野さん、つまんないこと聞いていい?」


どうでもいいことだけど、月のキレイな夜だった。


ベッドに寝転んで、カーテンの隙間から見える夜空には、くっきりと輝きを放つ丸い月が浮かんでいる。


ベッドの上で横向きになって、俺の背中をゆっくりと撫でながら、ぼーっとしている大野さんに、呟くように尋ねた。


「んー…いいよ、何?」


「俺がさあ、もしも、どこか遠いとこへ行っちゃったらどうする?」


「え?お前、どっか行くの?」


眠そうだった目が突然ぱっと開いて、大野さんは体を起こして焦った声をあげた。


「行かない。もしもの話ね」


「もしも…かあ…」


大野さんは安心したようにほうっと息をついて、またもとの体勢に戻った。



こんなくだらない質問に



ちゃんと答えようとしてくれるんだよな、この人は。



俺だったら、「どうもしない」とか言っちゃいそうだな…



「イメージわかねぇけど」


「じゃあ、まず、他のメンバーで考えてみてよ。ある日、いきなり、翔ちゃんがどっか遠くへ行きました、って聞きました」


「翔くんが…」


大野さんは、目を閉じて、仰向けになった。


「んー、翔くんは多分…いろいろ先のこと考えてそこに行ったんだろうから、ま、しょうがないって思うかなあ」


「相葉さん」


「相葉ちゃんがそんなことなったら…なんか…今が居心地悪かったのかなあって俺反省する」


「Jは?」


「松潤は…そこに行きたい理由が何かあったんだろうね。新しい何かがあるとか。だから、それもしょうがないって思うかなあ」


「じゃあ、俺」


大野さんは、また横向きになって、俺を抱き寄せた。


「お前がどこか遠くへ行ったら…」


大野さんは、俺の質問を繰り返してぼそりと呟いた後、しばらく黙った。


ややあって、大野さんはかすかに呟いた。


「すげぇ、困る…かな」



困る…



俺は、予想していなかったその単語を口の中で転がした。


「…何それ。何か俺にも理由があるとは思わないの?」


「理由はあっかもだけど…お前どっか行ったら…そんなん考えるより先に、そもそもどうしていいかわかんないもん」


大野さんは、言葉とは裏腹に、ふわりと笑った。



ああ…



こういうとき、この人が…微笑むようなところに、心、揺らされるとか、



自分でも、バカみたい。



「そんなことになったら、おいらすげぇ困るよ…」


大野さんは眉を下げて呟いた。


「こんな答えでいいの?」


「…ん」


俺は大野さんの胸に顔を埋めて、その香りを胸いっぱい吸い込んだ。



俺に俺の意思がある限り、そんな日は絶対に来ない。




だけど、もしも、



俺が遠くへ行ったら、



この人は、困るんだ。



俺は、



この人を困らせられるんだ。




「なあ、ニノ…」


「ね、一つお願いだけど」


大野さんが何か言いかけるのを、俺は遮った。


「この質問、俺にはしないでね」


「ニノ」


大野さんは、少し体を起こした。


「…おいらは、どこにも行かねぇよ」


「嘘つき」


大野さんの胸に顔を埋めたまま、小さく、短く呟くと、大野さんはまた俺の背中を撫でた。


「嘘はお前の方が得意だろ?」


「得意なわけじゃないよ」



そう、嘘が得意なわけじゃないよ。



あなたが、普段は、嘘つくの苦手だから、そう見えるだけ。



お金とか、地位とか、オトモダチとか、



どんなにたくさん手にしていても、



この人と、ずっとずっと、一緒にいられるってことの、



確証、っていう



たったひとつのことが



こんなにも、




遠くて、



遠くて、



どこに行けば得られるのかわからなくて、



いつも、体を寄せて、心も寄せた気になっている。



俺の頭は、



自分が尋ねた「もしも」に、この人を当てはめて考えることすら、



断固、固く拒否してるんだ…



「ニノ」


大野さんは真面目な顔で俺を抱き寄せた。


「ごめんな、嘘ついた」


「…ほら、見なさい」


大野さんは、ふふっと照れくさそうに笑った。


「ホントはさ、どっか遠く行くこと、あっかもだけど…」


俺が目を見開くと、大野さんは俺の鼻先をきゅっとつまむ。


「それは、ぜってぇ、お前んとこ戻ってくるって…思ってるから行くの、って言いたかったの」


ふふふっと大野さんはまた笑って、俺の首筋に顔を埋めた。














「もしも」とか「たら」とか「れば」とか、あんまり好きじゃない。


結論にそんな意味があると思えないから。


でも、結論に至った理由は、興味深いね。


理由って、その人だから。













「ずっと、一緒な」


「…ん」



…灯台下暗し、先人たちは、よく言ったもんだよね。



俺は欲しいものが見つかって、不覚にも満足してしまった。



月もキレイだし、この人の体はあったかいし。



鼻をつまみ返すと、大野さんは小さくくしゃみをしながら、俺の手をぎゅっと、つかまえた。