
およそ一年前に、長年勤めたパート先を退職した。
専業主婦になってから変わったのが、夫のために作る弁当の中身だ。
専業主婦になってからの私は、冷凍食品を使うようになった。
普通逆だよなぁ。
共働きのときは冷凍食品を使い、仕事を辞めたら手作りに変える、ってのがよくあるパターンだと思うが、私は逆だった。
料理センスのない私が作る弁当って、見た目が地味なのはもちろん、味も地味だ。
弁当用に作り置きする定番品もあるにはある。
が、もし私が夫の立場なら、たまには変わった味や、派手な味が食べたくなる気がした。
それで、自分じゃ作らないような種類のおかずを、冷凍食品を使って時々ポロッと入れるようになった。
ポイントは、自然解凍できるものを選ぶこと。
レンチンすらたまにミスる私。そして体調不安もある私、「何もせずにただ入れるだけの冷凍食品」って本当にありがたい。
同じ自然解凍でも、きんぴらとか、切干大根とか、ひじきの煮物とか、ほうれん草のごま和えとか、ああいう自分で大量に作れる系のものは絶対、買わない。全部自分で作る。
「エビ寄せフライ」とか「ソースとんかつ」とか「ミニグラタン」みたいに、自分じゃなかなか作らない豪華なものだけ買う。
はじめて冷凍食品を買ったときにびっくりしたのが、中身ひとつずつの小ささだ。
あんなに小さいとは思わなかった。
弁当のメインになりうるくらいの大きさを想像していたが、あのサイズは隙間埋め用にしかならない。
でも多分、それくらいでちょうど良い。冷凍食品で済むと思ったら、弁当作りをうっかりサボってしまいそうである。
冷凍食品はオマケにしかならないと覚悟してるから、 朝もなんとかがんばれる。
ところで以前、夫に質問したことがある。
「たまにはコンビニのカルビ弁当とか食べたくなりませんか?」と。
そしたら、全然食べたくならないんだってさ。
あんな地味な手弁当なのに!?
とびっくりしたが、そういえば私も外で働いていた頃は、あの貧相な手弁当でも全然平気だった。
コンビニ弁当買おうかなという気持ちも起きなかった。
コンビニ弁当にはすっかり飽きたからかと自分では思ってたけど、最近見たテレビ番組でこれだ!と思ったことがある。
奥さんの作る、毎日同じ中身の弁当を食べる夫へのインタビューで、ご主人がこう言っていたのだ。
「毎日の弁当で、私は安心をもらっているんです」と。
あぁ、私もこれだったなぁ、と思った。
仕事は毎日めまぐるしい変化ばかりで、それはもう疲れる。
それでも、家から持ってきた「いつもの弁当」は唯一変わることがない。食べて、ほっとできる。
もちろん、外で日替わり定食を食べてリフレッシュするということもある。
でも、変わり映えしない弁当も弁当で、自宅でのんびりするような類のリフレッシュ感があったなぁと、地味な手弁当を持参していた自分のパート時代を思い出した。
もしかしたら夫も、そんな感じかもしれない。
だから弁当は地味でいい、とは言わないが、中身がほとんど一緒でも、時々冷凍食品を入れていても、多分夫は定年まで私の弁当を食べ続けてくれると思う。
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