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公園を散歩した。
途中疲れたのでベンチに座っていたら、誰かのこんな声が聞こえてきた。
「オレ、ミニマリストになります!」
ミニマリストというワードが気になり声の主を探したところ、すぐ後ろにいた男子高校生だった。
春からの一人暮らしに向けて、賃貸アパートの契約に行ったらしい。
その部屋に、何もないのだと。
トイレも風呂も無い、何もかもが共用の新生活。
なにぶん真後ろの会話だったもんだから、全部聞こえてきちゃってごめんね。
その最後の一言が
「オレ、ミニマリストになります!」
だったもんだから、なんだかすっごく頼もしくて、頑張れ!って私も、心の中で応援した。
何も持たないことは「貧しさ」だと捉える時代があった。持てないから持たないというだけだった時代だ。
私の幼少期は、そういう価値観の大人の方が多かったんじゃないかと思う。
でも今は、持てないから持たないんじゃなくて、持たないことを目指す時代だ。
高校生の話を聞いてしみじみ思った。
「ミニマリスト」という言葉は、「無い」を「有る」にひっくり返す、魔法の言葉だなと。
物が無いことが、逆に志を生むというか。
物が無いことが、プラスの意味に転じるというか。
彼は、新居に何も無いことがワクワクする、といった様子だった。
それって、ミニマリストという言葉のおかげかもしれない。
名前があるってすごいな。「ミニマリスト」って言葉はすごい。
無いことに希望を与える言葉だ。
持たないことは貧しさじゃなくて、豊かさの象徴だということが、あの言葉にギュッと凝縮されているなと思う。
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