4周年ありがとう企画 liccaさんリク亜久津SS | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

「うっ・・・ぐすっ・・・・・ふぇ・・・・」




朝からお母さんに怒られて、苦手な数学で当てられて、お弁当は忘れるし財布も忘れるし、今日はへこみまくりな1日だった。

そこへ友達と喧嘩までしちゃったもんだから、なんだかたまってたものが一気に溢れ出ちゃって、誰もいない屋上へ駆け上がり、みっともなくも声を上げて泣いていた。


涙と鼻水でぐちゃぐちゃになりながら嗚咽を漏らす私は相当ひどい姿だろう。

ここに誰もいなくてよかった。

いや、誰もいないとわかっているからこんな醜態を晒しているんだけど。


だけど誰もいないと思っていたその場所に、思いもかけない声が飛び込んできた。

誰かがいたという事にも、その声の主にも驚いて、膝の間に埋めていた顔を上げれば、

ダルそうに上半身だけを起した亜久津が鋭い目でこちらを見ていた。




「うるせぇ。」

「あ、亜久津くん・・・・。」

「色気もクソもねえ泣き方だな。」

「い、色気・・・?」




泣き方に色気が必要なの?


昼寝をしていたのを邪魔されたことに腹を立てているのか、舌を打つ音が聞こえた。

慌ててタオルで涙を拭い、泣き顔を隠す。


まさか亜久津君が居たなんて・・・。

やっぱり今日は最悪な日だ・・・・・。


泣き顔を見られた事の恥ずかしさやカッコ悪さ。

昼寝を邪魔してしまった事の申し訳なささにまた涙が込み上げた。

だけどここで泣いたら亜久津をさらに不機嫌にしかねない。


唇をグッと噛んで涙を堪え、俯いたまま足元へ視線を落としていると、不意にそこへ影ができた。

同時に漂うタバコの香り。

ハッと顔を上げる間もなく、後頭部を鷲掴みにされた。




「あ、亜久津君・・・?」

「泣かれるのはうぜぇが、泣くのを我慢される方がもっとうぜぇ。」

「えっと・・・」

「さっさと泣いて、泣き止みやがれ。」




掴まれた後頭部はゆっくりと前へ引き寄せられ、真っ白なブレザーへ顔を押し付けられる。

その真っ白な視界に、亜久津君に抱き寄せらてるんだと気づく。

気づいた途端鼓動が早くなって、顔に熱が集まってきた。

いつもより強く感じるタバコの匂いと、頭に置かれた大きな手に、ドキドキは増すばかり。

その一方で、柔らかな温もりが胸を包む。


これって、慰めてくれてるんだよね?

やっぱり・・・・・亜久津君は優しい。


ときめきと嬉しさで体が溶けてしまいそうになる。

もう少しこのままでいたいような気もするけど、これ以上抱き締められていると心臓が持たなさそうで、私は胸の中から顔を上げて亜久津君を見上げた。




「ありがとう。もう・・・・大丈夫だから。」




大丈夫と伝えるために、精一杯の笑顔を浮かべれば、見上げた先の亜久津君の顔がフッと緩められる。

いつもの怖い顔でも不機嫌な顔でもない、優しい色を湛えた表情に、キュンと胸が締め付けられた。

ワシャリと前髪をかき乱されて、ついでに私の感情と思考もかき乱される。




「フンッ。お前はそうやってバカみたいに笑ってる方がいい。」

「え?」

「なんでもねぇ!泣きやんだならさっさと消えろ!」




ドスの効いた声で怒鳴る亜久津君だけど、その顔がほんのりと赤く色付いて見える。

もしかして・・・・照れてるんだろうか?


バカみたいに笑ってる方がいい・・・・だって。

しっかり聞こえてしまった。

へこんでた事なんて忘れてしまうくらいに嬉しさで顔が緩む。


そっぽを向いたまま私を見てくれない亜久津がちょっぴり可愛くて笑ってしまいそうになるけど、ここで笑ったら今度こそ本気で怒ってしまうだろうから、私はにやける顔を隠すように亜久津君の胸の辺りへおでこをコツンと摺り寄せた。




「やっぱりまだ泣きそうだから・・・・・もうちょっとこうしててもいい?」

「・・・・好きにしろ。」




突き放すような言葉なのに、その口調はどこか優しくて・・・・・・
温かい亜久津君の胸の中で、私は涙の代わりに笑顔を溢した。



やっぱり優しい君へ

(亜久津君タバコ臭いよ・・・・・)

(嫌なら離れろ!)

(嘘です!全然嫌じゃないです!!)

(フンッ!)


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昨年書いた『優しい君へ』 の続編みたいな感じです。

もう少し進歩した2人というリクでしたが・・・・進歩したのでしょうか?ww


またまたお名前を呼ばす事ができませんでした・・・。

「お前」の部分にお名前を入れてみたんですけど、なんだかしっくりこなくて・・・。

すみません。



*未成年者の喫煙は禁止されています。吸っちゃダメですよ!