「はぁ・・・はぁ・・・・」
熱く荒い息を繰り返す。
汗で額に張りついた髪を景吾君の指が優しく払いのけてくれる。
冷たい指先が気持ちよくてスーッと目を閉じると、瞼に柔らかい感触が触れた。
指と同じ様に,、優しさに溢れた口付け。
ゆっくりと瞼を開けば、なぜか困ったような顔をした景吾君が私を見つめていた。
「どうしたの?」
「ヤバイな・・・・。」
「え?」
もしかして私、すごくひどい顔してるとか?
自分じゃわからなくて、慌てて顔を逸らす。
すると顔を背けたせいで露わになった首筋に、さっき瞼に感じた感触と同じ物が触れて、私はびくりと身体を跳ねさせた。
「な、なにしてっ・・・・!?」
「不謹慎だとは思うが、熱でうなされてる姿ってのはそそられるものがあるな。」
「ば、馬鹿じゃないの・・・?」
「だかそうやって荒い息を吐きだす唇や汗ばんだ肌は・・・・男を煽るには十分だ。」
男を煽るには十分なんて言われても、私はそんなつもりは毛頭ない。
風邪を引いて熱を出した私のお見舞いに来てくれた景吾君。
苦しくて辛い事に変わりはないけど、景吾君の顔を見るだけで少し元気になったような気がした。
風邪をうつしちゃいけないと思いながらも、もう少し傍にいて欲しくて、「手を握って欲しい」とお願いした。
景吾君は私が眠るまで握っていてくれると約束しながら、私の手を包むように握ってくれた。
今日の景吾君は優しいな・・・・・
そう思っていたのに。
やっぱり景吾君は景吾君だ。
「病気で苦しんでる彼女を前に、そんなことよく言えるね。」
「まだ襲わないだけありがたいと思え。」
なにがありがたいと思えなのよ!?
本当にどこまでも俺様なんだから・・・。
膨らませた頬に景吾君の指が刺さる。
プーッと息が抜けた唇にサッと唇が重なった。
「ちょ、風邪うつっちゃう!」
「これくらいでうつりゃしねーよ。」
「でも・・・・。」
「少し黙れ。」
「んっ・・・・・」
いつものような、思考を奪われてしまうほどの激しいキスではなく、私を気遣うような優しいキス。
だけど唇を重ねる回数を増すごとに、濃厚なキスへと変わっていく。
頭がボーっとして、息が荒くなる。
髪を撫でていた手が頬を滑り鎖骨を撫でる。
そのまま胸元まで降りてきて、私はハッとしたように景吾君の身体を押し退けた。
「ちょっと!」
「チッ。」
今舌打ちしたよね!?
このまま流されろよコイツ。みたいな舌打ちだったよね?
信じられない。
この人なにしにきたの?
冷たい視線で睨みつければ、前髪をかきあげながら溜息をつく景吾君。
溜息をつきたいのは私の方だよ・・・。
呆れながら心でこっそり溜息をついていると、ムニッと鼻を抓られた。
「ふがっ」
「早く元気になりやがれ。俺の我慢が効くうちに。」
「・・・・そうするよ。」
お母さんに頼んで栄養のある食事を作ってもらって、薬もちゃんと飲もう。
そして早く風邪を治そう。
どこが我慢してるのか、また顔を近づけてくる景吾君の顔を押し返しながら、私は強くそう思ったのだった。
良薬は口に苦し
(景吾君のおかげで早く風邪が治りそうだよ)
(ハッ。当たり前だ)
(・・・・・・・・嫌味だって気づいてないし)
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甘やかされたいってリクやったのに全然甘やかされてないし。ww
おかしいな・・・。出だしはよかったはずなのに。←
璃桜さんスミマセン。
また凝りずに企画に参加いただけたら嬉しいです。
ありがとうございました。