4周年ありがとう企画 琉威ちゃんリク跡部SS | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

寒い。

冬なんだから寒いのは当たり前だけど、この部屋は暖房がついてて温かいはず。

なのに私は凍えるほど寒い。


それはきっと、心が寒いからに違いない。




「ねぇ。」

「あーん?」

「もう私達終わりかもね。」




優雅に足を組みながら、何語かわかんない本を読んでいた景吾が「なにがだ?」とでも言いたげに顔を上げて私を見る。

その視界にやっと映してもらった事が嬉しくて、ちょっとだけ体温が上昇する。




「だってさ、卒業したらもう今までみたいに会えないじゃん。しかも景吾は進学。私は就職。まだ学生の景吾と社会人になる私じゃ生活スタイルも違うし、絶対すれ違いが起こってそのうち心が離れていっちゃうんだよ。」




景吾と同じ大学に進学しようかな?って考えない事もなかったけど、もうこれ以上勉強するのが嫌で就職という選択をした私。

努力を怠っておきながら、離れてしまう事を今さら嘆くなんて身勝手も甚だしい。

わかっちゃいるけど、不安がどんどん大きくなってどうしようもなく苦しい。


景吾の向い側のソファーで膝を抱えながら口を尖らせる私に、景吾が盛大な溜息をつく。

呆れられるなんて覚悟の上で口にしたけど、こうもあからさまに面倒くさそうな顔しなくたっていいじゃん!!




「琉威が終わりだと思うならそうなんじゃねーの?」

「ちょっ!そこはそんなことねーよ。とか言ってよ!!」

「バーカ。お前は甘えすぎなんだよ。」

「彼氏に甘えてなにが悪いのよ!」

「開き直ってんじゃねーよ。」




我が儘なお前が可愛いって言ったのは誰よ!?

こんな自己中な女、俺じゃないと制御できねーだろ?って言ったのはどこの誰よ!!


ムッとして睨みつければ、余裕の笑みで一掃された。

くやしい!!




「来いよ。」




パタンと閉じた本を大理石の机に置いた景吾が、上に向けた人差し指をクイクイと動かし私を呼ぶ。

その仕草にドキッとしながらも、素直に従うのは悔しくてフンッと顔を背けてやった。

チッと舌を打つ音が聞こえる。

面倒くさい女で悪かったですね!


景吾が立ち上がる気配を感じた。

腹を立てて出て言ってしまうのだろうか?

ハッとして顔を上げると、なぜか目の前に景吾が立っていて、なに?と問う間もなく抱き上げられた。

お姫様抱っこのように私を腕に抱きながら、ソファへと腰を下ろす。


なにこの体勢。

恥ずかしいんですけど。




「そんなに寂しいなら、俺の元に永久就職職するか?」

「え・・・・?」

「なんて言ってもらえると思ったのか?」

「はぁ!?」




ちょっと!なんなの!?

一瞬ドキッとしちゃったじゃん!!




「ククッ。こんな不出来な女。俺の妻にできるわけねーだろ。」

「ひどすぎる・・・・。」

「社長夫人になりたきゃ、社会に出て沢山の事を吸収し、人としても女としても大きく成長してこい。」

「えー。」

「えーじゃねーよ。お前が今以上にいい女になったら、その時は永久就職先を用意してやる。」




なんでこんなに偉そうなの?

してやるってなによ、してやるって!

でもそれって・・・・・私との結婚を考えてくれてるってことだよね?


嬉しくてにやけてしまいそう。


凍えそうなほど寒かったはずなのに、今は心地よい温もりが私を包みこんでいる。

私ってホント単純・・・・。




「なら景吾も、私が永久就職してもいいかな?って思うくらいのいい男になってよね。」

「あーん?俺様は今でも十分いい男だろーが。」

「うわ・・・・自意識過剰の男ってイタイよね。」

「さっきの約束は白紙だな。」

「え?嘘です!景吾は超いい男です!!」

「フン。当たり前だ。」




くそっ。そのドヤ顔ムカツク。

でもそんな所もやっぱり好き。




「これからが楽しみだな。」

「どうして?」

「琉威が俺のことをどれだけ好きなのかを証明してくれるんだろ?」

「え?」

「愛情が大きいほど、いい女度も高いってことだ。」

「えぇ~!?」




そういうことなの!?

なんか嵌められたような・・・・・?

でも、こんな風に言われたら頑張らないわけにはいかないじゃん。


絶対いい女になってやるんだから!!

そして社長夫人になってやる!




「いい女になり過ぎて他に掻っ攫われないようにしっかり捉まえといてよね。」

「大丈夫だ。心も身体も俺にしか反応しないようにしてやるから。」

「もう・・・・バカ。」




いい女になるため・・・・か。

なにから始めればいいだろう?

ダイエット?英会話?それとも・・・色気アップ?




「好きだぜ琉威。」

「私も・・・・・」

「私も?」

「なんでもない!!」




・・・・・まずは素直になってみるとこから始めようかな?



プロポーズはおあずけ

(身体は素直なんだがな)

(黙れ!)

(その口の悪さもどうにかしろよ)

(ど、努力します)

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琉威ちゃんリクのベ様SS。


将来は俺の元に永久就職・・・・・ってな感じで甘くしようと思ってたのに、いざ書いたらこんなんになりました←


私は高校の進路調査でフリーターでいいので進学も就職もしません。と言って卒業しました。

この年になって進学しとけばよかったな・・・・・って思いますが、そしたらまた違った未来になってたんでしょうね。


琉威ちゃんもうすぐ卒業か。

どんどん大人になっていくね。

可愛い妹と思ってたのが女性へと変わっていくのね・・・。

嬉しいような寂しいような・・・。ww