トリップ逆ハー連載 4 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

※初のトリップモノです。

そういう非現実的な話が苦手な方はこの先へ進まれないようお気をつけください。

読んでからの苦情はご遠慮願います。


続きものとなっております。こちらから先におお見ください。⇒ 123



恋愛ビギナー 返り咲き!?





1日をなんとか終え、「ぐわ~」と言う叫びと共に、ベッドへ倒れ込んだ。


今日は本当に長い1日だった。

心身ともに疲れるとはこういうことだろう。



ごろんと寝転んだ身体を仰向けにして、私はこれからの事を考えた。



私は・・・・24歳の私は死んでしまった。

そして私の最後の願い『中学生のような青い恋をする』為に、中学3年生としてこの世界に生き返った。


神様馬鹿なんじゃないの?とか、思わなくもないけど、そんな事言っても元に戻れるわけでもないし、

これはもうどうしようもないことだと受け入れるしかないだろう。


元の私に戻れないのなら、この世界で生きていくしかない。


まぁ、『この世界』と言っても、私が今まで生きてきた世界となんら変わらないし、普通に生活していくぶんにはとくに問題ないだろう。


ただ違うのは、24歳だった頃の私は存在しなくて、15歳の私がこの世界の『花村瑞希』なのだ。


学校の帰りに会った隣のおばさんも、幼馴染の百合も、当たり前のように中学生の私に声を掛けてきた。


「今日から学校だったの?」

「元気になってよかったわね。」


私と関わりのあった全ての人間の記憶から、24歳だった私の記憶は抹消され、15歳の私が植え付けられている。

いや、この世界には元から24歳の私は存在しなかったのだから、15歳の私の記憶が正しいのだろう。


考えても仕方ない事だが、私が生まれ育った世界は今もどこかに存在して、

私が死んでしまった事も、私の中に存在する記憶も、共に覚えてくれる人がそこにはいるのだろうか?


死ぬ事に後悔はなかったけれど、24歳まで生きてきた『私』の記憶が、全ての人から消えてしまうのはなんだか寂しい・・・・・・。




「あ~しんみりするのはやめやめ!それよりこれからどうするかだよ!」




脳内は24の私のままだが、そのほかは全て中学生になってしまった。

おまけに神のおせっかいのせいで、ときめきゲージが小さく設定されているようだ。


相手の事を考えるだけで、ちょっと顔を近づけられるだけで、あんなにドキドキしてしまうなんて・・・・。


確かに青い恋に『ときめき』は大事かもしれないけどさ。

なにもあそこまで敏感に反応しなくても・・・・。



とりあえずどの程度で反応して、どの程度なら大丈夫なのかを自分自身で知っておかないとな・・・・・。

毎度あんな反応をしていては、無駄な誤解を与えてしまいかねない。



明日の課題はこれだな。



明日も大変な1日になりそうだと思いながら、私はそっと目を閉じた。








「今日も送っていこうか?」と、やたらと心配するお母さんを宥め、一人電車に揺られ登校中。

昨日も「帰りが遅いから心配した」とか、「電車にはちゃんと乗れた?」とか、うるさくて大変だった。


お母さんってあんなに心配性だっただろうか?

けっこう放任主義だった気がするけど・・・・。

やはり病気で入院していたとなると、あそこまで過保護になってしまうのかもしれない。



駅に着いて学校までの道を歩く。

通学路脇には海が広がっていて、潮風が髪を浚う。



そういえばこの海岸って下校時のデートスポットだった。

彼氏と手を繋いで歩いたっけな・・・・。



懐かしさに足を止めて海岸を眺めていると、砂浜に大の字に寝転ぶ人の姿が見えた。

うちの制服を着ているように見えるが、どう見ても髪の毛が白い。



おじいさんのコスプレ・・・・?



なんとなく気になって、海岸に降り近づいてみる。

すぐ側まで来て、それが白髪ではなく銀髪である事に気づいた。


昨日の赤髪といいこの銀髪といい・・・・本当になんでもアリだなこの学校。


それにしてもこの男の子、すごく綺麗な顔をしている。

こんな派手な髪をしているのに、全然髪に負けてないし、肌なんて透き通ったように白いし・・・・。



膝を抱えるようにして座りこんで、彼の顔を覗き込んでいると、まだ目を閉じたままの彼が「パンツ見えとる。」と、一言呟いた。




「え!?」

「顔の割りに派手なパンツはいとるのう。」

「ほっといてよ。」




目を瞑っていたはずなのにいつの間に見たというんだ?


パッと立ち上がってスカートを抑えると、不思議少年はゆっくりと身体を起こし、「ん~」と伸びをしながら、顔だけで私を振り返った。



「で?なんか俺に用か?」

「用っていうか・・・・白髪のおじいさんがコスプレして寝てると思ったら君だったって感じ?」




私の返答に、しばし固まる不思議少年。

だけど次の瞬間が何がツボったのか、彼はおかしそうに笑い出した。




「お前さんおもろいのう。」

「君の髪の毛ほどじゃないよ。」

「ククッ。褒めてもらえて光栄ナリ。」




一見、冷めた瞳と雰囲気を持つ男の子だと思ったけど、笑った顔は可愛らしい。


私こういうタイプの子って弱いんだよね・・・・。


大体好きになるタイプがこういう系が多い。

そしてこういうタイプはたいてい女の扱いに慣れてて手が早い。


そっか。だから私ピュアな恋をあまりできなかったのかも?

私がいくら青い心を持ったとしても、相手がこんなんじゃピュアな恋愛なんてできない?

心をピュアにする前に、好みのタイプの変更が必要なんじゃ・・・・・?

一人あれこれと考えていると、「いつまでも立っとらんで座ったらどうじゃ?。」と、いきなり手を引かれた。


膝がかくんと折れて、砂の上にぺたりと座りこむ。

まだ陽を浴びていない砂は冷たくて、お尻がひやりとした。



だが・・・・・そんなお尻の冷たさなんてどうでもいい。

これは一体どういうことだ!?




「何してるの・・・・?」

「知らんのか?膝枕ぜよ。」




それくらい知っとるわ!!


そうじゃなくて、なぜに膝枕?

しかも出会ってすぐの人間の膝を使うとかありえなくない!?




「ちょうどいい高さの枕が欲しいと思っとったんじゃ。」

「あっそ。」

「柔らかさもちょうどいいのう。」

「それはどうも。」




やっぱりこの子も遊び人タイプなのね。

なんて手馴れてることでしょう・・・・。


それにしても今日日の中学生はマセてるわ!

私が中学の時に、膝枕を平気な顔でできる男なんていなかったよ!!



頬っぺたでも抓ってやろうかと手を伸ばしかけて、私はハッとその手を引いた。



なんだか顔が熱い。

顔と言うか全身が熱い。

そして胸の内側から、すごい勢いでノックされてるような・・・・・・




「お前さん。大丈夫か?」

「え?」

「顔が真っ赤ぜよ?」




やっぱりーーーー!!!


そうだった。

今の私は、ハートだけは超純情で、必要以上にときめきやすくなってるんだった!!!!



自分の体の反応に気づくと、顔の熱はさらに上がり、ドキドキも増してくる。

本当に面倒くさい身体だ。




「ククッ。なんとも素直な身体じゃのう。」

「言い方がエロいよ。」

「ほう。口だけは達者なようじゃのう。」




ああ・・・まさか中学生にこんな風にからかわれる日が来るなんて・・・・。

なんとも複雑な心境だ。


だけど今はそれどころじゃない。

このままじゃ私の心臓は破裂してしまう!!




「私・・・・・もう行くから!!」




全速力で砂浜を駆け抜け、校門目指して突っ走った。




青い恋をするためには、心がピュアで好みの変更も必要?

いやいや。

ピュアとかピュアじゃないとか、好みのタイプがどうとか、そんなの以前の問題だ。



こんな過剰反応するハートじゃ、恋愛自体無理なんじゃないの~!?



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仁王出せた!!

わーい♪←


次は誰にしようかな?