トリップ逆ハー連載 3 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

※初のトリップモノです。

そういう非現実的な話が苦手な方はこの先へ進まれないようお気をつけください。

読んでからの苦情はご遠慮願います。


続きものとなっております。こちらから先におお見ください。⇒ 12



恋愛ビギナー 返り咲き!?




校内全部を回るとなるとかなりの時間を要する。

柳君は覚えておいた方がいい場所だけを要所よく教えてくれた。


新しく増設されたり、改築された建物もいくつかあったが、雰囲気は私がいた頃とあまり変わっていないようだ。


柳君にとっては、初めての場所を案内しているつもりなのだろけれど、

色んな説明を聞くたびに、私は懐かしさで胸がいっぱいになっていた。




「あとは生活の中で覚えていくといい。」

「うん。ありがとう。」




柳君と私では身長差がかなりある。

すなわち足のコンパスの長さも違う。


なのにこうして同じ速度で歩いていられるのは、彼が私に合わせて歩いてくれているからだろう。

私が中学の時に付き合ってた彼氏なんて一人ずんずんと歩いていっちゃって追いかけるのに苦労したものだ。



最近の子はそう言う対応が出来るようななってるのだろうか?

それとも彼が女の子の扱いに慣れているだけなのだろうか?



隣を歩く柳君の事をあれこれと考えていると、懐かしさでいっぱいだった胸が違う反応を示しだした。



なんだろう?

なんだかドキドキする・・・・・・。




「花村?」

「へ?」

「どうした?疲れたか?」




心配そうに私の顔を覗きこんできた柳君に、針が振り切れたように心臓がキューーンッとなって、

言葉を発する事もできず、首だけを左右に振って、大丈夫だと態度で示した。



なんなんだこの反応は?

どうした私!?



いまだ治まらない胸のドキドキ。

柳君のいる左肩が妙に熱い。




「無理をさせ過ぎたか?すまない。」

「ううん・・・・。大丈夫だから・・・・・。」




咽が詰まったように苦しくて、なんとか紡ぎだした声も小さい。

本気でなんだというのだ・・・・?



自分の反応に戸惑いながら、教室に戻る為に海志館へと続く渡り廊下を歩いていると、

くすんだオレンジ色のジャージを着た男の子が2人こちらに向かって歩いて来た。


1人は真っ赤な髪の毛で風船ガムを膨らませていて、もう1人は黒いスキンヘッドだ。



私の時代は、伝統伝統とやたら校則が厳しかったんだけど、今はなんでもアリの時代なのだろうか・・・・?



あまり見ないようにと思いながらも視線がそちらに向くのを止められないでいると、赤髪の少年とバチッと音がするほどはっきりと目が合った。




「あれ?柳が女連れてるなんて珍しいじゃん?」

「クラスメイトだ。」

「あぁ。そう言えば今日から復学した奴がいるって噂で聞いたな・・・・。」

「復学~?なにお前不登校だったわけ?」

「丸井。言葉には気をつけろといつも言っているだろう。」




柳君に窘められた赤髪少年は、「悪い悪い」と肩を竦ませながらも、ジーッと私を見つめてくる。



不躾なクソガキめ・・・・・。

不登校がそんなに珍しいか!?

まぁ健康優良児っぽいし、頭も軽そうだから悩みとかないんだろうな。



残念な子を見るかのような目で、そんな彼を見つめ返していると、急に「ん?」と鼻をひくひくとさせだした。


今度はなんだと言うのだ?




「なんか甘い匂いがする。」

「またかよ・・・・・。」

「クンクン・・・・・なんかこっちから甘い匂いが・・・・・・」




そう言って彼が鼻を近づけた場所は・・・・・・・・私の唇だった。



そう言えばさっきポケットの中に入ってたリップを塗ったんだった。

確かベリー&ミルクのフレーバーだったはず・・・・・。

ってか、この子そんな離れた場所からこの匂いに反応したの!?

どんな嗅覚持ってんだよ!?



あまりに近い彼の顔にギョッとしながらも、心でツッコミを入れる私。

しかし私の身体は、そんな心の叫びとはまったく逆の反応をしていた。



みるみる顔に熱が集まり、心臓は破裂しそうなほどバクバク跳ね上がり、目の奥までも熱くなって瞳が潤んでくる。



だからなんなんだよさっきから!!!

なんで私こんな純情乙女みたいな反応示してんのぉ~!?



よくわからない自分の反応に驚く私だけど、驚いているのは私だけではなかったようで、

目の前の赤髪少年も、その後ろに見えるスキンヘッドの少年も、目を丸くしながら固まっている。




「花村?」

「わ・・・・・わ・・・・・・私帰る!!」




火照る両頬を手で押さえながら、私は渡り廊下を全速力で駆け抜けた。






このドキドキ。

これは『ときめき』だ。


私は彼らにときめいてしまったようだ。

まさか中学生にときめくなんて・・・・。


中学生の身体に戻った私。

だけど戻ったのは身体だけじゃないということか?


でも、中学生だった昔の私でも、こんな事くらいでここまでドキドキなんてしなかった。

この反応は異常すぎる。



もしかして・・・・・・神のせい!?



ちょうど教室に駆け込んだところで、また『運命』のメロディと共に携帯が震えた。




「あいつだ!!」




私は急いで携帯を開いた。




『青春ライフ楽しんじゃってるぅ~?いや~青いっていいねぇ~。久しぶりに味わったと・き・め・き・は、いかがだったかな?

君もお察しの通り、少しだけ君の感情をコントロールする部分を弄っておいたよ~。

だって身体だけ中学生になったとしても、25歳の意識を持った君が、同年代の男達と青い恋をするのは難しいでしょ?

青い恋をするなら、君の心も青くなくっちゃね!!

あぁ、感謝の言葉なんていいんだよ。君が素敵な恋を見つけてくれれば、それだけで俺は十分さ! 神より☆』




私はまだ24歳だよ!!


・・・・・・・って、そこに反応する自分が悲しい。

そうじゃないでしょ!?もっと突っ込むべき所があるじゃない!!



感情をコントロールする部分を弄っただぁ~!?

そういえば、『君が死ぬ間際に思った『願い』が叶うように設定しといたから。』って言ってたような・・・・。


設定ってなんなの!?

ここはゲームの世界ですか!?



『青い恋をするなら、君の心も青くなくっちゃね!!』



確かにそうかもしれない。

神のい言うことにも一理ある。


でもさ!だけどさ!!


思考と感情がバラバラって・・・・・・




「やり難いわ~!!!」




携帯を握り締めながら叫んだ私の声が、夕日の差し込む教室に空しくこだましていた。


*******************************************


ジャッカルせっかく出たのに影薄っ!!