丸井vs仁王連載  Vol.12 | 肝っ玉かあちゃんのひとり言

肝っ玉かあちゃんのひとり言

妄想の世界に逝っちゃってるヤツの戯言

このお話は高校2年という設定です。
そういうのが苦手な方は観覧にご注意ください。


続き物となっております。 こちら↓を先にお読みください。


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Just for you












その日の夜。

ブン太からいつもの公園で待ってるとメールが来た。


話の内容なんて聞かなくたってわかる。


それでもブン太に逢える事が嬉しくて、私は公園まで自転車を飛ばした。




もうお馴染みの公園。

告白したあの日から、何度ここに通っている事だろう?


ただベンチに座って話すだけで、特別何かあるわけじゃないけど

誰の目も気にせずブン太と過ごせるこの場所は、私にとって大切な場所。



公園に着いて中を見渡すと、ブン太はブランコに乗っていた。


一人ブランコに揺れるブン太は可愛く見えたけど、

私に気づき向けたその顔は、最近よく見せる辛そうな顔・・・・・。


私は声をかける事無くブン太の方へと歩み寄り、ブン太と同じようにブランコに座った。




「この公園何度も来てるけど、ブランコ乗ったのはじめてかも。」

「・・・・・・俺も。」

「ブン太ブランコ似合うよね。」

「はぁ?なんだよそれ。」




ブン太の顔に笑顔が浮かび、その笑みにホッとする。


自分がそんな顔をさせているくせに、我が侭だとは思うけど、

ブン太には笑っていて欲しい。



しばらく今日あった部活の話とか、明日の小テストの話とか

いつもと変わらない会話をしていたけど、ふと会話が止まった時に

ブン太が「今日は・・・ごめんな。」と俯きながら呟いた。



この話題が出る事を覚悟していた私は、ブン太の「ごめん」には答えず、

用意していたセリフを次々としゃべり続けた。




「私遊園地とか久しぶりかも。小学校・・・4年以来?だからジェットコースターとか乗ったことないんだよね。」

「さっき天気予報見たけど晴れるみたいだよ。よかったよね。」

「あ、絵梨ちゃんが一緒にお弁当作ろうって言ってたよ。リクエスとは早目にしててね。」

「仁王君にも明日――」

「歌織。」




決して大きな声ではなかったけど、真剣みを帯びたブン太の声に、私は口を噤んだ。


やっぱり・・・・・聞かなきゃならないんだ・・・。

誤魔化しきれるなら誤魔化してしまいたかった。




「あのチケットは、絵梨が行きたいって言ってたから貰ったわけじゃないから。」

「・・・・・・・うん。」

「それにマジでお前と行こうと思ってたんだぜ?今日お前を誘おうって・・・・・」

「うん。ありがとう。」




もういいよ。


そんな言い訳聞きたいわけじゃない。

別に謝って欲しいわけじゃない。


最初に私に声をかけてくれただけで、私は十分だから・・・・。



あの時ブン太が絵梨ちゃんを選んだのは当然のこと。

それに私が後押ししたようなものだし、ブン太が謝る必要なんてどこにもないんだから・・・。




「誘ってくれて嬉しかったよ。」

「ごめんな。」

「もういいって。それに一緒に行けるし。」




申し訳なさそうな顔で私を見るブン太に「ね?」と微笑みかけると、

やっぱり申し訳なさそうな顔をしながらも、弱々しく笑みを灯した。




「なぁ、ベンチ行かね?」

「ブランコ飽きたの?」

「手・・・・・。」

「手?」

「ブランコ乗ってたら・・・・手、繋げないだろ?」




ブランコから立ち上がったブン太が、私の前に回り込み、

私に向かって手を差し伸べてきた。



学校ではクラスメイトとして接っする私達。


だからせめて公園にいる間だけは、付き合っていると思える事がしたかった。



『公園にいる間だけでいいから・・・・手を繋いでいてくれない?』



付き合い始めてすぐにそうブン太にお願いした。


それからブン太は必ず手を繋いでいてくれたけど、

こんな風にブン太から言ってくれたのは初めてだ。



ブランコの鎖から手を離し、ゆっくりのその手を伸ばした。



いつもよりお互い少し汗ばんだ手。


もう何度も繋いでるのに、何度繋いでもまだ恥ずかしい。

だけど今日はそれ以上に照れくさくて・・・・だけど嬉しくて・・・

緩む頬を押さえきれない。




ブン太とこうした時間を過ごすたび、私の中のブン太への想いが大きくなる。



学校では必死に押し込めていた感情が、一気に溢れ出した・・・・




「ブン太・・・・好きだよ。」




『好き』という言葉を口にしたのは、あの告白以来。



1度口にすればもう気持ちを抑えられなくて、

驚いた顔で私を見るブン太に向って「好きだよ。」と、もう1度囁いた。



繋いだ手に力が入る・・・・・。



そして私の想いを乗せた言葉を吸い込むように、

好きと囁く私の唇に、ブン太の唇が重なった―――――




初めてのキスは・・・・とても甘く・・・とても熱く・・・・

だけど同時に、切なさが込み上げ、涙が滲みそうだった・・・・





ねぇブン太。



どうして最近優しいの?


どうして言い訳なんてしたの?


少し前なら何もなかったかのようにそんな話題には触れなかったくせに・・・・。



絵梨ちゃんを好きな事なんて、見てればわかる。


だけど・・・・最近私を見る目が、私にかけてくれる言葉が・・・・


そして繋いだ手が・・・・・


優しくて・・・・・・・温かくて・・・・・期待してしまいそうになる。





ねぇブン太。



好きが溢れて止まらないよ・・・・


このままもっと好きになってもいいの?


このまま傍にいてもいいの?






ねぇ・・・・・・・・・・どうしてキスしたの?



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デートの前に1話入れました。


初キッス!!!


ひゃっほーい!!

ブン太頑張った!!ww


でも歌織ちゃんは複雑ーーーーなようです。(そりゃそうだ)