子育てしやすい社会 | The Sence of Wonder

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呼吸器医として、喘息・結核の診療の傍ら、卒煙支援もしています。
二児の母として、妻として、医師として・・・
日常のほんのちょっとした Sense of wonder を発信しています。

出生率の上昇傾向が4年ぶりにストップしたというニュース。
母親層の減少自体が出生率の横ばいにつながったとのことでしたが、
やっぱり今は、すこし、子育てしにくい社会なのかな・・・。

先日、娘の通う保育園の近くの住民の方から騒音の苦情が
寄せられたそうで、区の担当者が、状況把握と対策検討のため
来園されていました。

昭和5年築、区で最も古いといわれている歴史ある園で、
定員80名程度で、小さな敷地、園庭もすずめの涙ほど(笑)。
下町の路地の住宅地にあります。

下町気質からか、近隣の住民の方々の暖かいまなざしに見守られ、
地域社会と溶け込んで、開園以来一度の苦情もなかったのが
園の自慢だったようです。

園での散歩や登降園時にも、近所の方々から子どもたちに
気軽に声をかけられることも多く、下町ならではの魅力だと思ってました。

そんな中で今回のこと。園始まって以来の事でちょっと波紋でした。

年の離れた兄弟のいるママさんと、帰り際にその話題になったところ、
小学校では、近頃、そのような苦情が増えて、
すでに対策がとられているとか。
運動会のピストル音⇒中止、音楽がうるさい⇒低音量に・・などなど。

自分が子供のころは、ピストル音や音楽が聞こえると
「ああ、きょう○○小学校の運動会だったね、晴れてよかったね」など
家族で会話したものでしたけれど・・。

やっぱり少しずつ時代が変ってきているのかもしれません。

マンション暮らしの我が家も例外ではなく、階下の方から騒音の苦情が。
初回のとき、娘がフラフープをまわしとびしていた(苦笑)ので、
さすがにうるさかっただろうと思い、丁重にお詫びしたのですが、
二度目の苦情のときは、娘はままごとや読書中で、
「それほど?」というのが正直な感覚でした。

対策を苦慮して、少し調べたら、実際、騒音被害というのは
かなり問題になっているようで、悪質なものもあるようです。
「(騒音を)たてているほうは、それほど大きな音という実感はない」と
書かれていて、うちの場合もそうかもしれないな・・と。
足音などは構造上、思った以上に響くようで、
畳やカーペットなども薄いものをひくだけでは減らせない。

二度目の苦情の数日後、その方が引っ越されてしまい、
(以前より売りに出しておられたようですが、
きっかけが騒音だったかは、もちろんわかりません)
その後に入居された方には、ご挨拶したときに、
「子どもがいたらそんなもんよ」と笑って言われてしまったので、
結局対策はとらずじまい・・・。

娘と同じ園に通うママさんでも、
やはり騒音の苦情に悩んでらっしゃる方が居て
なかなか難しい問題だな・・と感じます。

電車に乗っていてても、子どもが少しでも騒ぐと
周りの方の視線が冷たい、それが海外に行くと
みんな暖かく見守ってくれて、声をかけてくれたりして
本当にありがたかった、という話はよく耳にします。


「子どもがいるならそんなもんでしょう」と寛容に見守る社会から、
「いやなものはいや」と主張する社会に変ってきているなら
子育てをする世代にとってはすこし生き辛いかもしれません。

園長先生が
「これまで苦情が出なかったことをありがたいと思わなくては。
こちらもそれに甘えてきた部分がある」
とおっしゃられてました。

私自身、子どもを言い訳に甘えているのかしら、
それとも社会が厳しくなっているのかしら・・・。

ちょっと考えさせられた出来事でした


女医・ゆきみんと先生の診察室から

「ああ うるさい」 
   かえるくんシリーズでおなじみの
マックス・ベルジュイス 作

こんなふうに騒音問題も解決できたらいいのにね・・・・。