先日、北多摩地区の呼吸器ドクターで
主に喘息を診療している人たちが集まって、
ディスカッションをする機会がありました。
話題は主に、1月中旬に発売されたシムビコートと
これまでのアドエアの使い分け。
どちらも、吸入ステロイドと長時間作動型ベータ刺激薬の合剤で
特に成人の喘息コントロールには欠かせない吸入薬です。
革新的な薬で、喘息治療の歴史を大きく変えたといってもいいほど。
どちらがどうという話はさておき、
話の流れで全員が一致したのは、トータル的に見て、
軽症喘息は増えているが、
重症喘息は明らかに減っている、ということでした。
成人発症の場合、合剤が実地医家に浸透してきた事もあり、
まずまずコントールされてきて、重症例に移行するケースが少ない。
つまり、これまでは、喘息と診断してから吸入薬を処方していたが、
最近だと、とりあえず、咳が続くならと、合剤をだして反応を見る、
というやり方が多くなっているのです。
結局、今、専門医が喘息外来で難渋しているのは、
小児喘息の持ち上がりのバリバリの気道リモデリング進行症例か、
吸入ステロイドがない頃から長期間喘息に罹患していて
ずっとアンダーコントールであった高齢者。
そして、慢性副鼻腔炎(いわいる蓄膿)合併の感染がらみ喘息。
小児領域も吸入ステロイドで早期介入されつつあり
おそらく、持ち上がりの喘息も今後減ってくることが予想される。
つまり、喘息は、罹患率は上がっているが、
軽症が多くなり、専門医でなくても
比較的適切な治療ができるようになってきている
という証拠でもあります。
私自身、特に喘息の研究をしたわけでもなく、学位もなく、
アレルギー認定医や専門医を持っているわけでもなく、
ただ、この6~7年、喘息外来を担当して
多いときには月に250名ぐらいの喘息患者さんと
ひたすら、向き合ってきただけです。
そんなわけで、正直、これまで、
自分が喘息専門医だと自負したことがなかったので、
「専門というほどでもないですが、
呼吸器、特に喘息と結核を診てます、あと禁煙」と答えてました。
あるセミナーでそんな話をしたら、
「それは、十分に専門です!もっとプロ意識を持って」と
言われたことがあります。
自分の専門や強みを知るという事は、
よくコーチングや自己啓発系などでもいわれてる事ですが、
それを知ったうえで、さらに生かすということになると
なかなか難しい・・。

私の場合、どちらかというと
海外の最新文献をまじめに読んでレビューを紹介したり、
基礎的な研究データを考察したりという事は、苦手な方・・。
だとすると、私が、生かせる能力って何だろう。
発信できる情報って何だろう。
最近、自分でも、すごく、模索している感じです。
ツイッターもブログも、情報収集のツールとして
注目を浴びてますが、本当のところ、
その真髄は「情報発信していく力」ですよね。
情報発信に魅力あるツイートをするひとは
本当に多くのフォロワーがいるので納得。
喘息が誰にでも治せる病気になってきた今、
自分の専門性をどんな風に生かしていったらいいのか。
結核の罹患率が減って、ドクター、患者とも高齢化している
現状で、若手(?)の自分にできることって何なのか。
禁煙支援が浸透して、その道の専門家が増えてきている今、
自分はどんな風に、関わっていったらいいのか。
結局、資格云々より何より、
まずは、一歩一歩、自分の専門はこれだと思って、
自分でできるかぎりの情報発信をしていくことなのかな。
なんだか、その道一筋の職人さんのような人が、
ちょっとうらやましく思う今日この頃です・・・。