6.高齢期の自分らしい生活を支える体制づくりについて(令和6年11月定例議会本会議一般質問)
認知症施策推進計画の策定について
Q20:国の認知症施策推進基本計画案は、認知症当事者の方たちの参画のもと進められ、年度内にも閣議決定の予定。
都も並行して、令和7年度からの5年を1期とする計画を策定する予定。
区は令和9年度からの10期の高齢者・介護保険事業計画に合わせ、区の認知症施策推進基本計画を策定するが、当事者参画や「認知症の人が基本的人権を有する個人として認知症とともに希望を持って生きる」とする新しい認知症観の啓発など、丁寧な計画策定のためには、準備を早々に始めることが重要。
認知症施策推進計画の策定に向け、次年度からはどのように新しい認知症観を区民に広げ、認知症当事者のご意見をお聞きしていく予定か、取り組み内容を伺う。
A20:区では、第1 0 期高齢者・介護保険事業計画に、認知症施策推進計画を包含して策定する予定。
計画の策定にあたっては、法の趣旨に則り、当事者やご家族をはじめとし、多様な意見を丁寧に聞き取ることが重要と考えている。
そのため、高齢者等実態調査のほか、認知症カフェや本人交流会などの様々な機会を捉え、生活の中の対話から積極的に集めた思いを、当事者の声として計画の策定に反映していく。
区では、これまでも、早期の気づきを支援する認知症検診事業や、認知症サポーター養成講座等各種事業のほか、地区医師会や区民との協働による講演会やイベントの開催など、認知症の周知に向け、あらゆる機会を捉え啓発を進めてきた。
今後は、来年度の重点施策である「チームオレンジB u n k y o サポーターによる認知症に優しいまちづくり2 . 0」などにより、「新しい認知症観」の更なる周知啓発に努め、認知症とともに希望を持って生きるという考え方を浸透させ、認知症や認知症の方に関する正しい理解の促進に取り組んでいく。
認知症当事者の方の思いなどについて
Q21:令和6年度はチームオレンジBunkyoの活動が本格稼働となり、認知症カフェにおける本人ミーティングなど、当事者のお声を聞く機会が増えている。
今年度、認知症の方のお話の中で心に残っていること、区の認知症施策推進基本計画にぜひ反映したいと感じた当事者の想いなどを伺う。
A21:各地域の認知症カフェや本人交流会などでの対話を通して、当事者の方の思いを伺う機会が増えている。
当事者の方からは、「地域の助け合いの輪が欲しい」「子どもたちとの交流や挨拶を交わしたい」などの思いを伺っており、これらの声を集約し、計画への反映に努めていく。
「チームオレンジB u n k y o」の周知について
Q22:7年度は、都の認知症の人の社会参加推進事業補助金を活用し、認知症にやさしいまちづくり2.0「チームオレンジお助け隊」として、認知症の方の就業活動支援がスタートする。
チームオレンジBunkyoの認知向上と認知症への理解啓発に向け、この事業の周知をどのように図っていく考えか、伺う。
A21:「チームオレンジB u n k y o」の活動の一環として実施する「チームオレンジお助け隊」は、認知症当事者とシルバー人材センターの会員による企業等での就業活動を通じ、当事者の社会参加の機会の確保や認知症に係る区民や企業の理解促進を図るもので、 事業の認知度の向上には、区報やホームページ等をはじめとする広範な周知や、関心が高い方への直接的な案内、活動に参加する当事者の声の発信などが重要と考えている。
意見交換を行っている区民や企業、関係機関からの意見も参考にしながら、誰もがこの取り組みに興味・関心をもっていただけるよう周知していく。
成年後見制度について
Q23:成年後見制度の改正が令和8年に予定されている。
特に認知症の方の後見にあたっては、改正の方向性としても認知症基本法の理念に基づく社会の要請としても、症状が進行していく認知症当事者の自己決定権を大切にし、成年後見人だけでなくサポートする全てのステークホルダーが連携してご意向に沿った生活を支援する姿勢がいっそう求められている。
文京区社会福祉協議会等でも区民向けの学習会や支援のための検討を続けているが、事業周知による取り組みの見える化をさらに強めていただきたい。いかがか。
A23:認知症が進むことにより判断能力が低下していく中、本人の権利と財産を守ることは、重要と考えている。
区は地域連携ネットワークを推進する中核機関を社会福祉協議会に委託し、権利擁護センターと連携を図りながら取り組んでいる。
社会福祉協議会では、以前より、学習会の実施や制度について区報、文社協だより、ホームページへ掲載するほか、民生委員・児童委員等の地域の関係者への周知に努めている。
来年1月には、中核機関として、権利擁護の担い手を増やしていく取り組みである「権利擁護入門講座」も実施する。
今後とも、権利擁護支援連携協議会等において、取り組みの更なる見える化や権利擁護に係る課題、支援のあり方について意見をいただきながら、共に考え、地域全体で認知症の方を支える取り組みを推進していく。
ACPエーシーピー(アドバンス・ケア・プランニング)の更なる普及啓発について
Q24:なるべく認知症の症状が軽いうちに、アドバンスケアプランニング(ACP)を作成してもらい、成年後見に生かしたり、後見人が被後見人と意思疎通を図り、ACPの作成を支援して、そのACPに基づいた医療・介護が受けられるように計らうことができるよう、ACPの更なる普及啓発が必要。見解を伺う。
A24: 認知症の方をはじめ、誰もが主体的にACPの趣旨を理解し、もしものときに備え、取り組めることが重要であると考えている。
区では、本年9月にACPをテーマに在宅医療講演会を実施し、区民をはじめとした6 8 名の参加があった。アンケートでは9割近くの方が「満足・やや満足」と回答し、在宅療養について考える機会となった。
区が作成する「在宅医療・介護支援ガイドブック」には、ACPについて考え、身近な方と話し合った内容を書き込めるよう新たにページを加え、医療機関などの関係機関で配布している。
引き続き、こうした取り組みを行いながら、本人の意向に沿った医療やケアを実現できるよう、様々な機会を捉えて周知啓発に努めていく。
東京大学グローバル ナーシング リサーチセンター(GNRCジーエヌアールシー)との連携について
Q25:先月、文京区と東京大学大学院医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター(GNRC)は、高齢者の看取りまでを見据え、在宅で安心して生活し続けることができるよう、医療・介護関係者等の専門職による多職種の緊密な関係づくりの推進と成果の社会実装を目的とした連携協定を締結した。
7年度は看取りを見据えた在宅医療・介護連携推進事業として、区民からのヘルスケアに関する相談を受け、健康やケアについて学べるプログラムの提供や区内の医療介護専門職等の交流と研修機会を設けるとのこと。
区民の方が健康やケアについて学べるプログラムとは、どのようなものを予定しているか。
専門職の方々の学びをどのように区民に還元していくか、GNRCとの連携について、今後の展望を伺う。
A25:区では、「自分も他者もケアする力を育む」ことを目的に、子どもから高齢者まで様々な世代を対象として、GNRCの看護研究者と連携したワークショップなどを実施する予定。
「区内介護職・看護職 看取りケア・リスキルプログラム」なども行っており、これらを通して専門職の学びの支援や顔の見える関係づくりを進めることで、区民が安心して在宅療養生活を送るための環境づくりを推進していく。
今後、GNRCとの「人生1 0 0 年時代の幸福寿命延伸に向けた連携」を強化し、地域包括ケアシステムの深化・推進に努めていく。
5.区民の眼の健康について(令和6年11月定例議会本会議一般質問)
子どもの眼の健康について
Q18:文京区の子どもたちは視力1.0未満の割合が都平均よりも悪く、子どもの眼の健康が心配されている。
文部科学省の事務連絡(子どもの眼の健康を守るための啓発資料)によれば、「近年の医学研究により、近視が将来の眼病リスクを高めることがわかってきた。子どもたちが生涯にわたり良好な視力を維持するためには、小児期の近視の発症と進行を予防することが重要」とのこと。
さらに、「近視の予防のため、①できれば1日2時間は屋外で過ごすこと、②特に低年齢での外遊びを増やすこと、③読書やタブレット使用などの際は30分に1回は、20秒以上目を休める」などの取り組みを推奨している。
国の情報に基づき、子どもの眼の健康のために、区立小・中学校・幼稚園・保育園で取り組むこと増やし、家庭でもできることをお知らせしていく必要があると考えますが、いかがか。
A18:子どもたちが生涯にわたって良好な視力を維持するために、小児期の近視の発症と進行を予防することは重要であると認識している。
議員ご指摘のとおり、屋外活動時間が長いと近視になるリスクが低くなるとも言われていることから、保育園では、子どもの発達段階に合わせた外遊びを取り入れた活動を実施している。
また、タブレット端末等に触れる機会が低年齢化していることから、端末等に触れる時間を決めることや、子どもだけで視聴せず親子で楽しむこと、外遊びの重要性等について、保育園から保護者に周知している。
引き続き、視力の発達が著しい乳幼児期から、眼の健康を維持する取り組みを行っていく。
議員からご紹介のあった文部科学省からの子どもの目の健康を守るための啓発資料についての事務連絡は、速やかに各学校に周知し、情報共有を図っている。
今後、各校の養護教諭が出席する会議において、学校活動下での留意点や、家庭でもできる目の健康の取組みについて改めて話し合い、各校で発行する保健だより等を通じて、視力低下や近視の予防に向けた取組みを進めていく。
また、幼稚園では、教育課程の中に園庭遊び等を効果的に取り入れる工夫をしているが、園長会等の機会を捉えて、啓発資料の共有等を行っていく。
節目年齢における眼底検査の実施とアイフレイルに関する啓発等について
Q19:近年、アイフレイル、加齢等に伴う眼病の発生・進行等に注目が高まっている。
アイフレイルは視機能障害から、自立機能低下や日常生活の制限、健康寿命にも影響があると言われている。
視覚障害の原因疾患の8割は眼底の病気で、視力検査だけでは早期発見に十分ではないため、日本眼科医会では、年に1階の眼底検査を推奨している。
特に日本人の眼の疾患の第一位は緑内障で、40歳以上の日本人の20人に1人がり患していると推計されているが、初期段階では自覚症状がなく、発症、進行していることがあり、失明の恐れもある。
厚生労働省も昨年度から眼底検査の大切さを啓発しており、職場の健康診断実施強化月間通知に眼底検査やアイフレイルのチェックの推奨を盛り込んでいいる。
お隣の豊島区では、平成30年度より、45歳、55歳の方を対象に、緑内障や加齢黄斑変性、糖尿病網膜症の早期発見・早期治療を目的として、無料の眼底検査を実施している。
文京区では糖尿病や高血圧症などの疑いがある際にのみ医師の判断で眼底検査が行われているが、区民の眼の健康を守るため、節目年齢における眼底検査の実施やアイフレイルに関する啓発等を強めていただきたい。お考えを伺う。
A19:特定健康診査とは別に、眼底検査等の眼科検診を実施している区は23区中14区あり、そのうち8区は費用の一部を自己負担としている。(6区は無料)
眼科検診の実施については、対象者の設定や費用負担、実施する医療機関等の課題があることから、先行区の事例を参考に研究していく。
また、アイフレイルは加齢に伴う目の機能低下であり、身体フレイルとともに、その予防は健康寿命の延伸のため重要であると認識している。
今後、区ホームページに、アイフレイルの啓発サイトのリンクや、セルフチェックシートを掲載する等により、周知啓発を行っていく。
4.文の京の図書館行政について(令和6年11月定例議会本会議一般質問)
図書館ブックボックスについて
Q11:ICタグの導入により、今後は図書館利用のセルフ化などが進んでいく予定。
本区に先行してICタグを導入している世田谷区では、今年度、小田急線下北沢駅構内に図書館休館日や夜間など、図書館の開館時間に来館できない方でも、予約資料を受け取れる図書館ブックボックス(自動貸し出し機)を設置した。
文京区は区民の読書環境充実のため、大塚及び向丘地域活動センターに図書の取次所を、シビックセンター1階に返却ポストを置いている。
平成25年の「文京区立図書館サービス向上検討委員会」最終報告には、後楽二丁目への取次所の設置について意見が付されている。
また住宅街に位置する千石図書館は夜間の騒音への配慮から開館時間が20時までとなっており、さらに夜間返却ポストが設置されていないなどの課題がある。
そこで、千石地域、例えば千石駅や、飯田橋からの区民の通勤・通学の経路上、例えば後楽の再開発、シビックセンターなどに図書の自動貸し出し機を設置してはどうか。
A11:世田谷区においては、図書館の開館時間内での利用ができない方を含め、より多くの方が通勤・通学の際などに予約資料を受け取れるサービスとして導入したものと把握している。
本年度、世田谷区において、モデル事業の評価・検証を行う予定であるため、その結果を確認し、設置場所等、本区における課題についても整理しながら、議員ご提案のサービスも含め、更なる図書館サービスについて検討していく。
図書館の利用席について
Q12:これまで文京区立図書館は、本を読む場所として、学習席は設けず、閲覧席を設置してきた。
しかし、多くの区民から学習席を望む声が寄せられており、改修に合わせたPC席の整備や時間制の導入などが課題とされてきた。
コロナを機に感染症対策として、座席の2時間制を導入する際に、座席カードの仕組みが取り入れられたことで、効率的に閲覧席を管理できるようになり、利用者が安心して勉強できるようになった。
今後は、閲覧席という位置づけを解消し、学習席の充実を図っていくとするとともに、PC利用等に対応した電源のある席を増やすことやインターネットでの席予約システムの導入も必要と考えるが、いかがか。
A12:区民、利用者の多様な学習活動を支えるため、学習目的での利用に向けた整備についても必要と考えておいる。
本年度、真砂中央図書館において、利用席の増設と電源の増設を予定しており、併せて、学習席としての利用要件の緩和についても周知していく。
また、各図書館においても、改修等の機会を捉え、学習席への整備、電源の増設を進めるとともに、今後、席予約システムの導入についても検討していく。
子どもたちの学習環境について
Q13:子どもたちの学習スペースに関しては、汐見地域センター、大塚地域活動センター、大原地域活動センター、根津ふれあい館等で設けられているほか、目白台図書館など夏休み中にイベントスペースを学習席としているところもある。これらの取り組みを広げながら、文京区の子どもたちのいっそうの学習環境の充実を図っていただきたいと考えるが、今後の展望を伺う。
A13:地域活動センターにおいても、施設の状況等を踏まえながら、自習スペースの拡充に向けた検討を進めており、子どもたちの一層の学習環境の充実を図っていく。
こども読書活動推進計画について
Q14:子ども読書推進計画の改定にあたっては、本と親しむ、本を知る、文京区ならではの特色ある取組を、子ども読書推進計画の中でしっかり位置づけ、地域資源と連携することで、読書意欲の向上と郷土愛を育んではいかがか。
A14:地域資源と連携した取組については、地区館ごとの特徴を生かした図書館運営や親しまれる図書館づくりにおいて重要と考えている。
次期子ども読書活動推進計画においても、その視点を踏まえながら、子どもたちの読書の動機づけとなる取組の拡充について検討していく。
読書バリアフリーへの取り組みについて
Q15:読書バリアフリー法に基づく、ディスレクシアと呼ばれる学習障害や肢体不自由や寝たきりなどで本を長時間もつことが難しい等の配慮を要するこどもへの読書機会の充実について、障害福祉課等と連携しながら推進を図っていただきたい。方針を伺う。
A15:紙の本や印刷した文字を読むことが困難な子どもたちが読書を楽しむことができるよう、電子書籍やLLブックなどの充実を図っている。
引き続き、こうした資料の充実を図るとともに、庁内の関連部署と連携を図りながら、誰もが利用しやすい図書館を目指していく。
複合施設における図書館の役割について
Q16:改築が計画されている、湯島図書館や小石川図書館は複合施設となる予定で、管理の在り方が重要。
先日、「湯島総合センターの整備方針について(素案)」が示され、建物全体の維持管理や運営面での統括的なマネジメントを担う運営事業者を事前に公募し、設計段階から参画することで施設管理と運営を効率的に行いたいとの方針が判明している。
また、小石川図書館については、区民ワークショップが始まっており、真砂中央図書館とスポーツ振興課、みどり公園課の3課が合同で検討を進めている。
こういった複雑なプロジェクトを進行する上で、図書館はそれぞれの複合施設において、どのような役割を果していきたいと考えているのか、伺う。
A16:図書館は、「資料の収集・保存・貸出」などの基礎的なサービスに加え、住民の多様な学習活動を支えるとともに、図書館資料を活用した情報発信など、だれもが利用できる地域の身近な「学びの拠点」であると考えている。
また、各図書館においては、それぞれの地域特性や所蔵する資料の特色を生かした施設づくりを進めることで、地域に密着した施設を目指している。
改築等に伴う施設の複合化においては、これらの図書館としての機能や役割に加え、他の機能を持つ施設とつながることで、新しい知識・情報、新たな発見・気づきなど、更なる「学び」のきっかけを提供する役割を果たせるよう検討していく。
複合施設における図書館の管理運営について
Q17:区立図書館を2グループに分け、それぞれ別の指定管理者が運営してきたこれまでのあり方のままで、湯島・小石川等の複合施設の管理運営を任せるのは難しいのではと思料するが、この2館についてはこれまでの指定管理の枠組みから外し、別の共同企業体等による選定を行うのかなど、管理運営についての検討方針や検討スケジュールを伺う。
A17:議員ご指摘のとおり、複数施設の一体的運営について、その効果や効率等を検討した上で、現行の指定管理の施設グループとは別の体制を整理することも必要であると考えている。
湯島図書館の管理運営体制等については、湯島総合センターにおいて、多様な機能を備えた複合施設となることが想定され、統括的なマネジメントを行う事業手法が検討されていることから、湯島総合センターの整備事業者の選定スケジュールにあわせ、検討していく。
また、小石川図書館については、施設全体を一体的に管理運営することが効果的であると考えているが、
今後、ワークショップ等で論点を整理しながら、導入する機能やサービスなどを検討し、計画をまとめていく中で、検討していく。