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土曜午後の下り電車、運良く席にありつけてほっとする。

隣には若い母親に連れられ、ちょこんと座るちいさな女の子。

2歳半ぐらいかな、ベビーカーを卒業して間もなさそうな。

 

ビーズひと粒ほどの、オレンジ色のお菓子が詰まったプラスチックの筒を手に、その子はひとりごとをつぶやいた。

 

「いちにちふたつぶ、だからね」

「いっぺんにたべたら、おなかこわしちゃうからね」

 

一日二粒?全部無くなるの、ずいぶん先なんじゃない?

 

そして、もみじみたいな手で白いキャップを開ける。ちいさな粒をふたつ、慎重に手のひらに…あっ、手からひと粒こぼれちゃった。

座面に落ちたそれを拾ってあげようか迷う間に、その子は自分で見つけて拾い上げた。そして、それをおもむろに…。

 

「はい、ママどうぞ。」

「まあ、どうもありがとう」

 

そっか、〝いちにちふたつぶ〟は〝ママにあげる分〟なのね。

 

ちいさなてのひらには、喉に詰まる心配がたぶんなさそうな、ちいさなふたつぶ。

ママはそれを、微笑みとともに口にした。

 

 

〝二才頃、あなたとよくトランプの神経衰弱をやり、こちらが本気で取り組まなければ負けてしまう程、強かった〟

〝リカちゃん人形の服を自分で着せようとして、ホックがなかなかはめられず、眠くなってうつらうつらとしながらも、まだ挑戦していたあなた〟

 

ユッコこと岡田有希子さんの母・孝子さんは娘なきあと、幼い頃のさまざまな思い出を書き残しています。振り返ればあっという間だけど、子供は3歳までの笑顔で一生分の親孝行をしているのですよね。

photo by yukikostarlight