当ブログに来てくださったあなたへ、

お会いできて嬉しいです。

太字は過去記事へのリンクです、

よろしければお立ち寄りください。

 

ロマンスカー最中(モナカ)

それは昭和の終わりから平成の初め頃、小田急ロマンスカーの車内で販売されていたという。

「モナカの皮と餡が分かれていて、食べる寸前に自分で皮に餡を詰めるんだ。食感がサクサクで旨かったな…」

酒場で出会った男が、わたしにそう語った。

 

「けれどなぜか、ネットで検索しても出て来ないんだよ…」

男が言葉を継ぐ。

「あの頃確かに存在していたのに、今はまるでなにもなかったかのようなんだ…」

「おかしいと思わない?あのモナカをなかったことにしたい、なにか巨大な力が働いているとしか、俺には思えないんだよね…」

 

おかしいのはアナタのアタマじゃないの?

したたか酔ったわたしは、一瞬思ったけど黙っていた。

 

わたしと同世代と思しきその男はきっと、バブルまっ最中(さいちゅう)の箱根を楽しんだんだろう。

日々生きるのがやっとの貧乏学生だったわたしに、男がいう〝ロマンスカー最中〟の記憶など当然なくて。

 

その真偽を確かめる術が無いのは、ちょっとだけ寂しいんだ。

 

 

 

短い間だったけど、ユッコこと岡田有希子さんは憧れのステージに立っていました。

いまは誰もが、あの頃の動画や写真を通して彼女が「確かにいた」ことを実感できます。


写真はユッコさんがいなくなった翌年の昭和62年にデビューした、小田急ロマンスカー10000形。華やかにバブル期を駆け抜け、いまは長野電鉄で第二の人生を走っています。

photo by yukikostarlight