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二度目のプチツーリングの帰り道。たまたま見かけて立ち寄った某古書チェーン店のレコード棚で、ずっと探していた一枚のLPに出会った。
1986年3月21日に発売された、ユッコこと岡田有希子さんの4thアルバム「ヴィーナス誕生」。
彼女が18歳で命を散らしたのは、それからわずか18日目のことだった。
ジャケット写真が撮影されたのは、1月20日。
妖しく艶めいた瞳をスローシャッターで捉えた、カメラマン・武藤義（むとうただし）さん渾身の一枚。それはデビュー3年目になろうとする彼女の、通過点のひとつに過ぎない…はずだった。
♪失恋をして
夜通し泣き明かして
また恋をして
きれいになった君に
会いに来るよ
アルバムの1曲目「WONDER TRIP LOVER」で繰り返される、まるでユッコさんに寄り添うかのような歌詞が切ない。
EPOさんが紡いだ「〝夢でKissした未来の恋人〟に恋する女の子」を、彼女はきっと自分に重ねて唄ったことだろう。
〝岡田有希子 ニューアルバム〟
赤い帯の右肩に、小さな文字で謳われた一節が切ない。
わたしたちにとって、この一枚は永遠に褪せることがない、いつまでも彼女の「ニューアルバム」のままなんだ。
2014年に惜しくも逝去された武藤義さん。
デビュー前のユッコさんを最初に撮影したカメラマンは、ファインダー越しに彼女が煌めいた2年間を見つめ続けていました。
text by yukikostarlight