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「瀬戸表札」ってご存知でしょうか?

白い長方形の陶磁器…瀬戸物の表札をそう呼ぶのだそうです。

 

黒い筆文字で書いた名前に、うわぐすりを塗って焼く瀬戸表札。耐久性が高くて石彫りの表札より安価だったため、昭和の頃はごく一般的に使われていたといいます。

 

休日の朝に近所を走っていたら、こんな風景が目に入りました。

古い戸建ての玄関先、高齢の夫婦を囲む少年少女。彼らをスマホで撮っている女性はたぶん夫婦の娘、子供たちの母でしょう。

その家の門柱に見えた白い表札に、なぜかずっと忘れていた記憶が蘇ったのです。

 

小学校低学年の頃。

押し入れを探検していたわたしは、父の名前を手書きで記した瀬戸表札を見つけたのです。おそらく両親が結婚したとき、お祝いに贈られたその表札はその後使われた形跡もなく、ずっとしまい込まれていて。

今思えばアパート暮らしの当時、父には「いつか自分の家を手に入れたら、それを掲げよう」との思いがあったのかも知れません。

幼いわたしはそんな表札を、事もあろうに手を滑らせて真っ二つに割ってしまって…。

あの時、なぜか父はわたしを叱ることなく「いいんだ」とだけ言ったのだっけ。

 

いまはなき父、そしてなくなってしまった実家。表札は最期まで、郵便受けに書き込んだマジックインキの文字のままでした。

 

 

 

昭和58年8月22日。ユッコこと岡田有希子さんは上京を3日後に控えた16歳の誕生日、名古屋で家族との記念写真に収まっています。自宅の門前での写真には表札も見えますが、瀬戸表札かは定かでありませんでした。

ところで陶磁器全体を示すセトモノ(瀬戸物)という言葉、名古屋からほど近い愛知県の瀬戸に由来しているのですね。

photo by yukikostarlight