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昨年末の紅白、恒例の「けん玉チャレンジ」。ギネス認定が一転、番組途中での失敗発表には驚きました。
落とした人へのインタビューがネットニュースになっていて、彼の立ち位置は階段を数段上がった端だったこと、緊張で平衡感覚を失ったのが敗因、と書かれていました。
読み終わったその時。わたしの頭になぜか、すっかり忘れていた記憶が呼び覚まされたのです。
もう50年近く前、わたしが小学校に上がった年の初夏のこと。
手に持った紙コップは、オレンジ色と白の縦縞模様。
コップの中身は、カブトムシのさなぎ。立派な角をもったオスでした。
少年だけが喜びそうなそれを、街のデパートで五百円札を出して買った母。
見渡す限りの田んぼが世界のすべてな子どもには、それはそれは珍しくて、眩しくて。
大事な紙コップを手に、アパートの階段を上ったとき。
わたしはそこで、取り返しのつかない失敗をしたのでした。
手から滑り落ちたそれは、あっという間にカブトムシになれなくなりました。
あの日の涙も情けなさも、何も言わなかった母の表情も。
あの紙コップの色までも、まるで昨日のことのように、鮮やかに思い出したのです。
photo by yukikostarlight
ユッコこと岡田有希子さんの母・佐藤孝子さんは、手記に娘が幼かった頃のさまざまな出来事を綴っていました。
ユッコさんがもしずっと空の下にいたら。いまごろなにかのきっかけで「おてんば佳代ちゃん」の頃を思い出したりしたのかな。
それは本人も驚くほどに、鮮明な色彩をまとっていたことでしょう。