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以前、わたしは体重80キロから58キロへの減量に成功した。

 

きっかけは健康診断時のいわゆる「メタボ健診」。腹囲85センチ以上だと引っかかるやつだ。

測るとき「はい力を抜いてくださいね〜」と言われた瞬間ふんっ!と腹を引っ込め、毎年辛くもクリアしてきたアンダー85センチ。でもその年はついに、秘技が効かなかった。

 

そんなわけで「特定保健指導」を受けることになったわたしを担当したのは、二十代半ばの小柄な保健師さんだった。

笑顔が素敵なそのひとは不規則勤務だった前職ではストレスによる過食に悩んでいたという。

でもこの仕事に変わってからは生活を改善、10キロ以上ダイエットできたそうだ。

彼女は大きな瞳を輝かせ、まっすぐわたしを見つめて言った。

「一緒にがんばりましょうネ!」

 

目標は、半年で4キロの減量。

食事の量を減らす、運動量を増やす。具体的にこう指示された。

 

〝一日三食のうち一食、ご飯の量を半分に減らすこと〟

〝エスカレーターは使わず、階段を上ること〟

 

「三食ぜんぶを半分にする必要はないんですヨ。かんたんでショ♡」

 

半信半疑だったけど、真面目に取り組んだら効果てきめん。

お腹をめったにこわさなくなり、ズボンがブカブカになった。

体重計に乗るのが楽しみになった。

そして半年後、目標達成率が500%を超えてしまった。エヴァのシンクロ率を凌ぐ異常値。

 

それから十年以上過ぎた。

ご飯を減らすのは止めたのだけど、体重はずっと60キロ前後。一度もリバウンドしていない。

すっかり薄味好みに変わったからか。


服のサイズはLからMに、ついでに筋トレもがんばってみた。

腹じゃなく胸が厚くなり、久しぶりに会った旧友は最初わたしのことが分からなかった。

 

人間変わろうと思えば、自分を変えることができるんだ。

あの保健師さんの「かんたんでショ♡」のお陰だけどネ!

 

 

 

わたしを導いてくれたショートカットの保健師さん、心から感謝しています。いま思えば、ユッコこと岡田有希子さんのように可憐なひとでした

photo by yukikostarlight