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41年前の大晦日

中学3年生だった彼女は、どんな夜を過ごしたのだろう。

 

この年の夏から秋。歌手になるために挑んだ「スター誕生」の地区予選会とテレビ予選を、みごと通過した彼女。しかし母親は、12月の決戦大会出場を許さなかった。

いまは高校受験を控えた、大事な時期なのだ。それに万が一合格したら、娘は親のもとを離れ東京に行ってしまう。まだ15歳なのに…。

 

〝一度しかない私の人生です。後悔したくないんです〟

両親の猛反対に、部屋に篭りハンガーストライキで応じた彼女。

そんな娘からの手紙を何度も読み返した母は、翌年春の決戦大会と引き換えに三つの条件を出す。

1・定期試験で学年1番になること

2・中統(高校入試の模擬テスト)で校内5番以内になること

3・第一志望の高校に合格すること

 

その時から、彼女はかつてない猛勉強を始めた。

大好きな歌番組も封印し、連日深夜2時〜3時までひたすら机に向かう。

そんな中でも、決戦大会出場を夢見る彼女は、発声練習だけは欠かさなかったという。

 

昭和57年12月31日。

彼女はその夜も変わらず、寸暇を惜しんで勉強に打ち込んだのだろう。

翌年3月の高校受験、そしてスタ誕の決戦に「合格」したい一心で。

紅白も見ず、2年後には最優秀新人賞に輝く、レコ大に目もくれずに。


そんな彼女を、大晦日のいざよい月も、ためらわず応援していたに違いない。新しい年を灯す希望の光で、煌々と夜空を照らして。

 

 

年の暮れに、「一度しかない人生」を駆け抜けていったユッコこと岡田有希子さんを偲んで。


文中の「中統(中部統一テスト)」は、1989年に廃止されたそうです。「レコ大」の生放送は、2006年から12月30日に変更されています。

1982年12月31日は満月(十五夜)の翌日、十六夜(いざよい)。まるでためらう(いざよう)ようにゆっくりと姿を現すところから、その名がついたそうです。


ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。あなたの迎える新年が、素晴らしい一年になりますように。

photo by yukikostarlight